TopNovel>夏眠〜泡沫の宵・あとがき


…あとがき…

 

このたびも最後までのお付き合い、誠にありがとうございました。全五話・原稿用紙96枚分という分量の割りにはここに辿り着くまでに時間が掛かってしまいましたが、どうにか無事に幕を下ろすことが出来てホッとしてます。
タイトルの「夏眠(かみん)」という響きの通り、ひとときの気だるさを過ごす物語になればいいなと思ってました。長い長い人生の中のほんの一瞬、通り過ぎてみればあとかたもなく消えてしまいそうな夢の時間。「読み物」として楽しめるかどうかは分かりませんが、今回のふたりをどうにかしてかたちに残したかったのです。こういうのを「作り手の我が儘」とか言うのでしょうね。

必死に生きているのにどこか上手くいかなくて、躓いても転んでもそれでも必死で這い上がっていく人間の姿が好きです。きれい事では済まされない日常生活ではひた隠しにしている部分、どろどろとした内面を掘り下げていけたらいいなと願ってます。まあ、作者である私自身が「のんびりのほほん」とした性格ですから、限界がありそうな気がしますが……。
自分の願ったことが全て叶うわけではない、どんなに努力しても二者択一でどちらか一方を捨てなくてはならない現実があります。そしてギリギリの崖っぷちに立ったときに、最後に信じるのは自分自身の心の声。それを責めることやなじることは誰にも出来ないと思います。今までの短くはない?人生の中でその「声」をはっきり聞いたのは一度きりですが、あのときは本当に驚きましたし今でも信じられない気分です。人間って怖いです、時には自分の心も180度転換することが出来ちゃうんですから。

話がまとまらなくなってしまいましたが、この作品をもちまして今年最後の更新とさせて頂きます。どちら様もどうぞ良いお年をお迎えくださいませ、そして来年もまた当サイトに気軽に遊びに来てくださいね。特別なおもてなしは相変わらず出来ないと思いますが、自分自身が限界を感じるそのときまで細く永くこの場所に「生息」していたいです。

それではまた、新しい作品でお目にかかれることを願ってます。ありがとうございました。

 2006年12月29日
『Powder Moon』管理人・Kara

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