その後

手術後の日記です。
泣いたり元気になったり、また 泣いたり・・・


退院
手術後の体調
手術後の気持ち
5月18日の日記を追加しました
誰にも言えなかったこと



退院

青空

3月28日 晴れ。
今日は朝からとても良い天気だった。
3月の北海道はまだ寒いのだが、病室の窓から見る限りでは、暖かそうだった。
青い空。ずっと遠くまで続いていそうな青い空。
私の赤ちゃんも、あの青い空に帰っていったのだろうか・・・?きっとそうだね。
そんな青い空を見ていたら、お空に帰った赤ちゃんに少しでも近づきたくなって、
迎えに来ただんなさまに無理を言って、病院から車で30分位のところにある、
大観覧車のある施設まで連れて行ってもらった。

大観覧車

昼頃、その施設に着き、食事をしようとレストランに入った。
つわりはすっかり無くなっていたので、カツカレーを注文した。
おいしかった。すごくおいしかった。
つい何日か前まで、気持ち悪くて全然食べられなかったのに・・・
こんなところで、「ああ、もう赤ちゃんいないんだなぁ・・・」って実感してしまった。
心はまだ落ち着いていないのに、体だけがちゃんともう、赤ちゃんがいないのを
わかっているなんて・・・。悔しくてこんな時でもご飯が食べられる自分に腹が立って、
カツカレー食べながら、ボロボロ泣いてしまったよ・・・。

目的の大観覧車に乗った。
てっぺんまで来たところで、「また来てね。お母さん、ずっと待ってるよ!」って言ってきたよ。
聞こえたかな?
あの青い空・・・。一生、忘れない。




手術後の体調

退院〜術後1週間

3月29日(退院翌日)
おなかの痛みは軽く、出血もわりと少ない。生理の3日目か4日目という感じ。
窓を全開にして掃除をした。もう春が近づいてきている。

3月30日
朝から少しおなかが痛い。体温は依然として高いまま。なんでかな?
午後、生理痛が少し重い程度の痛みがあった。
トイレに行った時、ドロッと、3cmくらいの赤黒くてほわほわした塊が出てびっくり。
話には聞いていたが驚いた。その後、痛みはおさまったので、このためにおなかが痛かったのかなと思った。

4月1日
午後からおなかが痛くなる。痛くなるのは妊娠していた左側じゃなく、なぜか右側。
だんなさまに、「手術の時に左側に器具が入っていかなくて
右側ばかりいじっていたからじゃないの?」と言われ、少し不安になる・・・

夜中、今までにないくらい痛くなった。今度は左側。
あまりに痛いので鎮痛剤を飲んだが、あまり効かなかった。なんだか怖い・・・
そのうち疲れていつの間にか眠ってしまった。

4月2日
朝には痛みはおさまっていた。
でも起きるのがしんどくて、動くと少し痛い。
朝ごはん作るの、めんどくさい・・・。よっぽど、具合悪いからと言ってやめようかと思ったけど、
起きて作った。(作ったというのも恥ずかしいくらい、簡単に・・・)

夜、シャワーを浴びていたら、また赤黒い塊が出た。
どうもこれが出る前はおなかが痛くなるらしい・・・
基礎体温はまだ高いまま。

〜手術後2週間まで

4月5日。
病院に行かなくてはいけない。
一週間たったら来るように言われていたのだが気持ちが落ち着かず、まだ行っていなかった。
ようやく、がんばって(?)重い腰をあげた。

担当の先生はいなくて、違う先生に見てもらった。
子宮の方はきれいになっているとの事。
ただ、右の卵巣に『卵巣嚢腫』の疑いがあると言われてしまった。
来週また見て、やっぱり卵巣に何か見えるようなら本格的に調べようということになった。

基礎体温が下がらないことを伝えると、心配なので尿検査をすることに。
結果は来週。また来なくちゃならないのかと思うと憂鬱だった。

この頃までに、痛みや出血はほとんどおさまった。たまに少し痛くなったり、
おりものに混じったという程度の出血はあったけど。

4月11日。
2回目の検診。今日は担当の先生がいた。
担当とはいうものの、ちょっと頼りないこの先生・・・
基礎体温は下がってはきているが、ちょっと高め。もう一度尿検査した。
結果は先週も今週も、妊娠反応が陽性だった。
先生は「ありゃ〜」って感じだった。

