第57回 富士登山競争奮戦記

(2004年7月23日(金))

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去年、チーム怪速亭のおやびんがその前の年に初参加で関門に引っかかったため、
リベンジをするから一緒に参加する人を募集をした。
当時まだ関門の怖さを知らない私は興味本心軽い気持ちで参加することに。
ところが、結果は無残にも8合目の関門に引っかかり、それ以上先には行けず。
参加したメンバーは全員完走しただけに、ほんとに悔しい気持ちがいっぱいになった。。。。

日時      2004日7月23日(金)
場所      
山梨県富士吉田市〜富士山山頂
距離      
21km
天候  
 くもり 

         男子     女子     合計
出走人数     
2269名        148名    2417名
完走人数     
1071名         48名    1119名
完走率     
47%       32%      46%

タイム   4時間11分13秒
順位      
男子山頂の部         564位/1071名
           
総合                587位/1119名

あの時は何がいけなかったのか?
レースは毎年7月の第4金曜に開催されるけど、その5日前の土日には舞洲24時間リレーマラソンに参加し、
順位を気にするあまりかなり一生懸命走っていた。
全部で10回くらいタスキをもらったやろか。10回インターバルをやったようなものである。
そのため両足のふくらはぎを痛めてしまったし、体調も少し崩してしばらく腹痛が続いていた。
それがレース当日まで引きずることとなり、力を発揮し切れなかったと思う。

それと、レースでの持ち物にも問題があった。
ウェストバックには手袋やビニールのほかに栄養補助食品、携帯電話、
それとスポーツドリンクの入った500mlのペットボトルである。
情報では遅いランナーには給水が当たらないと聞いていたので、ドリンクも持って走ったが、
これが結構重たくてしょうがない。途中で捨てたような気がする。
実際にはこの大会から水は豊富にあり、もって走る必要は全く必要なかったみたいやけど。

今までどんなレースでも完走することだけが自慢やったのに、ここでの失敗は精神的にもすごいショックやった。
「悔しい、あまりも悔しい・・」帰りの車の中では涙を流してしまうほど悔しかった。
「これは絶対リベンジせんと、俺自身が許されへん」そう心に決め、メールのシグネチャーや、
ことあるごとに「富士山を完走!」をうたい文句にして周りの人にもアピールした。
みんなの前で大きな声で目標を言うのは勇気がいるけど、アピールすることで下手に失敗することがでけへん。
自分自身を追い込むことも出来るしね。

富士登山競争のための練習と言えば、もちろん坂道ばかり。
舗装した道ももちろん、山に入ったときも考えて、近くのハイキングコースを練習場所にしていた。
そんなある日、ハプニングが発生!
レース2週間前の日曜日。近くの私市ハイキングコースに行き、岩場を下山する際、誤ってしりもちをつき、
尾てい骨を強打してしまった。
前日に雨が降って滑りやすくなっていたのに、もっと注意して降りるべきやったと後悔。
尾てい骨を打った瞬間、10秒くらい動けなるほど痛く、それがレース直前までひきずってしまった。

レース前日

今回は青馬会のメンバーで参加することとなった。
8時半に淀屋橋のミズノ前で全員と落ち合い、いよいよ富士山に向けて出発。
途中の休憩は2回。運転は車の持ち主であるじんちゃんが先にし、その次が濱ちゃん。
そして私が河口湖ICから翌日のコースである、浅間神社から中の茶屋に向かう直線道路のところまで運転した。
濱ちゃんとじんちゃんは富士登山競争は初参加。
コースの下見ということで中の茶屋までの舗装道路や、
中ノ茶屋から馬返しに向かう未舗装道路をチェックしていたが、少し引きつっていたような気も・・
実際この坂でどこまでいいポジションにいられるかで、今後の展開が大きく変わるからね。

下見のあとは富士山からの地下水が池になっている押野八海まで見学。
ここは去年も怪速亭のみんなと行き、残念ながら富士山を見ることが出来なかったけど、
今年もやっぱり曇って全然富士山を見ることが出来なかった。ほんまはもっと絶景やと思うのに、非常に残念や。

