…沙羅の章・番外編…

…AO様、17171hitのキリ番リクエストありがとうございました…

「秘色」初心者様はちょっとこちらへ…

 「北の集落」の春は遅い。

 海底の国の中央より北側に位置する「竜王の御館」。国の隅々まで結界を張り、民の安全を守る竜王・華繻那(カシュナ)様…そのただひとりの御子である姫君・沙羅(さら)様にお仕えする。それが多奈(たな)の お務めであり生き甲斐であった。幼き頃から沙羅様の乳母である母に付いて御館に上がっていた。多奈にとっては人生のほとんどを過ごした場所である。

 …4月。

 今頃、御館の東所、沙羅様が幼年時代を過ごされた竜王様の居所の御庭は花の盛りである。庭の先の朱花(しゅか)はもちろんのこと、天寿花(てんじゅか)の林は夢のように薄桃の花が天井を造っているだろう。自分の夫・青汰(アオタ)がお務めしている東の栽培所の舞夕花(まゆか)も花の頃だ。

 瞳を閉じていてもその様子は思い描ける。明るくて、暖かくて、大好きな季節。

 …でも。

(ここには…まだ春が来ないのよね…)

 ごろん、と寝台の上で寝返りを打つ。チクリと身体の芯が痛んで、全身が熱っぽい。板戸を下ろしたままの部屋の中は薄暗くて、今が昼なのか夜なのか分からない。全てが面倒くさくて、やる気も起きなかった。せめて板戸を開ければ気分も優れそうだが、まだ枯れた風景が広がっているだけと思うと何となくそう言う気にもならない。

 「竜王の御館」から、さらに徒歩(かち)で丸一日も北へ行く「北の集落」は夫の故郷であるだけでなく、自分にとっての 故郷でもある。でも…全然懐かしくもなくて、親しみも湧かない。

 ぼーっと天井を眺める。胸の奥がじんわりとした。

 


「…具合、どう?」
 ことり、と戸口が開いた。キイと乾いた音がして、すうっと外の光が注ぎ込んでくる。多奈の横になっている寝台まで縦長の光の帯が伸びてきた。

「もう、また締め切ったままで。これじゃあ、いつまでたっても体調が回復しないでしょう? いつも、開けなさいって言ってるでしょう?」

 相変わらず、よく働く夫だ。青汰は部屋にどかどかと入ると、三方にある窓をみんな開け放った。

 急にぱあっと光が満ちあふれて、ようやく今が真昼間であることに気付いた。あんまりのまぶしさに多奈は上に掛けていた寝具代わりの重ねを額まで引き上げた。

 

「…あれえ、青樹(アオキ)は?」
 次の間に入った青汰が不思議そうに声を掛けてくる。赤子の寝台を見たのだろう。

「青のお母様が連れて行きました」
 顔を少し重ねから出して、棒読みで告げた。それだけで多奈の不機嫌さが伝わっただろうに、相変わらず青汰はひょうひょうとしている。

「ふうん…大人しいから寝てるもんだとばかり思っていた。あの子、よく寝るからなあ…」
 ちょっとがっかりした様子だ。お祝いに来る訪問客の列が切れたのかも知れない。きちんと礼服を着込んでいる。いつも竜王の御館で見ている浅黄の水干に小袴の仕事着ではない。青の一族の跡取りとしての格好だ。

「まあ、いいや。さっき、お客様から唐菓子と朱の実の汁を頂いたんだ。甘酸っぱい飲み物、知ってるでしょう? ほら、起きて。頂こうよ…」

 ことこと。テーブルの上に並べる音。その後、がばっと重ねが取り払われた。

「きゃあっ!!」
 いきなりのことだったので、抵抗できなかった。

「なんだ、今日は少し顔色が良くなったんじゃないの?」
 ふくれっ面で思い切り不機嫌に装ったが、目の前の夫はニコニコと微笑んでいる。

「ほらほら、起きて…」
 手を引かれて、ゆるゆると身を起こす。サイドテーブルと椅子をずるずる引っ張ってきて、青汰はそこに腰を下ろした。寝台の上に上体を起こした多奈と視線の高さが同じになる。

