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… 「片側の未来」番外☆菜花編その3 …
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 春の空はぽややんと霞がかかっている。夏の空はすっきりと晴れ渡り、色も深くなる。…そして、秋の空はどんどん遠くなる。まるで糸か何かで天井を引っ張り上げたみたいに、教室の窓から見る校庭の上にはとても高い空があった。フェンスの際にピンク色のコスモスがびっちりと咲き誇っている。

「え〜、では。これから下校となるが、みんなきちんと家庭学習をするように。推薦を受けるものは特に今度の中間の成績が大きく関わってくる。それを忘れぬように…」

 この道30年のベテランの担任が、濃い顔で凄む。最初はぎょっとした太い眉毛も半年の間にすっかり慣れてしまった。普段優しい先生が怒ると怖いけど、普段から怖い顔の先生が睨んでもあまり効果がないと思う。

 …それにしても。

 ああ、とうとう明日から中間テストか〜この前、夏休みが終わったと思ったら、早い早い。まあ、学校と予備校で毎週のように週末は模試を受けてる。それの準備に追われて、ついでに学校の予習復習をしていると、
1日が何時間あっても足りないんだ。

 ウチの高校は中学からの6年間一貫教育の私立校だ。でも大学とか短大はくっついてない。だから、もれなく外部受験が付いてくる。そのせいで、高校の1年の時から何度も進学のためのガイダンスが行われ、志望学部に合わせた細かいクラス編成がなされている。
 だから、高校3年生の今年、音大志望の春菜ちゃんとも理系志望の岩男くんともクラスが違う。音楽科はお隣のB組だけど、岩男くんは理数科だからずずんとH組。あまりにも遠すぎて、その上真ん中には広いホールまであって、気分はロミオとジュリエットだ。同じ学校にいるのに、登下校以外は廊下ですれ違うことすら稀。すっごく寂しい。

 ちなみに、弟の樹が今年から中等部に入った。ぴかぴかの1年生だ。気がついたら姉のあたしの身長なんて軽く追い抜いていて、バスケ部に入ったらしい。ああ、あの世渡りの上手いひょうひょうとした性格はバスケ、って感じだよね。
 妹の梨花の方はウチの学校には来てない。今年が中3だけど、高等部にも来るつもりがないみたい。家から徒歩で通える公立の中学校に行ってる。別に成績が悪くて落ちたとかそう言うんじゃない。はっきり言って、梨花はあたしたち姉弟の中で一番の優等生だと思う。学校でも塾でもトップクラスだ。ただ…ちょっと変わってるのよね。道場とか通ってるし。

 衣替えが終わって。男子も女子もラベンダー色の上着。下はタータンチェックで、薄い藍色の地に青と紫と…とっても微妙な色合い。遠目に見るとギンガムに見えるんだって。このチェックまでがデザイナーの特別の制作によるものだとか。ウチの学校の教室は、夏も冬も富良野の気分を味わえる。一面がラベンダー色なんだもん。

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐***‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


「菜〜花ちゃんっ!!」
 学校指定のカバンを抱えて、春菜ちゃんがやってきた。いつの間にかHRも終わったらしい、ボーっとしていたら、先生が出て行くのにも気付かなかったわ。もうクラスメイトも半分くらいいなくなってる。

「どうしたの? 一緒に帰ろうって…伝言を貰ったんだけど。珍しいねえ」
 あたしがまだカバンに荷物を詰めているのを見て、春菜ちゃんは前の席に後ろ向きに腰掛けた。さっき、B組を覗いたら、春菜ちゃんはピアノ室から戻ってなかったから、言付けを頼んだんだ。ひとりで帰るの寂しかったから。

「岩男くんは、一緒に帰らないの…? まさか、ケンカでもした?」

 こちらの顔色をのぞき込んでくる上目遣いの角度が、幼稚園の頃から変わらない。あたしたちはずーっと一緒に登下校する仲だったけど、お互いに彼氏が出来たりして、それもなくなっていた。ちなみに春菜ちゃんの彼氏はこの3年間だけで6人も変わっている。清純なピアノを愛する乙女のような外見で、信じられないけど。
 シャギーを入れた髪は真っ黒なまんま、お友達も先生に見つからない程度にこっそりとブリーチするのに、そんなこともしない。何でも国際コンクールとかに出る時に、茶髪よりもウケがいいんだとか。本当かなあ…?