先週、気になっていた卵巣のことを何も言わないので、私から言い出すと、
「ん??、はれてるって言われたの?ほんとだ。僕は気がつかなかったなぁ。」だって!!
カルテ見てよ〜!先生・・・。
そういう訳で、また来週、診察を受けることになった。はぁ〜・・・

〜手術後3週間
4月17日。(術後3週間)
昨日くらいから少し痛みがあって、ちょっと出血した。
体温はようやく下がってきて36.4度前後になった。

4月19日。
3度目の診察。ようやく数値が下がり、もう大丈夫だろうと言われる。
念のため、来週もう一回尿検査。
心配だった卵巣も今日は腫れていなかったので、ひとまず、安心した。

〜1ヵ月後
4月27日。(今日で1ヶ月)
昨日、パンを作ろうと思って、力いっぱいこねていたら出血してしまった・・・
どうも、まだちょっと無理をしたり、疲れたりすると出血するみたい。

今日は診察の日だったので、Dr.にそのことを伝え、血液検査をすることになった。
炎症を起こしていないか、尿検査での妊娠反応はマイナスになったけど、
血液中のHCGの量などをみるそうだ。
結果はG.W明け。

5月7日。
前回の検査の結果は炎症は、ほとんど起こしておらず、
HCGの量も普通よりは高いけど、この時期なら問題ないでしょう、との事。
ようやく、出血も痛みもなくなってきたし。
後は6月か7月に生理が来たら、子宮卵管造影検査をして次の妊娠に向けて再開しても良いそうだ。
これでしばらく病院に行かなくてすむよ〜(ホッ)






手術後の気持ち

退院後〜1週間目
悲しかったけれど、HPで知り合ったみんなに励まされ、
気持ち的には前向きにがんばろうと思っていた。

退院翌日。
義母に電話をした。手術の結果などはだんなさまに前もって
伝えてもらっていたのだが、心配してるだろうし、直接話したほうがいいと思ったから。
私は、義父母が孫を楽しみにしていたのを十分にわかっていたので、
赤ちゃんが産めなくて、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
お義母さんはとても優しい人で、私の体のことをすごく心配してくれた。
お義母さん、赤ちゃん産めなくてごめんなさい・・・
赤ちゃん、抱っこしてもらいたかったな。
私には母がいない分、いろんなこと相談したかったのに・・・ また、悲しみがこみ上げてきた。

だんなさまは、もともとあんまり何も言わないほうだから、
家でも特別どうこうってことはなかった。
ただ、なんとなく、私を元気づけようとしているのか、わざと明るくしているようにも見える。
ありがとう、私もがんばらなくちゃ。
でも毎日泣いている。一日に何度も立ち直ったり、落ち込んだりしている。

4月1日。(術後5日目)
今日は、昼間からずーっと落ち込みっぱなし。
世の中には、もっと辛い思いをしている人がいるっていうのに、
私は・・・、って思うと自分が情けなくなり、自己嫌悪。
また、もし流産したら? もしもう赤ちゃんができなかったら?
という漠然とした不安がつのる。
頑張らなければ、というプレッシャーで苦しくなってポロポロ泣いてしまった。
だんなさまは、「そんなに泣かないでくれよ。」と困り果てた様子。

夜、ベッドの中でまた泣いてしまった。
だんなさまが、「お母さんが泣いてばかりいちゃだめだよ。」って。
それは、いつも私が自分に言い聞かせていたこと。
わかっているはずなのに・・・。苦しい、苦しくてどうしようもない。
「まだ1週間もたっていないんだよ!前を向いて頑張っていたって
後ろを向いて泣きたくなることだってあるんだよ!!」って逆切れしてしまった・・・
ごめんね、だんなさま。だんなさまの前でだけは明るくしていようと
心に決めたつもりだったのに・・・

気持ちがふさいでいたせいか、おなかがとても痛くなった。
昨日まで痛かった右側だけじゃなく左側までも・・・。怖い。
もう、回復しないんじゃないか?
妊娠できなくなったんじゃないか?って。

男女の差?性格の違い?
4月3日
最近イライラしてどうしようもない。
何を見ても流産のことを思い出すし、こんなんじゃ、だめだと頑張ってみたり。
1日の中で、気持ちがごちゃごちゃ混乱して、いろいろ考えてしまう。
明るい気持ちがもてない。

