成瀬作品 台詞クイズ 問題

:実際にビデオ等を観た上で、私の興味のあるいくつかの台詞を抜き取ってみました。
 成瀬監督のシナリオの台詞削りは有名なので、紙になったシナリオとは若干異なった
 台詞もあるようです。
 また、句読点の使用方法、言葉のニュアンス等の違いは悪しからず。
 一応、*******の部分をテスト形式で。想像してみてください。
 答えは<解答ページへ>をクリックして下さい。
 まずは名作(私の中では成瀬の最高傑作)の「流れる」です。
 台詞も俳優も素晴らしい!


(1)「流れる」(脚本:田中澄江、井手俊郎)


 @冒頭、女中・梨花(田中絹代)が「つたの家」を訪ねるシーン

  ・つた奴(山田五十鈴):「(紙を見て)ちょっと、何てえの。梨(なし)の花・・・・」
  ・梨花(田中絹代)   :「梨花(りか)と申します」
  ・つた奴         :「りか。へぇー」
  ・勝代(高峰秀子)   :「*********」
  ・米子(中北千枝子)  :「*********」
  ・なな子(岡田茉莉子) :「*********」

 A続くシーン
  
  ・つた奴:「ご主人は」
  ・梨花 :「亡くなりました・・・一昨年・・・子供は昨年。あとはずっと一人で働いて居ります」
  ・つた奴:「あら、そう。まぁどっちかってぇとお、あんたみたいな年寄りの方が
        いいんだけどねぇ」
  ・勝代 :「***********」
  ・米子 :「***********」
  ・つた奴:「まぁ、とにかくね。若い人は惜しげもなく使えるけど、気がきかないでしょう。
        そこへいくと年寄りはね・・・」
  ・米子:「**********」

 B水野の女将・お浜(栗島すみ子)の家で、お浜/佐伯/つた奴

  ・お浜:<(甥の佐伯=仲谷昇)に向かって>「ねぇ、今夜連れて来られない、ここに」
  ・佐伯:「今夜ですか」
  ・お浜:「あら、あんたこないだ、おつたにもずいぶん久しく会わないなっておっしゃってらした
       って。******************」
      「ねぇ、おつたさん。先生だって年だもの。昔の人が恋しくなるはずでしょう、ねぇ」

 Cつたの家にて、化粧をしている染花(杉村春子)となな子(岡田茉莉子)
  
  <つた奴が風呂にはいって小唄をうなっている>
  ・染花:「(なな子に向かって)ねぇ、今日は何だか妙ね、この家(や)の雰囲気」
  ・なな子:「*****************」

 Dつたの家の玄関先で、夜見回りに来た警察官と梨花の会話

  ・警官:「あんた、新しく来た人」
  ・梨花:「山中梨花と申します。*******」


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(2)「秋立ちぬ」(脚本:笠原良三)

@秀男(大沢健三郎)の母・茂子(乙羽信子)が客(加東大介)と駆け落ちしてしまった後の
 デパート(銀座松坂屋)屋上での、茂子が勤めていた旅館の一人娘・順子(一木双葉)
 との会話

 ・秀男:「かあちゃん、きっと帰ってくるずら」
 ・順子:「でも、台所のおばさんが言ってたけどね、中年の女ってこわいんですってよぅ・・・
      **************」
 ・秀男:「そんなこと、知らん」
 ・順子:「きっとそうよ。******************」


Aデパートに勤務する春江(原知佐子)と同僚の男性社員・山下(西条康彦)との会話

 ・山下:「帰りにまたジャズを聴きに行かないか」
 ・春江:「いいわねぇ」
 ・山下:「*********************」


B東京湾の埋立地に海を見に行った秀男と順子の会話

 ・秀男:「広ぇなぁ・・ここは」
 ・順子:「ここは海を埋めて作ったとこよ」
 ・秀男:「ここなら野球だって、なんだって遊べるじゃん」
 ・順子:「******************」


C埋立地で足を怪我した秀男がパトカーで叔父の常吉(藤原釜足)の八百屋に運ばれる

 ・常吉(藤原釜足):「(秀男をしかりながら)今日は徹底的に言い聞かせなきゃ」
             →(空のコップに気がついて)「おぃ、ビールをもう一本持ってきな」
 ・常吉の妻・さかえ(賀原夏子):(台所からちゃぶ台の常吉に向かって)
                    「***************」