今年の泊まった所は『旅じや』といって、なんと富士吉田市役所から徒歩で10分くらいのところ。
場所が近いということで朝も比較的ゆっくりすることが出来たし、レース後のお風呂も利用できるとのこと。
少し割高やけど、だいぶ楽できたわ。

   


いよいよスタート

時計は5時半にセットしたけど5時には目が覚めてしまった。
レースが終了して着替えるための荷物は既に前日に準備し、しっかりトイレにも行っておく。
刻一刻と迫るスタート時間に緊張しながらコース説明や写真を見ていたら、いきなり携帯電話が。
なんと、走快ねっとの納豆太郎さんから励ましの電話やった。
納豆太郎さんは過去4回参加して全て完走。それも4時間以内という恐るべし力の持ち主やけど、
去年と今年は脚の故障で参加を断念されてた。特に今年は直前までええ感じで走れていたのに、
土壇場での故障はかなり悔しかったみたい。
「私の分まで頑張ってください!」と励まされ、それがすごく勇気付けられたわ。
腕時計の横には去年おやびんとひろっさんが完走したときの各ポイントでのタイム。
そして納豆太郎さんが4時間を切ったときのタイムを書いて、いざ出陣!

ウェストポーチの持ち物は散々悩んだ結果、手袋と空のボトルと使い捨てカメラを持つことにした。どうしても道中の写真を撮りたかったけど、携帯電話やったら重たいし、走りながらやったら絶対にきれいに撮れないからね。
空のボトルは5合目を過ぎて走れなくなったとき、給水所で水を補給するためである。


スタート(標高770m)〜中の茶屋(標高1110m)  《距離8km》 38分48秒

7時10分くらいに富士吉田市役所に到着したら、既に多くのランナーがスタート地点に並んでいた。
当然みんな完走を目指しているわけやし、少しでもいいポジションから走りたいというのがひしひしと伝わる。
私も青馬会のメンバー全員と同じところに並び、体制を整えた。
今回の作戦は完走経験が豊富な菊ちゃんに引っ張ってもらうこと。
去年はペース配分のミスもあったし、とにかく馬返しまではついていくように考えていた。

7時30分、ピストルの「パンッ」という音とともに一斉スタート。
しかし、なかなか前に進まない。横から割り込みのランナーが多いのか、スタート地点を通り過ぎても歩いている。
ようやく走れるようになったときは、40秒も過ぎていた。

スタートして200mは平坦の道やけど、
そこから左に曲がって富士山を正面に向くと、長い長い坂道の商店街を駆け上がる。
ここはまだ結構渋滞しているし、抜かそうにも抜かしにくいところ。
坂も少し勾配がきついし、ここはじっくり周りのペースにあわせて走ることにした。
商店街を過ぎて左に曲がると国道になり、気持ち少しだけ下りになる。
このレース唯一の下り部分だが、それもすぐに終わり、いよいよ浅間(せんげん)神社の中に入っていく。
浅間神社は林に囲まれているので、走っていても木陰で気持ちいい。
ただ、あまり気持ちよく走っている余裕はないけど。。

浅間神社を抜け、一般公道と合流。
去年はこのあたりからおなかが痛くなり、じりじりとペースが落ちてきたと思う。
ペットボトルも重たかったし、苦しさのあまり早くも立ち止まっていた。
今年はそういったアクシデントもなく、どんどん坂道を登っていける。
菊ちゃんと平行して走り、周りのランナーを面白いように抜いていき、気が付きゃ中の茶屋に着いていた。

 


中の茶屋〜馬返し (標高1450m)               《距離 11km》 1時間02
分58秒

中の茶屋でしっかり給水を取り、これまで以上に厳しい坂道へと進んでいく。
一応、車は走られるような道やけど、ローギアやないと無理かな?
感じとしては、私市ハイキングコースにある星のブランコに向かう坂が3kmあるっていうところ。
ほんまにたまらんコースである。
周りは俗にいう樹海の中を走るという感じで、ここではまだ歩くことは許されない。
もし歩いてしまったら2度と走れなくなりそうやし、間違いなく関門には間に合わない。
痙攣しそうになりながら、菊ちゃんと2人で「馬返しはまだかぁ!」と叫びながら走っていった。
レースとしては一番苦しいところやったかな?
富士山はよく○合目というけど、この馬返しが0合目らしい。こんなに上やのにね。