ぱっと見る限りでは、だんなさまはもう“夫婦二人”の生活に完璧に戻っている。
二人して落ち込んだりするよりは、いいのかも知れないけれど
それがなんだか私をイライラさせた。
私のわがままだとはわかっていても、落ち込まずにはいられなかった。
こんなにも引きずってしまうのは、私の性格のせいか・・・・

男の人はどんどん先にすすんで行く。
私の流産が遠い昔のことみたいに思われているようで、
おなかにいた赤ちゃんが軽んじられているようで
すごいショック。
男性と女性ってこんなにも離れているのかと思うと悲しくなった。

どうして一人でそうやってどんどん先に進んじゃうの?
私は、まだ前に進めない・・・

〜2週間後
私が住んでいるのは、会社の社宅で、上の階には若夫婦と
2歳前後の子供が住んでいるんだけど、
最近、その子の足音が響いて、うるさくて気になる。
私が妊娠していた頃は、「うちもああなるんだし、お互い様だよね〜。」なんて
平気だったのに、流産してからは、子供足音でイライラする。
自分が流産したんだって思い知らされる毎日・・・

4月6日。
ベランダにいたら、2階のママさんとチビちゃんに会った。
チビちゃんの姿を見たら、妬ましいとか、羨ましいとかいう感情じゃなく
純粋にあの、ちっちゃい手をひいて歩きたいなぁ、抱っこしたいなぁって思ったよ。
いつか私にもそういう日が来るのかな・・・・

4月11日。
流産がわかって以来、毎日インターネットをして、天使ママたちから元気を分けてもらっている。
でも、どうしてこんなに悲しい思いをしている人がたくさんいるんだろう?
みんな辛い思いと毎日闘って生きている。
神様どうして??何のために?って思うよ、最近。

4月15日。
最近、時の流れが辛い。
妊娠していた3週間はとても長くかんじたのに、
流産してからの数週間は、何でこんなに速いんだろう?
季節や景色、周りばかりがどんどん勝手に変わっていく。
私の時間は止まったままなのに、みんな進んで行くのが怖い。
不安。おいていかれる不安?先が見えない不安?
夜、だんなさまにちょっと話した。
時間が解決してくれるのを待つしかないよ、と言う。
そうかもね・・・そうなのかな?でも話して少し楽になったよ。

今でも青い空を見ると、あの日のことを思い出してしまう。
そして、またそこからスタートしなおすんだ。

それから
5月18日。
もういつのまにか1ヶ月以上たってしまった。
季節はあの頃よりずっとよく、もう半そでを着てもいいくらい。
五月晴れの空を見るたび、やっぱり思い出す。
気持ちはまだ、前を向いたり後ろを振り返ったりの繰り返し。

昨日、ついにHPをアップした。
ここに書いてある気持ちをだんなさまも読むだろう。
読んでほしかったのかも知れない。
だんなさまはとても優しくしてくれるが、私はまだイライラすることが多かった。
話すきっかけをなくしてしまって、心のモヤモヤを伝えられずにいたから。

彼はやっぱり読んでくれた。
掲示板にも自分の書き込みをしてくれた。
お互い初めて相手の本当の胸のうちを知ることができた。
ごめんね・・・。私、自分勝手だったね。
あなたの優しさに甘え、わがままになっていたんだね。

私が流産したばかりの頃、
「もしも子供ができなくても良いと思ってる」って言われて、
“じゃあ、私はいったい今まで何のために頑張ってきたの?”
“おなかにいた赤ちゃんが死んでしまって悲しくないの?”
ってショックだったんだ。
こんなにも男女の差って大きいのか・・・って。

でも、昨日たくさん話をして、あなたの本当の気持ちを
聞くことができてモヤモヤが晴れたよ。
「できなくてもいいって言ったのは、もしも次に赤ちゃんができなくても
死んでしまった赤ちゃんのことを大切に想っていきたいからだ。」
その気持ちを聞いて、今まで誤解していた自分が恥ずかしくなった・・・
ありがとう・・・。
お空の天使ちゃんもきっとすっごく喜んでくれているね。
いいパパだね・・・

これできっと、前に向かって進んでいけそうな気がする。
まだきっと、落ち込む日もあると思うけど、マイペースでいくよ。
今は夫婦二人、一緒に歩いていけるのがうれしいね・・・
ありがとう。