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(3)「驟雨」(脚本:水木洋子)


@冒頭、日曜日朝の並木l亮太郎(佐野周二)と妻・文子(原節子:編物をしている)の会話
  
 ・亮太郎:「(略〜)だが、俺たちは日曜日にどっかに行くために夫婦になったわけじゃ
       あるまい・・・もう少し、うちにいたって陽気な生活ができるはずだ」
 ・文子:「あなたが話をなさらないからよ」
 ・亮太郎:「話?・・・どんな話がある」
 ・文子:「*********。*********」
 ・亮太郎:「なんだぁ・・そりゃ・・哲学か?」

 
A文子の姪で新婚旅行帰りのあや子(香川京子)が並木家を訪ねて、
 隣の今里念吉(小林桂樹)に庭先で尋ねる

 ・あや子:「(念吉に向かって)あのぉ・・・こちら留守でしょうか?」
 ・念吉: 「ああ、奥さんは近所でしょう。さっき・・緑色の買い物かごを
       さげて出かけられました」
 ・念吉の妻・雛子(根岸明美):「(家から顔を出して)***********」


B新婚旅行で夫と喧嘩した様子を涙ながらに訴えるあや子と文子の会話

 ・あや子:「(略〜:行きの列車の中での夫との口喧嘩の様子)しまいに日本地図も
        書けないのか・・そりゃしつこく言うの・・・だからあんまりしゃくでしょう。
        日本地図くらい書けますわ、多少覚えてる通り書いたのよ」
 ・文子: 「書けたの?」
 ・あや子:「うん・・・そしたら全部書かないうちに『何だ・・そりゃ****か?』って
       (あや子泣き出す)」
 ・文子: 「えっ?」
 ・あや子:「(泣きながら、強い調子で)****かって・・言ったわよ」
 ・文子: 「(笑いをかみころして)*********」


C亮太郎(佐野周二)と念吉(小林桂樹)が出勤前に庭の井戸で歯を磨きながらの会話

 ・念吉:「うちなんか、雨が降ったって駅に傘持ってきませんよ・・・
      癖になるって言うんです。***************」
 ・亮太郎:「そりゃあねぇ。奥さんはあなたに甘えておられるんですよ・・・
        可愛らしいもんじゃないですか」
 ・念吉:「そうですか?」

D文子(原節子)が引っ越してきたばかりの雛子(根岸明美)に商店街を案内するシーン。
 態度の悪い肉屋についての会話
 
 文子:(略〜)「こないだもね・・・うちは*****のいるお得意が何軒とかあるなんて・・・
         まるで****************」
 雛子:「まぁ」
 文子:「ですから・・もう・・私、絶対あそこじゃ買わないと決心したんですのよ」
 雛子:「生意気ですわねぇ」 

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(4)「晩菊」(脚本:田中澄江、井手俊郎) 12.17 NEW


@冒頭、倉橋きん(杉村春子)の家を訪ねた不動産仲介業者の板谷(加東大介)の帰りぎわ
  玄関での会話
  
 ・板谷:「(きんが飼っている犬に向かって)いいかぁ。変なやつがきたら吠えるんだぞ。えぇ」
 ・きん:「*****************」
 ・板谷:「(きんの方を向いて)えぇ。おかげさまで。じゃあ」

 
Aきんが金を貸している中田のぶ(沢村貞子)の飲み屋を訪ねてのシーン

 ・きん:「こんにちは」
 ・のぶ:「(きんの方を見て)あらぁ。裏から」
 ・きん:「********************」
 ・のぶ:「今日はちゃんと用意してきました」


Bきんの家に昔の恋人 田部(上原謙)が訪ねてきた晩に二人で酒を飲んでいるシーン
 
 ・きん:「(田部に向かって)この頃、何を稽古してらっしゃるの。
      小唄やってるって、言ってらしたわね、この前」
 ・田部:「いゃあ・・・もう・・・さっぱり」
 ・きん:「唄ってくださらない、あたし弾きますわ」
 ・田部:「へぇ・・・三味線なんか、まだ持ってるの」
 ・きん:「******************」


