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…After Storys, 4…
『そして、やっぱり君が好き』 おまけ

 

 

2002年12月31日(火)…のつづき

「…し、知らないわよっ! もう…」
 それでもまだ、わずかに抵抗する口元。それを封じ込めて、何度も口づける。
「三日もご無沙汰してるんだぜ? もう溜まりまくり、どうにかしてくれないと、俺、暴走しそうだし〜」
 最高にいい感じのセッティング。もう逃げられない所まで追いつめて、襲いかかる。ここで包丁を持たれて斬りかかられたらオカルトだけど、日和に限ってそんな心配はない。俺もスプラッタは見るのはいいけど、自分ではやりたくないし。
 やわらかくて細い身体を包む服。どこから手を差し込もうかと思ったが、とりあえずは裾から。襟元にも袖ぐりにも裾にもふわふわのついたニット。どうして冬の寒空にこんな袖無しを着れるのか理解に苦しむが、流行なのだから仕方ないのだろう。俺としては露出度の高い方が嬉しい。脱がせやすいし?
「あんっ…、もうっ。そんなこと言って、何なのっ…」
 日和の言いたいことは分かっている。日和と暮らし始めるまでの俺は予習だけはばっちりの悲しいフリー男だった。そりゃ、何でもないままいられるわけもなく、それなりに処理はしていた。でも人づてに恐ろしいことも聞いて、安易におねーちゃんがたくさんいる店にも行けなくなったのだ。
 とある教師がそう言う店に出かけていった。指名もなくお任せで頼んだら、いきなり自分のクラスの生徒がばばんと現れたという。思わず二人して、顔面蒼白になったが、ここはやるわけにも行かない。厳重注意して、このことは内々にすることにし、事なきを得た。ただ、その生徒がその後、仕事を辞めたのかどうかは分からないと言う。
 …まあ、バイト禁止の高校なのに、コンビニに生徒がいたり、ガソリンスタンドに生徒がいたり。世の中には見なくていいことが多すぎる。さすがにスケスケの服をして、乳首も露わに生徒が現れたら大変だ。教師という職業も時として面倒なものなのだ。
「あ…ふっ…!」
 服をたくし上げて、ブラを取る。形のいい胸がふるんと現れて、もうたまらない。日和はなかなか胸が大きい。やる気になれば、胸の間に挟んで…というのも出来そうだ。まあ、やってもらったことはないが。いつもは時間を掛けてじわじわっとやるんだけど、悲しいかな、タイムリミットは迫っている。まるでシンデレラな俺たち。
 日和はシンクを握りしめて、突っ立っている。中腰になって、胸に吸い付いた。甘くていい匂いがする。スカートをずり下げてガードルの上から輪郭をなぞる。ガードルって固い気がするけど、ちゃんと大切な部分はやわらかく出来ている。布の上からでもちゃんと伝わるのだ。するすると指を滑らすと、日和の膝がぴくっと跳ねた。
「感じてるじゃん…いいよ〜」
 口を離して、挑発する。天井の低い台所で、彼女は必死に声を殺している。でも甘く呻く鼻にかかった声が俺を誘ってくる。日和が磨き上げた銀色の壁に反響して。そこに映る淡い影も悩ましい。鏡張りのホテルで抱いてるみたいだ。そう言うのも楽しいだろうなあ…。
「やんっ…、やあっ…、駄目っ…」
 そそり立つ胸の頂。指でつまみ上げてこする。もう感じまくっているんだろう。口ではああだこうだ言っていても、案外こうなることを期待していたり?布越しに湿り気を伝えてくる部分が熱い。やがて、身体に力が入らなくなったのか、徐々に身体は沈んでいく。やがて、ずるずるとキッチンマットの上に腰を落とした。
 投げ出された足をなで上げて、彼女の大切な部分を閉ざしている布をずり下げる。ガードルって面倒なんだよな…でも手のひらを後ろに差し込んで空間を作って下げる。俺も慣れたもんだ。股を過ぎればあとはするすると抜き取れる。そして、すぐに足を取って左右に開かせると、そっと顔を埋めた。
「…あっ! やっ…!」
 シンクに背を押し当てて、肩をこわばらせた日和がいよいよ泣き出しそうな声を上げる。その声が俺を誘うのを知っているのか、知らないのか…。とにかくそんな風にされると、いきり立たずにはいられない。キッチンマットに食い込む爪がギリギリと音を立てた。
「ふふ、おいしそうだ〜日和ちゃんのここ…」
 いつ見ても熟れた果物みたいだ。食べてくださいと誘ってくる。甘い蜜までが溢れだして。とろりとおしりの方まで流れていくそれを舌で舐め上げる。日和の身体ががくがくっと震えた。
「ねえ…、ここじゃ嫌っ、ベッドに行って?」
 うつろな瞳で言う。でも溶けていきそうなその声はもうこのままどうにかしてしまいたくなる。日和としても上体を起こしたこの姿勢では俺のせめたてる姿が視界に入ってしまうのだろう。それなら目を閉じてろ、と言いたいところだが、そこは人間の好奇心という奴だ。気丈な彼女ですら、それには勝てないらしい。
「駄目…」
 俺は泉の中を舌と唇で彷徨う。ぴくぴくっと震えているのが何ともいい感じ。ふくらんだ突起を初めは舌でつついてから、口に含む。唇で挟めるほどのその部分が彼女を甘く支配する。そっと刺激しただけで、普段は絶対に聞けない官能的な声があがる。かすれる喘ぎ声が宙を漂って。
「あっ、…あんっ…、雄王っ! 雄王っ…!」
 湿り気を含んだ声に顔を上げれば、彼女の目のフチがうっすらと滲んでいる。たまらずに口づけて、舌を差し込んだ。彼女は俺の首に腕を回して、怖いくらい素直に反応する。
「…ねえっ…、ベッド…」
 フローリングの上では痛いだろうから、キッチンマットをちょっとずらしてその上に横たえる。年末だからとこの前新調した奴だし、汚れてもいないはずだ。クリーム色のマットの上で、日和の滑らかな肌が揺れる。
「駄目、日和。これ以上動くと、たくさんたくさん溢れて来ちゃうよ? そこらじゅうにシミが出来てもいいの? 掃除するの嫌だろ?」
 言葉でせめたてながら、指を差し入れる。塞いだ唇がびくびくと震える。
「そ…そんなっ…、そんなじゃないものっ…!」
 荒い息の中から、必死で抵抗する。でももう身体にはそんな彼女に同意する部分は残っていないはずだ。
「う〜? こんなになっちゃって。俺だけで満足できるの? 何か別のものでかき混ぜてからじゃないと、俺の腰が立たなくなったりして…」
「…え…?」
 戸惑いの声に嬉しくなる。俺は彼女の耳元でくすりと笑った。
「ここ、台所だし〜色々あるだろ? 何がいい? 凄く変わったものがいいかなあ…」
 それから、小声でひっそりと。
「棒アイスとか、変わってていいかもよ?」
「えっ…? ちょっと?」
 彼女は慌てて腕をついて身体を起こした。
「や、やだっ! 絶対に嫌っ! そんなっ…」
「うっそ〜だよv」
 がばっと押し倒して。そのまま、閉じかけた足を開いて入り込む。それから、まだ疑いの色を乗せた瞳をじっと見つめて。
「日和の、一番欲しい物、あげる」
 引っかかりつつ、下着を脱ぎ捨てて、熱くたぎった部分に自分を押しつける。そのままがっと一気に貫いた。日和が声にならない悲鳴を上げる。
「時間、ないから…」
 頬にかかった髪を払って口づける。ピンク色のそこが熱い。瞼もぽってりして、顔全体がだるそうだ。ついいましがた、部屋に飛び込んできたのは無垢な天使だったのに。こうして腕の中に捉えるとその姿を豹変させる。俺を受け入れた部分が妖しくうごめく。
「一気に行くから、我慢しないで…」
 限界まで引き抜いて、また強く入り込む。ああっ、と日和が背をのけぞらせる。何度かそれを繰り返しているウチに、だんだん勢いが増してくる。日和が体を起こして、首に腕を絡ませてくる。
「あん、ああんっ! …あ、いいのっ、いいのっ…! 雄王っ…!」
 繰り返す波が俺たちを水底まで引きずり込む。そんなところまで行ってしまったら、どうなるんだろうといつも思うのに。やめることが出来ない。
「日和ぃ…、日和っ…!」
 ひぃひぃと声をあげながら、しがみついてくる身体がたまらなく愛おしい。しっかりと身体を絡ませたまま、俺たちはとても深い場所まで堕ちていった。