「ううん、今日、理数科は特別ガイダンスがあって、1時間遅いんだよ」

「なあんだ〜」
 春菜ちゃんは大袈裟に首をすくめた。

「まあね、あんたたちに限ってそんなことはないと思ったけどね。もう学校の行き帰りから、最近までは生徒会活動までずーっと一緒で、良くもまあ波風が立たないものだわ。感心するのを通り越して、呆れてるわよ、外野」

「そうかなあ…」

「だよ〜」
 ピアノ科志望ではあるけれど、ソルフェージュのレッスンにだって週に2回も通っているという春菜ちゃん。受験科目は「声楽」ではなくて「聴音(音を聞いて、楽譜に起こす作業)」らしいけど、発声のレッスンもばりばりで異様に声が通る。今の短い言葉も教室中に響いた。もう恥ずかしいっ! …みんなが見てるじゃないの。


「でもさ、菜花ちゃん。普段なら、岩男くんが遅い時でも待ってるじゃない。どうしたのよ、今日は」
 あたしがカバンを持って立ち上がったら、春菜ちゃんは慌ててあとから付いてくる。

「えっと、ね〜…」
 足を止めて、春菜ちゃんが追いつくのを待つ。気にすることもないと思うんだけど、意識しちゃうんだよね、やっぱ。

「駅前のケーキ屋さんに予約を入れたいの。スペシャルレアチーズに特別のトッピングをしてくれるでしょう? でもあれ、30分くらい掛かるから」

「ケーキ??」
 春菜ちゃんが目をぱちくりさせて言う。

「今日って、ケーキの日だったっけ。菜花ちゃんは8月生まれだし、梨花ちゃんは9月でしょ? …ええと」

 …んもう、にぶちんっ! やだなあ、春菜ちゃんは。察しがいいようで、どこかネジが抜けているんだもん。頼むよお〜呆けないで〜〜〜っ!

「あのね、春菜ちゃん」
 あたしはそこで言葉を止めると、大きく深呼吸した。それから春菜ちゃんの耳元にそっと囁く。

「今日は、10月の20日。…何の日か覚えてない?」

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐***‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 今を去ること、3年とちょっと前。

 あたしの9年間に渡る片思いはめでたく終止符を打った。本当に信じられないことなんだけど、岩男くんもあたしのことが好きだって言ってくれた。もう、夢みたいで。しがみついた時の岩男くんの匂いと溶けちゃいそうなキスで、あたしの頭の中はずっとクラクラしていた。あまりにぼーっとのぼせた気持ちが冷めなくて、ママにはお熱が出たのかと思われたくらいだ。
 だってね、ほっぺをつねっても痛くないんだよ。それってさ、夢じゃないかと思うじゃない? 全ての感覚が麻痺してしまったみたいで、困っちゃった。パパがお仕事で良かった〜、もしもお家にいたらバレバレだったよ。結構、察しがいいんだよね、パパ。捜査官とかになれそうだなといつも思うもん。何でも営業時代に培った洞察力なんだって。

 熱の冷めない状態で、それでもかろうじて試験勉強をした。全然勉強してなくてどうにかなるほど、西の杜の試験は甘くないのだ。

 

 そして、明けて翌日。

 岩男くんがあたしをちゃんと朝、お迎えに来てくれた。お玄関先にいきなり現れた岩男くんにウチの家族はパニック状態だった。

「菜花ちゃんと、一緒に学校に行こうと思って」
 恥ずかしそうにほっぺを赤くしながら、そんなことを言うから。歯磨きの途中の樹は、ちらっと覗いた瞬間にごっくんと飲み込んでしまったそうだ。

「いいいっ…岩男兄ちゃんっ!! どうしたんだよっ! 姉ちゃんに弱みでも握られたのかい!? …それとも小遣いピンチで身売りしたとかっ!?」

 …おいおい弟よ、そりゃないだろう。あたしはゆっくりと胸のリボンを結び終えると、てけてけと玄関まで出てきた。

「おはよう、岩男くんっ!」
 にっこり微笑んだら、ぷいっと横を向いちゃうの。や〜ん、こういう時は余裕の笑顔で見つめ返してよねっ!

「あ…、ネクタイ曲がってるよ? 直してあげるから、ちょっと来て」
 30センチの身長差はお玄関の段差が緩和してくれる。えへへ、何だか新婚さんみたいだ〜実はネクタイ結びはぬいぐるみのクマさんを使ってたくさん練習したんだ。結構献身的だったんだよ、あたし。尽くす女になれそうな気がする。岩男くんがネクタイをいつも曲がって結んでいるのは知っていた。器用なはずなんだけど、ネクタイだけは別みたいだ。こうしてあげるのが夢だった。