C北海道に転勤する1人息子 清(小泉博)を送る母親のたまえ(細川ちか子)と
  たまえの昔の芸者仲間で同居している とみ(望月優子)が上野駅地下の食堂で。
 
 ・たまえ:「ねぇ、清。もしママに何か変わったことがあっても帰ってこないでいいよ。
       ママのこったから、かぁつとなって急に死にたくなる時があるかもしれない
       けど・・・いいょ・・・帰ってこないで」
 ・とみ:「*************」
 ・清: 「大丈夫だよ・・・ママは死なないよ・・・なかなか」

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(5)「おかあさん」(脚本:水木洋子) 12.26 NEW


@病気で療養所に入院していた長男の進(片山明彦)が、療養所から逃げたとの電報を受けて、
  父親の良作(三島雅夫)と妻・正子(田中絹代)の会話
  
 ・正子:「進が療養所から、逃走したんですか」
 ・良作:「何だって・・ばかやろうが・・・せっかく無理して入れてやってんのに」」
 ・正子:「食べ物でも、悪いんじゃないかしら」
 ・良作:「*************************」


A正子が次女の久子=通称チャーコ(榎並啓子)におつかいをいいつける。

 ・正子:「チャーコ、踏み切りの八百屋で夏みかん買ってきておくれ」
 ・久子:「いくつ?」
 ・正子:「うん。2つでいいわ」
 ・久子:「(顔をしかめて)あぁ、すっぱい」」
 ・正子:「*************************」
 ・久子:「はい」

B長女・年子(香川京子)、次女・久子、いとこの哲夫=通称てっちゃん(伊東隆)を
 ピクニックにつれてきた、年子のボーイフレンドの平井ベーカリーの信二郎
 (岡田英次)が、昼食に作ってきたパンを見せるシーン。
 ・信二郎:「(年子に向かって)ピカソパン食べてよ」
 ・(久子/哲夫の歓声と感想)
 ・年子:「(パンを眺めて)**********」
 ・信二郎:「わかる?中に*************************」

C正子の家(クリーニング店)にやってきた正子の妹で哲夫の母親の則子(中北千枝子)
 と正子と年子の会話
 
 ・則子:「今日はね・・みんなに映画でもおごろうと思って」
 ・正子:「そんな・・・無理しないでよ」
 ・則子:「もう何年見ないかしら」
 ・正子:「お互いにねぇ」
     (則子と顔を見合わせて、笑う)
 ・年子:「(則子に向かって)ねぇ・・おばちゃん。いいのやってんのよぉ・・駅の前で
      <悲しき恋>っていうの」
 ・則子:「うん・・看板みてきたわ。*****************」

D家族揃って、向ヶ丘遊園に遊びに行く日の朝の会話
 ・正子:「あら。ここにあった梅干どうした?」
 ・久子:「おへそへ貼る、梅干?」
 ・哲夫:「************」
 ・年子:「******************」
 ・正子:「出つけないから困るのよ・・かあちゃん・・梅干ないと」

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(6)「女の座」(脚本:井手俊郎、松山善三) 1.17 NEW


この作品は、1962年の、成瀬の「大家族もの」の一つですが、一人一人の人物描写も
的確で、ストーリー展開のうまさ、ユーモラスな雰囲気に満ちていて、大好きな作品
です。よく見ると、テーマは小津の「東京物語」にも似ていますね。父親役も笠智衆だし。



@冒頭、会社が倒産して失業中の四女・夏子(司葉子)に対して、中華料理屋をやっている
 次男・次郎(小林桂樹)が店を手伝ってくれないかと頼むシーンで、長女・松代(三益愛子)と
 次女・梅子(草笛光子)も加わった会話
 
 ・次郎:「なっちゃん、遊んでるんだったら、俺んとこ手伝ってくれよ。
      出前に辞められて困ってるんだ・・・蘭子(注:妻=丹阿弥谷津子)は
      またできちゃったしさ・・・」
 ・松代:「あら・・・またできたの」
 ・次郎:「(頭をかきながら)やんなっちゃったよ・・・」
 ・梅子:「*************************
 ・次郎:「ええぃ・・・よせよぉ」
 ・松代:「出前がいないと困るだろう」
 ・梅子:「あたしがお花教えているパン屋さんもね・・・出前が全然いなくて
      とうとうつぶれちゃったのよ」
 ・松代:「そう」
 ・梅子:「おまけに、奥さんが子供おいて、出て行っちゃったんだって」
 ・次郎:「*************