 乱れた髪を手櫛で整えて、多奈はふうっと大きなため息を付いた。

 

………


 多奈にとって初めての子を産んだのは1月前のことだった。2月の終わり。

 どこで産むのか色々考えた末、夫の青汰の母親である青の母上の意向を汲んで、ここ、青の一族の村で産むことにしたのだ。本当なら自分の実家である北の集落の長たる一族・多の一族の館で産みたかったが、多奈の母親は病弱でとても産後の娘の世話は出来そうにない。まあ、北の集落は故郷であっても異郷の様なものである。多の一族だろうと青の一族だろうと多奈にとっては大差なかった。夫の青汰も仕事の休暇を取って、付いてきてくれた。

 想像はしていたが、青の集落では盛大な歓迎を受けた。一族の次期長である青汰とその妻である多奈。しかも最初の子供を出産するとあって人々は沸き返っていた。産気づくまでの半月あまりはどこへ行っても縦の物を横にも出来ないほどの扱われようで、ほとほと疲れてしまった。大切にされているのにかえって体調が悪くなる。もともと御館務めが長く、お世話をすることには慣れていてもされることには慣れていない。気疲れで気が狂いそうだった。

 

 それが。お産の長いトンネルを抜けて、無事赤子を産みあげて。

 うつらうつらとして目覚めると、辺りには誰もいなかった。今まで世話をしてくれていた侍女すらいない。ぼーっと動かない頭で思考を巡らすと、自分が赤子の顔すら見てなかったことに気付いた。朦朧としながら産声を聞いて、その後…どうしたんだろう?

 半刻ほど、動かない体で悶々としていると、そのうち青汰が騒々しくやってきた。

「多奈さん! …起きた?」
 汗を拭き拭き。この早春にどうしてこんなに上気した顔をしているのだろう、そう思った。

 …あとから、彼はこの頃、親戚への報告参りに走り回っており、目の回るような忙しさだったと聞いた。祝いの餅を作り、それこそ「北の集落」じゅうに配るのだ。そんな習わしがあったとも知らなかった。教えてくれたのは今回付いてきてくれた青真(あおま)である。相変わらず嫌みないい方ではあったが、以前のように棘はなくなっていた。青汰からもきつく申し渡したらしい。驚くほど素直になって腰が抜けたほどだ。

 青汰はその忙しいさなか、多奈に会いに戻ってきてくれたのだ。

「あの…赤さん…」
 多奈が不思議そうに訊ねると、青汰がにっこりと笑った。

「多奈さん、お疲れさま。赤さん、男の子だったよ。青の母上が喜んで…今、抱いて歩いている」

「…お母様が?」

 私はまだ対面もしていないのに、青の母上が連れだしたのか? とちょっと嫌な気分になった。

 今まで自分を取り巻いていた人間達が全て赤さんの方に吸い寄せられて、消えている。自分を取りなしてくれていたわけではなかった、おなかの赤さんを取りなしてくれていただけだったのか…何とも言えない脱力感が多奈を覆い尽くした。

 

 それでもその時はお産の疲れで多くは考えられなかった。しかし、段々と身体が元に戻ってくるに従って、窓の木枠に徐々に埃が積もるが如く、知らないうちに色々なものが積み重なっていくような気がしてくる。命名の問題、世話役の選出、祝いの衣の色目…全部青の母上が取り仕切っていく。お乳を上げる時間以外、抱いていることもない。多奈の記憶の中に自分の産んだ息子「青樹」がお乳を吸っている姿しかないのだ。寝顔すらゆっくり見たことがない。

