成瀬映画に登場する風景


『浮雲』(1955年) ⑤
  NEW 2020.4.7 追加修正(情報提供)

毎回の情報提供に感謝だが、ブログ名「グズグズ」さんからまた貴重なロケ地情報をいただいた。
下記のロケ地だが現住所で東京都渋谷区3-26-15とのこと。下記グーグル地図参照。
地図の斜め上左側が「渋谷駅」、斜め下右側が「恵比寿駅」、下が「代官山駅」方向だ。
八幡通りに面した下の道の建物が「おせい(岡田茉莉子)」の住むアパートのロケ地。(グーグル写真の茶色いビル)

下記画面写真に映っている道路の高架橋は「猿楽橋」。現在架け替え工事中だが、検索すると昭和9年に架けられている。
線路(山手線)の位置から言っても、ロケ地場所はここに間違いないと思われる。
地図以外の写真(青と赤の囲み線)も「グズグズ」さんから提供していただいた。

下記2018.12.4のものは間違っていると思われるが一応掲載しておく。


 



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『浮雲』(1955年) ⑤ NEW 2018.12.4

ゆき子(高峰秀子)が訪ねる富岡(森雅之)のアパート。
この前のシーンでゆき子は富岡の代々木上原の家を訪ねるが、
富岡はすでに引越しの後で、新しい入居者の男はゆき子に富岡から送られたはがきを渡す。
映画の中ではがきは映らないが、上記のアパートの住所が書かれていてそこを訪ねたという設定らしい。
(この後実際にはおせい=岡田茉莉子が住んでいる部屋とわかる)。

左に道路らしき高架橋があり、正面には線路があり蒸気機関車が走っている。煙も映っている。
映画ではおせいのアパートの廊下と部屋は3回ほど登場するが、アパートの外の風景はこのショットだけである。
当時の東宝・成瀬映画の美術がいくら凄いと言っても(=ロケーションだと思うと撮影所等に建てられたオープンセットも多い)
さすがにこれはロケーションだと思われる。たった一つのショットのためにここまで大掛かりなオーブセットは作らないだろう。
なにしろ蒸気機関車まで走っているのだから

画面写真(手前に歩いてくる高峰秀子、アパート入口=これはセットだろう)

  


 グーグル地図 東京・池袋駅付近


ロケ場所だが、JR池袋駅の近くではないかと推定してみた。
推定理由は以下の二つ。
(1)線路と高架橋の道路の位置が似ている場所が池袋駅近くに複数ある。
(2)アパートの部屋でゆき子は富岡と会った後に二人で喫茶店に行き
   その後すでにロケ地紹介しているJR池袋駅と目白駅の間にある西武池袋線とJR山手線の交わる場所を歩く。
  (富岡の「水虫が痛む」という台詞がある有名なシーン)
   アパートの場所が池袋なら池袋方面から歩いてくるのはリアリティがある。

推定場所は上記グーグル地図の①または②のどちらかではないかと思うが、①の方が確率は高い。

その理由としては、①はJR赤羽線(現:埼京線)+東上線、②は山手線だが
山手線はこの映画の撮影時の昭和29年にはすでに電化されていたようだ。
また、上記の西武池袋線のロケ地でも同じだが、山手線は道路よりだいぶ下を走っている。
画面写真は道路に面しているが②は現在も同様。

赤羽線は「赤羽線 蒸気機関車」とネット検索すると、1960年代にも一部蒸気機関車が走っている写真が出てくる。
映画の画面には、明らかに煙をはいている蒸気機関車が映っているので②の場所の赤羽線の可能性が高いと思われる。

グーグル地図① 高架橋のすぐ下に入るのは困難だった。道路は国道254号線(春日通り~川越通り)。線路をまたぐこの橋は「富士見橋」と書いてあった。
        国道254号線のさらに上に首都高速5号池袋線の道路がある。

 

グーグル地図② 高架橋の手前(写真右)には「豊島区立池袋スポーツセンター」がある。正面の下をJR山手線が走っている。


上記の画面写真のシーンから少し後だが、富岡が亡くなったおせいの部屋で電報の文面を見る。
病気療養中で実家に帰っている妻(中北千枝子)の容態と金の催促を伝える文面。
電報には富岡のいる部屋の宛先として「ミシュクマチ」と書かれている。
ミシュクマチ(三宿)は、東京・世田谷区の三軒茶屋近くの町。
しかし、三宿には昭和29年撮影当時も現在も近くに高架橋と蒸気機関車が走るような線路は無い。

三宿の隣の世田谷区太子堂には『浮雲』原作者の林芙美子旧居跡の碑があり、グーグル地図にも掲載されている。

   
           


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