(2007/1/5(金)掲載、2007/8/18(土)加筆修正)
ブーム全景(修理前) | |
フート破断部アップ | フート破断部・正面から |
フート破断部・左右側面から | |
ボス側の破断状況 |
この事例では、パワーショベル(バックホー、ユンボ)のブームのフート部(機械本体との接続部付近)が完全に破断し、ブーム本体とボス(フートピンの軸受け部)が分離してしまっています。
このようにフート部においてボスが完全に破断した事例は、当社の業務においてもあまり見ないものです。
また、このような破損事例にはつきものですが、破断部周辺の各部にクラックや変形が生じています。変形部修正・溶接完了 | 変形部修正・溶接完了(正面から) |
変形部修正・溶接完了(左右側面から) |
修理では、まず変形した鉄板を(そのままでは修正が難しい場合は、いったん切断してから)平らに修正します。
(※この事例では鉄板の変形修正を行いましたが、あまりにも変形の度合いがひどい場合には、新しい鉄板を用いて変形部と交換します。)
また、付属している小さい部品(グリス供給パイプの取り付け部)などがある場合は、いったんそれらのパーツを取り外して、ブームに補強板を溶接した後で、またそれらを溶接して取り付けます。
ボスをブーム本体に溶接するときには、脱落したボスと、ブームの他のピン穴との距離や平行を測定しながら、位置を合わせます。
この位置合わせが、この修理の重要な工程であり、またけっこう骨が折れます。
突合せ溶接をする箇所には、裏板を当てて、完全に溶接するよう心がけます。
溶接の順番はできるだけブームの上下・左右均等に行うようにし、熱による変形の影響を低減するようにします。
溶接が終了したら、補強板を溶接するときにビードの出っ張りが支障にならないよう、サンダーをかけて平らにしておきます。
補強板の溶接完了 | 補強板の溶接完了(正面から) |
補強板の溶接完了(下面から) | 補強板の溶接完了(別角度) |
補強板の溶接完了(左右側面から) |
ブーム本体の破断を溶接・修理後、修理部を覆うように、ブームの四面に補強用の鉄板を溶接します。
補強用鉄板の曲線状の形状は、機械使用時に応力が一箇所に集中しないよう、考慮したものです。
また、同じく応力の集中(及びそれによるクラックの発生)を避けるため、補強板の溶接ビードの終端は、サンダー(ディスクグラインダー)などで滑らかに仕上げておくことが重要です。