 はぁはぁと荒い息をしながら、汗ばんだ身体を抱き寄せる。俺の全てを受け止めた身体が、元のようにやわらかくて綺麗なものに戻っていく。俺にしがみついたまま、日和がすすり泣いている。髪に指を絡ませて、強く強く抱きしめた。
「日和っちゃん…」
 彼女の耳に届いているのは、どくどく流れる俺の鼓動だろうか?
「ん…」
 熱い吐息の中で、かろうじて応えてくれる。
「好きだよ、日和っちゃん。本当に、滅茶苦茶に、好きだよっ!」
 何て言ったらこの気持ちが伝わるのか。分からないほどに。彼女の全てがいいと思う。
「…私も…」
 俺の胸にしっかりと顔を埋めて、甘い重みを乗せながら、彼女が呟く。
「私も、雄王のことが好き、大好き」
 そっと身をはがして。やわらかく口づける。俺を受け止める唇が滑らかな愛を告げる。永遠の誓いのように。
「…シャワー、浴びなくちゃ…」
 一頻り繰り返した後、彼女がハッとしたように時計を見る。TVでは紅組の司会者がマイクを持って満面の笑みを浮かべていた。ああ、今年の紅白は全然観られなかったな。でも、まあいいか。
「うんにゃ、じゃあ、一緒に入ろうよ? 洗ってあげる…」
 裸のまんまで抱き合っているとアダムとイブになったみたいだ。一番最初の人類になって、これから歴史を作り出すんだと思ってしまう。そんなはずもないのに。
 いつまでも眺めていたいのに、日和はコトが済むとすぐに身体を隠したがる。それが凄くもったいない。
「えっ…いいよっ、狭いし、それに…」
 半歩、後ずさりして立ち上がる。絶対に来ないでね、という態度。
「何か、おかしなコト、考えてるんじゃないでしょうね…?」
 疑いのまなざし。ふ、分かってるじゃん。俺、全然満足してない。こんなに盛り上がっちゃったら、もう後には引けないんだ。こうなったら、治ちゃんには断りの電話を入れて、今夜はとことん、姫納めと姫はじめを…

 その後、何ラウンド頑張ったか、とかそういう野暮なコトは聞かないように。聞かれたって、答えられないけど。だいたいさ〜、もう途中からは俺も数えられなかったからな。

 かくして。俺の今までの人生で一番幸せな正月は、こんなふうに明けて行ったのであった。

 

これで、本当にめでたし、めでたし(030114)

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