A実家の石川家に父・金次郎(笠智衆)の見舞いを終えて帰る松代(三益愛子)
 と次郎(小林桂樹)が、実家の荒物屋の商品を手にとって、亡くなった石川家の長男の
 未亡人・芳子(高峰秀子)との会話。

 ・松代:「これ、なあに?」
 ・芳子:「紙ぞうきんです。それ、とってもいいんですって・・・
      昨日来たばっかり」
 ・松代:「へぇ・・・こんなもんが出来たの・・・試してあげる・・・
      一つもらっていくわよ」
 ・芳子:「(笑顔で)どうぞ」
 ・次郎:「***************


B次郎(小林桂樹)の中華料理屋で、九州から東京に戻ってきた
  三女・路子(淡路恵子)と五女・雪子(星由里子)と雪子の友人の
  青山(夏木陽介)との会話。

 ・青山:「(路子に向かって)そうですか。じゃあ。東京は何年ぶりですか?」
 ・路子:「3年ぶりですの。凄い変わり方ね・・・渋谷なんか、綺麗になっちゃって
      まるでニューヨークみたい」」
 ・雪子:「行ったことあるの?・・・ニューヨーク」
 ・路子:「*************


Cアパートを経営している松代(三益愛子)のところへ、アパートの住人の若い娘と
  家を出て行った松代の夫・良吉(加東大介)が戻ってきた際の会話
 
 ・アパート住人の中年女:「(入り口を振り返り)あらぁ・・・」
 ・良吉:「(住人の中年女を見て)いゃあ・・・しばらく」
 ・中年女:「まぁ・・・田村さん。(部屋にいる松代に向かって)
        奥さん、ちょっと・・・旦那さんよ」」
 ・(松代が廊下に姿をあらわす)
 ・良吉:「(松代をばつの悪そうに見て)いゃあ」
 ・松代:「(良吉に向かって)帰ってちょうだい」
 ・良吉:「*****************
 ・松代:「じゃあ、************





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(7)「山の音」(脚本:水木洋子) 6.1 NEW


川端康成原作の鎌倉を舞台にした文芸もの。
成瀬作品の大きな特徴である「人物の視線の交錯」
が最も発揮された作品の一つだと思います。
台詞には、成瀬作品には珍しく、遠まわしに
エロティックな表現が出てきます。


@鎌倉から会社のある東京へ向かう電車の中で、
 尾形信吾(山村聡)と、息子で菊子(原節子)の夫である
 修一(上原謙)との会話。
 
 (修一の浮気についての二人の会話)
 
 ・修一:「別れますよ、もぉ。別れようとはしてるんです」
 ・信吾:(雑誌に目を通しながら)「菊子のどこが不満でそういうことに
      なるのかねぇ・・・わからんよ」
 ・修一:「つまり****************
      おとうさん、女と遊んだことないんですか?」
 ・信吾:「ごまかさんでいい」
 ・修一:「わかるでしょう。まあ、別れてからゆっくり話しますよ」


A鎌倉の実家に子供を連れて一時戻ってきた、信吾の娘の相原房子
 (中北千枝子)と信吾の妻で房子の母である保子(長岡輝子)と
 信吾(山村聡)、修一(上原謙)、菊子(原節子)の室内での会話。

  (房子の愚痴っぽい会話に続いて)

 ・房子:「お父様は菊子さんにおやさしくていいわねぇ。
      あたくしなんか、相原(夫=金子信雄)のおばあちゃんに
      不服顔ばかりされて」
 ・保子:「(房子に向かって)おまえの出ようですよ。
      この人があたしたちに大変やさしくしてくれるから
      あたしだって菊子にはやさしくしてるつもりですよ」
 ・修一:「(縁側に立ったまま憮然と)***************


Bラストの新宿御苑での信吾と菊子の会話

  (菊子が夫・修一と別れることを決心したという会話に続いて)

 ・信吾:「(菊子に向かって)さぁ、行こうか。寒くなった」
    (信吾と菊子はベンチから立ち上がり、歩きだす)
 ・信吾:「さぁ、顔を拭きなさい。そんな顔では、一緒に歩けないよ」
 ・菊子:「(涙を拭きながら)はい」
 ・信吾:「(前方の庭園を見ながら)のびのびするね」
 ・菊子:「*************」
 ・信吾:「*****って何だ
 ・菊子:「*************」



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