 そのうち、出産時の傷や胸の張りすぎで、徐々に体調が崩れてきた。床に伏していることが多くなる。青汰はお祝いに駆けつけた客人の接待に追われている。その忙しい合間を縫ってこうして来てくれるわけだが、多奈の気は晴れなかった。

 

………

 

 今日も授乳を終えると、待ち構えたように青の母上がやってきて奪うように青樹を連れて行ってしまった。

 お乳の張り具合でそろそろ次の授乳の時間のような気がする。しかし、青樹はさっき青汰が言ったようにとにかくよく寝る子だ。お乳の時間を忘れて寝入ってしまうことも多い。青の母上は可哀想だから起こすことはない、と言うが多奈としては胸が張って張って、苦しくて仕方ない。自分で絞ってもそんなに出るものではない。赤子に吸って貰うしかないのだ。この発熱もそのせいではないかと思う。この頃は吸い付きが良くなって、かなりの量を飲んでくれるようになったが、多奈は元々お乳の量が多いらしく、青樹には余るらしいのだ。

(これは早いところ、沙羅様の御子がお生まれになって下さらないと…)
 そんな考えも浮かんできた。

 


「どうしたの? ふさぎ込んじゃって…」
 朱の実の汁の器を手にしたまま、ぼーっとしている多奈に青汰が話しかけてくる。

「ええ? …ううん、別に…」
 いい加減な受け答えをして、一気に器の中の汁を口に流し込む。甘酸っぱい香りがいっぱいに広がって清々しい気分になった。母乳を上げているせいか、やけに喉が乾く。このような酸味のある飲み物は特に嬉しかった。

 朱の実は貴重品だから日常、ほとんど口にすることはない。青樹の母であるからこうして飲むことが出来るのかも知れない、そう思うと多少、気が晴れた。

 多奈の表情の変化を見て取ったのだろう。青汰がくすくすと笑いながら、お代わりを注いでくれた。それを多奈が飲み干すのを待って、彼は静かに話し出した。

「…多奈さん、何かおなかにたまってない?」

「…え?」
 たまっている、と言えば…今口にした朱の実の汁だろうか? どうしてそんなこと聞くんだろう? 不思議な気分になって聞き返していた。

「言いたいことがあるなら言って? 多奈さんは我慢してどんどんため込むから。小出しにしないとあとで大変でしょ?」

 あくまでも、穏やかに。ストレスなんてたまることはないんじゃないかと思う夫。誰に対してもこの態度は変わらない、どんなに高貴な人に対しても、家の使用人に対しても同じように接する。不思議な人だとしみじみ思う。すれ違うことなく一緒にいる時間が長いだけに余計そう感じるのかも知れない。

「別に…大したことじゃないと思うんだけど…」
 すんごく言いにくい、言いたくない。これを言うと青汰に軽蔑されそうな気がする。するっと青汰から視線を外して俯いてしまった。

「大したことじゃなくても。多奈さんがそんな風に沈んでいるのは俺としても嫌だから」

「う…」
 吐き出してしまえば楽になるだろうか? 自分の唇が乾いたままで空を切る。何回かそれを繰り返す。青汰が自分を静かに優しく見つめているのが肌を通して感じられた。

「何だか、私…赤さんにお乳をあげるだけの存在な気がする…」
 ようやく絞り出した言葉。吐き出してしまったら、心のつかえが取れたように目尻が潤んだ。

「青のお母様、すぐに青樹を連れて行っちゃう。私、青樹のこと、ゆっくりと寝顔を見つめる暇もないの…何だか何のために自分がここにいるのか…分からなくなって来ちゃった」

「多奈さん…」

 ぎゅっと膝の上の重ねを握りしめていた多奈の手を、青汰の身体のわりに大きい手がふんわりと包み込んだ。

「…ねえ、青汰。もしも竜王様の御館に戻るとき…青樹を置いていけって言われたら、どうしよう…何だか、不安なの」
 そう告げる唇が自分でもどうにも出来ないほど大きく震えている。ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。それが青汰の手の甲に落ちていく。