「おっ…おいっ!? 菜花っ、今、確か岩男くんが――」

 がちゃん、とドアが開いて。縞々のエプロン姿のパパがお玄関に飛び込んできた。右手に土間ぼうき、左手にちりとり。開店前のお掃除の時間だったみたい。

「…わ…!?」

 パパの目に飛び込んできたのは、結構接近したあたしたち。だって、ネクタイ結んでいたんだもん、当然じゃない。

「あ、おはようございます。透さん、先日はお世話になりました」

 この間の釣りのことを行っているらしい。私にはつれなくしている間も、岩男くんはちゃんとパパや樹との友好関係を深めていた。その上、妹の梨花は岩男くんと同じ柔道の道場に通っているのだ。もちろん、ウチに遊びに来て上がれば、ママがキッチンにいる。となると我が家で今まで一番、岩男くんと疎遠だったのはあたしだったのだ。

「あー…、ああ、そうだねっ! 楽しかったな、また近いうちに…」
 そう言いつつ、パパの視線はあたしの手元に釘付けだ。やだなあ、あまりにあからさまだよ、パパ。あたしだって、お玄関でパパたちがお口のちゅーをするときは、覗かないように気を利かせるのに。

「そ、それで…だなっ、今日はまた…何なのかなっ! 珍しいなあ、朝からどうしたんだいっ!?」

 さりげなく言っているつもりらしいが、見るからに動揺している。もう、やだなあ、本当に。恥ずかしいよ、パパ。

「――え? …ええと、ですね…」
 岩男くんは何ともない感じで、説明しようとする。あたしは慌ててそれを遮った。

「岩男くんっ! 電車に遅れちゃう…遅刻したら大変だから、早く行こうっ…いってきま〜すっ!!」

 全く〜試験だって言うのに、あんなところでうだうだしてたら大変だよ? あの調子じゃパパの尋問は1時間じゃ終わらない。面倒だったらありゃしない。

「こっ…こらっ…! 菜花っ! …待ちなさいっ!!」
 坂の上からパパが土間ぼうきを振り回している。

 ええ、誰が待ちますっていうのっ! パパになんて、構っちゃいらんないわっ!! ばたばたと走っていくあたしの後ろから、岩男くんの規則正しい足音が続いてきた。

 


 …でも。こんなことで終わるわけがなかったのだ。その朝、学校に辿り着く頃にはもう試験勉強どころじゃないほど、学内は騒然としていた。

 

「ななななな…菜花ちゃんっ!! 何がどうして、どうなってるのよっ!!」

 昇降口で早速、春菜ちゃんに捕まった。春菜ちゃんは朝のピアノの個人レッスンのために、早く登校している。だから、あたしとは一緒の登校じゃないのだ。一緒に行ってもいいんだけど、誰もいない教室でぼーっとクラスで1時間も待つのもねえ…。

「私ねっ、もうそこら中で質問攻めよ、質問攻めっ!! もうプライド丸つぶれなんだからねっ!! 天下の春菜さんが、親友の恋の行方も知らないなんて、面目丸つぶれなのよ〜! どうして、黙っていたのよっ!! 昨日の帰りにはそんなこと少しも…」

 ああん、もうすっかりと試験のことは忘れているな? 知らないよ〜、成績が上がったら新しいゲームソフト買って貰えるって言ってたじゃない。
 それにしてもどうして昨日の今日でこんなに広まっているのよ? だいたい、あたしと岩男くんが連れ立って歩いたのはほんの40分前だよ? …あとから聞いたら、駅前で見かけた同級生が、携帯メールで情報を流していたらしい。恐るべし、情報社会だ。

「え、え〜とねっ、…だって、あのときまでは本当に何でもなかったのよっ…、そのあとにねっ…」
 そこまでようやく言い訳して、やっと気付く。さっきまでは背後にあったはずの「壁」がなくなっている。

 ――はっ!? 岩男くんっ!! どこ行っちゃったのよっ!! 逃げたわねっ…、ひどい〜〜〜。


 そのあと、気がついたらあたしの周囲は黒山の人だかり。涼しい顔の岩男くんが悠然と教科書を広げてテストの範囲を見直している教室に辿り着くまでに、とんでもない時間が掛かってしまった。

 


 ――そして。

 その日、家に辿り着くと。お昼だというのにお店はまた閉店していた。パパには商売をする気があるのか本当に怪しいところだ。あ、テスト中だから、お昼で学校が終わったのよね。
 こそこそ…と、自分の部屋に戻ろうかと思ったのに、お玄関の前でパパがうろうろしていた。全身から何とも表現のしようがないオーラが出ていて怖い。岩男くんとは一緒に戻ってきたんだけど、お店の前で「ばいばい」して良かった〜。

「あっ! ああっ!! 菜花っ!!!」
 パパはあたしの姿に気付くやいなや、近所中に響き渡るような大声で叫んだ。もしかしたら、向こうを歩く岩男くんにも聞こえたかも知れないわ。

「たっだいま〜、パパ…」
 明るくそう言って素通りしようとしたけど、すぐに通せんぼされてしまった。ちょっと待ってよっ! まだ期末テストが残ってるんですけど? パパとゆっくりおしゃべりしている暇なんてないんだから。あたしは今や岩男くんの彼女なんだから、彼が恥ずかしくないように一生懸命勉強しなくちゃ。

