腫瘍におけるハイパーサーミアと免疫療法の併用について
2022年1月更新
少し、気楽に読めるように、ブログ調で書きますね。ふざけているわけではなくて、内容はまじめです。
この内容は人のお医者さんの学会でも発表しておりますし、
ちゃんと論文としても掲載されております。
腫瘍における半導体レーザーを用いたレーザーサーミア(温熱療法)に、ICG(インドシアニングリーン)を併用して、治療を行うことで、腫瘍の縮小が認められる症例があります。
高齢で全身麻酔が怖いなどといった場合にこれらを実施しております。ただし、高齢だからという理由だけで、手術が第一選択で最も延命の確率が高い場合には、そちらを推奨します。
その場合には、どちらの治療法を選択するか?などについては、飼い主さんが決めてください。どの治療にも100%の成功や100%の安全性というものは存在しません。
さて、この治療法と一緒に樹状細胞の投与といった免疫療法とも併用が可能です。また、漢方を用いた治療やインターフェロンを用いた治療などをの併用も可能です。 詳しくは、『犬の免疫療法について』に書いていますので、そちらをご覧ください。
では、ちょっと軽く紹介から、、、、
まず、乳腺腫瘍(病理検査で腺管癌と確定)している症例です。上の写真です。これは、9回のレーザー治療を実施しました。また併用したのは、インターフェロンや非ステロイド系の消炎剤です。
次に紹介しているのは、16歳の犬の口腔内のメラノーマは、鎮静を使い、局所麻酔を実施することで一回の処置で再発なくうまくいってる症例です。
術後のインターフェロンや非ステロイド系の消炎剤の投与は、腫瘍の処置後の局所免疫を高めるといったうえで有用であるとされています。
これは、処置後も近医の先生やご紹介いただいた先生に連絡をして実施していただく予定です。2020年に入ってから、何症例かの紹介を受けるようになってきました。
基本的な治療は主治医の先生のところで実施していただき、特別なレーザー処置などは当院で実施するといった方法で治療を実施したりしています。
傷口の消毒や管理のために、遠方の方は、近所の先生の所に行ってもらう必要があります。
予想されているよりも治療期間中は頻繁な来院や日々の投薬など面倒です。動物病院へ行く回数は増えます。
さて、ここからはいつも通りの話し方で、本音トークします。
遠方よりずっと通院するということは、めんどうでしょ?
近くでできることは、近くの先生にお任せします。これは重要だと考えています。
なんせ、この治療は、時間がかかります。同じ場所にレーザーを当てる時間が異常に長いので、私も犬も飽きてくるくらい時間がかかります。
ただ、この治療は、腫瘍を完治させるということを目指すには少々パワー不足かな?と思ってます。
しかし、腫瘍を抑え込む中で、腫瘍と共存してそして腫瘍で死ななかったら腫瘍との戦いは引き分けじゃん?という考え方です。
でも、まずはね。
若くて、麻酔もかけられるのであれば、手術しちゃえばいいじゃん。
で、今回の治療法は、全身麻酔が怖いって方で、皮膚の外にはみ出てる様なタイプで、やります。
そして、腫瘍が死に始めたら、悪臭(飼い主さんの言葉を借りればゾンビ臭)がします。それに耐えられる人限定です。
いや、臭くないこともあったけど、、、
見た目もかわいそうな感じになりますけど、「かわいそう」って考えるなら止めましょーね。
これらに対してはきちんと対処します。
あと、今回の治療は、腫瘍が大きくなるといろいろと面倒だけど、そのスピードを遅らせたらいいんじゃない?
と、そういった考えです。
ガンとともに生きる。そのままガンで死なないで寿命迎えたら、
「先生、よくやった!グッジョブ!」って誉めてください。(また明日からがんばれます。)
だから・・・。
過度な期待はしないでください。
怪しいサプリメントで、ガンは消えません。ネットサーフィンでみなさんがたどり着く先にある、ちょっとの期待をかけたい情報で治る確率はほとんどありません。
きっと、ここにもそういう思いでたどり着かれた方がいてると思いますが、、、、すいません。現段階ではその程度です。
ちゃんとしたもの(獣医師の所だけでの処方のやつ)を使ってもまず消えないでしょう。
今回の治療法は、ちゃんとした根拠があります。人の方でも医学部の大学病院でも研究されている治療法です。
小さくなっても、ビビることはありません。当たり前体操です。
予定通りです。
小さくならなかったとしても、予定通りです。(ほぼ小さくなりますけどね、、、)
ただ、きちんとやれば多くの症例では小さくなります。
その適応症例というのがあります。繰り返しですけど、、、適応症例です。
それは、、、『体の外にある腫瘍』です。
体の中の腫瘍にやるのは現段階では控えています。まだ自分の中で十分な自信ができてないです。すいません。
と、いうことで、麻酔が怖いという患者さんの助けになれば、、、と思っています。
では、最後に写真を、、、どうぞ。こんな感じで治るといいですね。
この写真は、学会で発表するスライドから使っています。転載禁止です。
15歳の犬で、元気もなかったので、対処しました。
今では走り回っています。
「あれは、なんだったの?」
というほどの元気さです。
「年を取っておとなしいのではなく、腫瘍のせいで元気がなかったんじゃないかな?」
と、、、そういってもらえたらありがたいです。
このメラノーマになぜ効果があったか、、、
悪性度が低かった!
この一点です。うまくいった症例ばかり並べていますけど、実際に、あまり効果が望めない場合には、推奨もしていません。何でもかんでもやってみたいというのでいたずらに無駄な治療をやってしまうのは、お金と時間の無駄ですし、結局、動物のためにはなりません。
だから、過度な期待ってのは、しないでくださいね。
他にもたくさんあるので、もし、相談してみたいって方は、相談に来てくださいね。
基本的には来院可能な方だけで対処しております。
診察しないで電話だけで相談しても、間違ったことをいってしまうかもしれません。
そういう相談は、ごめんなさい。ご遠慮ください。繰り返しになりますが、電話での初診の方の相談は、お断りしています。来院予約の上、ご来院ください。初診料のほかに説明料をいただいております。