「やだなあ…」
 青汰が全く声色を変えずに言う。

「そんなわけないでしょう? 青樹の母上は多奈さんなんだよ? 多奈さんが青樹を育てるんだよ? 多奈さんが嫌だって言ったって、そうするんだよ…それくらい、母上も分かってるって」

「…そうかしら」

「ねえ、多奈さん――」
 青汰のてのひらにぐっと力がこもった。少し熱を感じる。微熱のある多奈よりも熱を帯びている。

「抱きしめて、いい?」

「へ…?」

 青汰はすっと椅子から立ち上がってこちらに身を乗り出してくる。ぴくん、と身体が震えたが、逃れるよりも早くふわっと腕がまとわりついてきた。

「あお…」

「…ちょっとさ、俺、嫌な気分なんだけど」
 そう言って、青汰が多奈をぎゅっと包み込んだ。

「え…? 何? …どうしたの?」
 訳が分からない。どうしようかと思って身じろぎしたが青汰の腕の力が強くて全然ほどけないのだ。

「多奈さんさ…さっきから聞いていると、青樹、青樹って…」

「……?」
 腕の中でゆっくり顔を上げた。それに気付いた青汰がこちらを覗き込む。視線が重なり合ったと思ったら、青汰がついっと近寄ってきた。そのまま唇が軽く触れ合う。

「多奈さんて、俺のお嫁さまでしょ? そりゃあ、青樹の母上ではあるんだけど…このまま多奈さんが青樹ばかりに夢中になって、俺のこと見捨てたら嫌だなあ…」

「え…?」
 何を言っているんだろう、この人は。自分だって青樹の父上じゃないか。多奈が何度か瞬きすると、照れた笑顔が恥ずかしそうにこちらを見つめていた。

「自分の息子に嫉妬するのはおかしいと思うけど。多奈さん、俺がいるんだからさ、あんまり思い悩まないで…」

「青汰…」

 暖かい瞳の色に、何とも言えない想いを感じて。胸がきゅっと締め付けられた。忘れていた感情、多奈は夫の衣に頬を押し当てた。

 久しぶりに、夫の胸に甘えた気がした。さすがにいつもの生の舞夕花の香りはない。思えば今は舞夕花の耕地は一番忙しい時期だ。その仕事を投げて付いてきてくれたのだ。多奈がひとりで青の一族の村で心細い思いをしないようにと気遣って。

 そう言う人なのだ、そう言う夫なのだ。

「それにさ」
 青汰は言いたいことを言って満足したように、そっと腕を外した。

「これから、先。多奈さんがもっともっと赤さんを産めばいいんだよ。青の母上も悲鳴を上げるくらい忙しくさせてあげようよ…」

「…え? やだ…」
 さっと、血の気が引いた。思わず、口をついて出てきた言葉。生々しく思い出した、お産の時の苦しさ、痛み。もう耐えきれないと思えたあの時間。あれをまた繰り返すのだろうか? もうたくさんだと思う。

「何言ってるの…」

 とくとくとく…朱の実の汁を注ぐ音。それを手渡してくれてから、にっこりと笑った。

「青の母上は…10人産んでるからね、俺の兄弟。多奈さんにも頑張って貰わなくちゃ…」

「でも」
 器の中の赤い色を見ながら。情けない声を出していた。

「赤さんって、おなかにいるときも、出てきてからも本当に大変なんだもの。私、何だか疲れちゃった。これからどうなるんだろうと思うと気が遠くなりそうよ?」

「そんな、弱気なこと言わないの」

「今だって…」
 多奈はそっと胸元に目をやった。

「お乳が張って、張って…本当にカチカチなの。痛くてたまらないの…でも、青樹は戻ってこないし、飲んでくれたとしても、すっきりはしないわ。自分で絞ると切れて痛くなるの…」

 