「――待ちなさい、菜花。ちょっと、リビングまで来なさいっ!!」

 …とても言い逃れが出来るような状況ではなかった。

 


「あの――、パパ?」

 リビングの床に正座して(板間なので、結構足が痛い)、あたしは恐る恐る見上げた。パパは腕組みしたまま、むっつりしている。何なんだよ〜、ただ岩男くんが朝お迎えに来ただけじゃないの。これが朝帰りとかそう言うのだったら、分かるよ? でもさ、今時一緒に登下校なんて、小学生だってやるじゃないのっ!

 ああ、きっとふたりして反発し合っていたら、永遠に磁石のように意思の疎通が図れない。ここは場を和ませなくっちゃ…ええと…。

「ねえ、『思いっきりテレビ』を見なくていいの? みのもんた、終わっちゃうよ?」

 必死に頭をひねって、明るい話題を出したのに。パパとあたしの間にはぴりぴりと肌を刺すような空気で満たされていた。

「…みのさんのことは、この際我慢するっ!! 大切な娘の今後のことの方が重要なんだから…」

 うっわ〜、青筋立ってますけど、額。こんな怖い顔をするパパは初めてだわ。その後ろでママはどうしていいのか分からない様子でうろうろしている。まるで自分が怒られているみたいに顔色が悪い。梨花と樹はまだ小学校から戻ってきてなかった。

「ね、ねえ…透。お昼ご飯が冷めちゃうわ、食べちゃいましょうよ…」

 ママは震える声でパパに言う。でもパパは最愛の妻をちらっと一瞥しただけで、吐き捨てるように言った。

「…千夏は黙っていなさい。これは菜花と俺の問題だから」

 うっ…違うぞ。子育ては夫婦の共同作業で行うべきだって、この前家庭科で習ったわよ? そう突っ込みたかったけど、とても無理っ! 怖いよ〜。

「菜花、パパは色々考えたんだ。まあ、お前だって年頃の娘だ。綺麗に着飾って、男といちゃいちゃしたいだろう…でも、これには一定の秩序がなくてはならない。若い男女はどうしても歯止めがきかない。何かあってからでは遅いんだからな…っ!?」

「…はあ…?」
 昨日、岩男くんから言われたのと似ている言葉を、今度はパパから言われる。もしかして、このふたり、結構似ていたりするっ!? あたしもこれでいて、結構ファザコンだったのかしら…?

 何とも言えない気分でパパの顔をもう一度見る。少し皺が増えたけど、やっぱり格好いい。オレンジ色のシャツもよく似合ってるなあ…。パパはごっくんと息を飲むと、何度か咳払いした。

「菜花、よく聞きなさい」
 おなかに力を入れた威圧的な声で、パパははっきりと言い切った。

「今日から、ウチの休日の門限は5時半だ。遅くなる時は必ず電話を入れること。分かったなっ!」

 

 …は?

 さすがに聞き違いかと思った。あのー、パパ? 5時半って…それ、マジ?

 

「あ、あのっ…透? 5時半って、まだ外は明るいわよっ、そりゃないでしょう…」
 ママもあんまりだと思ってくれたらしい。必死で反論してくれる。

「いや、娘のためを思えばこそだ。…菜花、パパにとっては岩男くんは息子同然の可愛い存在だ。だが、まだまだ、お前の相手として認めるわけにはいかない。そんなこと、パパが許さないぞっ!! もしも本当に菜花が欲しいなら、その時はパパを投げ飛ばしてからにしなさいと伝えなさいっ!」

 …あの〜、パパ? 息子同然の可愛い存在を、どうして娘の相手として認められないの? 何だかすごく変だよ〜。それに、岩男くん、ばりばりの黒帯なんですけど。パパなんて楽に投げ飛ばしちゃうわよ?

「や、やだっ…、透ってば。あなただって、私の親、投げ飛ばしていないでしょ? だいたい、いちいち親に報告してからなんて、恥ずかしくて出来ないわ」
 ママの方は何だかピントがずれたところで、真っ赤になって反応してる。

「千夏」
 パパはくるりと振り返った。

「俺たちの場合はお互いに成人していたんだからいいんだ。両性の合意のみでコトに及べる年齢だったんだっ!」

 …うわ。何を言い出すんだ、この夫婦。と言うか、何の話をしてるのよ〜っ! 聞いてるこっちが恥ずかしくなるぞ。だいたい、そんなこと…あたしが許しても岩男くんが許しませんって。

 

 常春夫婦を前に。あたしはまたクラクラと目眩がして、その日も試験勉強がはかどらなかった。


 

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