デジカメと街をさすらえば!

30年前をたどる旅編

突然浮かんだ行きたい所は・・・

 テレビでやっていた貴乃花親方の襲名披露パーティーで、「新弟子時代プレッシャーに押しつぶれそうになったとき、自転車をこいで思い出の地をまわっていた。そして当時建築中の都庁を見に行き『これができる前に十両に昇進する』と思っていた」という回想シーンをやっていて、「思い出の地、新宿・・・、そういえば本籍地っていったことねーぞ。行ってみっか」と思った。なぜそうなるんだよ、おい(爆笑)。本籍地ってどこでも届け出られるそうで、人によっては皇居の住所だったり、引っ越すたびに変えたりするもののようだけど、うちは両親が結婚生活を始めたところのまま。そこでRayも3歳まで住んでいた新宿のT町である。記憶はまったくないけど、Rayという人間のほんまもんの原点ということで、なんで今まで行こうとは思わなかったんだろう。コンパクトな地図も買ったところだし、デジカメもあるし、できるなら30歳のうちに行きたいよな。ということで押し入れの奥から使いそこねの住民票を探し出し、本籍地の住所と大きな地図を照らし合わせた。ない、そんな番地は地図にはない! どうやら30年の間に住所表示が変更になったみたい。まっ、新宿区役所に行けばわかるわなと思って寝た。

30年前の住所は今のどこなんだろう?

 次の日上野のABABにあるユニクロ(都内一広いとかいうとこ)でズボンを買うつもりで行ったのになくて、「いつまでもキャップを被る年齢じゃねーぞ」と思いしぶーい色の子供用のハットを買った。頭が小さいのは最新式の高性能かバカなのか(爆笑)とか思いながら、大江戸線に乗って新宿西口駅へ。そして新宿区役所へ車輪を走らせた。へー、新宿区役所って歌舞伎町にあるんだ。結構年季物だ。最初区政情報コーナーのオジサンにきいてみた。きいてみたと言っても、ケータイで「30年前の『T町・・・番地』とは今のどの辺りですか」と打って、その画面を見せたということ。意思伝達装置なんて大きくて邪魔だから、敢えて昔からもたない。ケータイって便利っすよー。オジサンは区民課に電話して、区民課へ。区民課に行ったら、「T町・・・番地は結構広くて今の区域では複数にまたがるんで、住民だった人の名前とかアパートの名前とかわかりますか」と言われた。わかんなくて一旦はお礼を言い区役所の外へ出た。 これで帰るワケにはいかねー。おふくろに「30年前住んでいたアパートの名前を教えて」と電話した。驚いてる様子だったが、細かい住所を言った後「大家さんがUさんでU荘」とすらすらと。それにしても単純なネーミング、どこかのアパートと同じ(爆笑)。「T町・・・番地にU様所有のU荘というアパートはありましたか」とケータイに打ち、もう一度区民課に戻った。あった! 「28番9号」と区民課の人がメモってくれた紙をもらい、区役所の外へ出て地図と照らし合わせた。ここかー。今は区役所だから、こー行ってここを右に曲がり・・・と数分止まった後、車輪を転がした。

地図を見ながら

 ルートどおりに行くとあそこを曲がると近道という道が見えて来た。ところがその道、歩道どころか追い越し禁止の黄色の車線なんかないのに、大きな車がびゅんびゅん行き交う「抜け道」らしい。こんな道車椅子で通って死んでもなー(爆笑)。廻り道すっかー。また地図を何度もめくっては返してルートを決めた。景色が商業ビルの大群から高層アパートの集まりへ、それを抜けると点々とある商店のある通りへ。すげー面白い。なんか旅してるみたい。行ったこともないところ(覚えてないから行ったこともないところ同然)に、地図をみながら、「信号と信号の間にファミリーマートがあるっちゅーけど、ampmしかないから化けたんだろ。そこ曲がろう」と思いながら車椅子を動かすのって。

脳裏のどこかにしまってある風景

 ampmを曲がると車もやっと通れる路地裏に入った。小さな家が所狭しと立ち並ぶ下町風で、えーここが新宿区なんかいと思う場所。所々に八百屋、電気屋、豆腐屋、小さな銭湯に床屋。おふくろが見たら思い出すかもとデジカメのシャッターを押す。

写真1
これが新宿です。子供がケンケンパーをして遊んでいそうな路地裏です。
写真2
この路地裏の雰囲気は30年前と変わらないのかなー。
写真3
豆腐屋さんです。30年前にもあったと思いたくてシャッターを押しました。
写真4
電気屋さんですね。これは30年前に・・・どうだろう?
写真5
小さな小さな銭湯です。Rayも入ったのかな。
写真6
『28番9号』に一番近い店は床屋さんでした。

「25番があって・・・、30、あっ違う、こっちか、26、27。・・・あったー、28番9号!」。30年前住んでたところかー、ここが。今は大家さんの名字とも全然違う人の一戸建。でも記憶がないけど、たぶん脳裏のどこかにしまってある風景なんだよな。不思議な感じ。見も知らない他人の家をデジカメに納めた。そこいらのオバサンが見たらすげー怪しいだろうな(爆笑)。でもRayにとっては非常に価値のあるたった4時間の旅だった。

写真7
現在の『28番9号』。30年前はアパートだったらしい。今は一戸建。
写真8
『28番9号』を曲がったところ。30年前と変わったのかな、この風景。
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