 自分の身体なのに、自分の物じゃないみたい。青樹のためにある身体のような気がする。自分の思い通りにならない身体がもどかしい。こう言うことのひとつひとつが自分を落ち込ませていくのだ。

 

 恨みがましい目で見上げると、視線の先の青汰がくすくすと笑っている。何て非常識なのかしら、妻がこんなに苦しんでいるというのに、声を上げて笑うなんて。

 青汰はひとしきり笑ったあと、大きく咳払いをした。まだ、笑いがこみ上げてくるようだ。それを堪えながら、絞り出すように言った。

「…俺が、吸ってあげようか?」

「え? …嘘っ!!」
 ずずずっと後ずさりしたが、素早く小袖を捉えられていた。

「母乳を飲んでみたいって、仲間うちで良く話題になっているんだけど。ひとんちの飲むわけにも行かないでしょ? …多奈さんが苦しんでいるんだったら…協力するよ?」

「やだやだっ!! やめて!! ねえ、ちょっと…」
 胸元に顔を埋められて、必死で抵抗する。ちょっとやだ、嬉しくない。

「青汰…っ!!」

 どうしよう、と思っているときに。がたりと戸口で音がした。二人してハッとする。よく考えると半開きのまま…。

 

 おそるおそる、そちらを見る。赤子を抱いて、呆れ顔をして立っている…。

「お兄様? お楽しみの所、申し訳ございませんが、若君がお食事の時間なので。多奈様を返していただけますでしょうか?」

 青樹を連れてきたのは、青真だった。まあ、青の母上でなかっただけ良かったか。

「伯母様、腰が痛いって。ずっと赤様を抱いていらっしゃったから。それから、多の一族の方々がお祝いに来て下さっているそうだから、多奈様にも出てくるようにって。御支度、手伝いますから…まずはお乳の方差し上げちゃってください」

 多奈に青樹を渡すと、さっさと次の間で衣装箱を改めているようだ。いつもながらてきぱきとしている。

「…しばらくは…敵わないなあ…」
 必死にお乳を吸っている息子を眺めながら、青汰が情けない声を出す。そして、つんつんと、柔らかい頬をつついて。

「おい、分かってるのか? 貸してやってるだけだからな。そのうち返して貰うからな…多奈さんはお前の母上である前に、俺のお嫁さまなんだから。俺の方が先だからな…」

「まあ…」
 むずかる青樹を揺すり上げて。多奈はちょっとたしなめる仕草をした。

「気が散るようなこと、しないで。可哀想でしょ?」
 そう告げながらも、心の奥がちょっと暖かくなる。すいっと吹き込んでくる、春の気配。

 心が羽ばたくように自然に口をついて言葉がこぼれていた。

「…私、今日から床を上げるわ。身体を慣らして…天寿花の咲いてるうちに御館に戻りたいな」

「そう」
 短い返事だった。でもそう答えた人の笑顔が、日溜まりみたいに暖かい。包まれて、導かれて行こう。そう思えるような。そして、心が解放されていく。

 ようやく、心に春が来た。多奈はそう実感していた。

Fin(20020604)

◇あとがき◇

AOさま、本当にありがとうございました。まさか多奈のお話をもう一度書くとは思ってなかったので(シリーズの中にちょい役で顔を出すことはあっても)、リクを頂いたときはどうしようと(苦笑)。でも、こうしてちょっとほんのりのお話を書くことが出来ました。楽しかったです。
「多奈&青汰」は「秘色」キャラの中でも一番、ベタで現実っぽい人達ですね。普通にその辺に生活していそうな感じ。

こんなにゆったりと幸せに浸っているのも今のうち、多奈はこれから乳母として母として妻として…多忙な毎日が待ってます。「あ〜っ!! もうっ!!」と叫びたくなるとき、「大丈夫だよ、多奈さん」と青汰が言ってくれれば、乗り越えられるかな? 本当に青汰、いい人です。

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