馬返し〜5合目・佐藤小屋 (標高2190m)       《距離 15km》 1時間57分53秒

2度目の給水で少し立ち止まり、息を整える。
道幅も急に狭くなり、ここから先はもう車も走られないところ。
周りのランナーを抜かすように走っていたら、それまで一緒やった菊ちゃんの姿が見えなくなった。
少しペースが遅れたのかな?
狭い道のくせに、道幅いっぱいに土砂溜りがたくさん設置してあって非常に走りにくい。
急な階段も多くあり、ほんまに悲鳴あげそうになりながらひたすら上を目指す。
ほとんど走ることが出来なくなった坂道でも、周りの人はスピードを決して緩ませない。
女性ランナーでも速い人はどんどん山を登って行く。
スケベ心で後ろからついていこうと思っても、どんどん離されていくだけやった。

そんな時、「澤ちゃん!」と呼ばれる声が。
以前@chiveの練習会にも一緒になったことがあるハチさんやった。
そのときはすぐに思い出せなかったけど、練習会の話をされたときに思い出したわ。
ハチさんは黄色いシャツを着ているからよく目立つ。
私よりええペースで山を登っているし、目標にするには丁度よかった。

  


5合目〜8合目・本八合目 (標高3410m)       《距離 19km》 3時間33分57秒

5合目のチェックポイントで給水と同時にアミノバイタルを口に含む。
せっかく怪速亭のMAKIさんに頂いたものやし、持って走っていた。
効き目はあったのかな?この後2時間以上も続く山との格闘で生き残れたのも、
アミノバイタルパワーがあったかもしれへん。

登山客以外に応援が多いこの地点。再び山に向かって走り出したとき、「澤ちゃ〜ん!!」と女の人の声が。
なんと、そこにはみいさんが来ていた。去年の福知山マラソン依頼会うこともなかったので、
ろくにお礼も言えなかったし、「その節はお世話になりまして〜」と挨拶だけして別れた。
みいさんの声援パワーも効いたかも・・
(みいさんは去年の福知山マラソン、ゴール3km手前で倒れこんだ私を助けてくれた)

6合目の公式最後の給水では空のボトルに水を注ぐ。
これより先は走れるところはほとんどないし、給水も出来るかどうか分からん。
山小屋にはご好意で水を用意してくれるところもあるけど、混雑してたら飲まれへん場合もあるし、
それ以外やったらお金がかかるからね。
あと2時間山と格闘するのに、やっぱり水は必需品やわな。

6合目を過ぎると森林限界に到達し、一気に視界が広がる。
天気がよかったら、ここから山頂まで一気に見えると思うけど、うす曇の天気のためにそこまで見えへん。
でも、結構上のほうまでランナーが山がのぼっているのが分かる。
ここまで何とかハチさんについていけたし、お互い写真を撮ったりもした。
決して余裕があるわけでもないけど、全力で走っているわけではないし、息は上がってないからね。

森林限界を過ぎてからはもうマラソンではない。
足元は大小ゴロゴロとした石や砂利で覆われ、まっすぐ進むとは出来ない。
砂利に足を入れると結構埋まってしまって前にも進みにくくなる。
7合目を過ぎると、今度は岩登り。用意していた手袋をつけ、4つんばになってがれきを登って行く。
よくパンフレットやランナーズに出てくるあの光景である。
所どころに登山客もおり、それがちょっと邪魔に感じるのもこの辺からか。

岩場と砂利と段差の大きい階段、そして坂道。どれ1つとってもきつい中、
本八合目のチェックポイントに向かって突き進む。八合目といわれる小屋は全部で5つあったかな?
そのうち2つは無償でお水をもらうことが出来た。
ほんまはお金がかかるところを小屋の好意で飲ませてもらっているので、お礼もしっかり言う。

苦しいながらも脚は前に進む。そうこうしているうちに本八合目に到着。
「よっしゃっ、もう完走は間違いない!」
ここで初めて安堵感が出てきた。

 


8合目〜ゴール            (標高3730m)      《距離 21km》 4時間11分13秒

去年は8合目の関門で捕まったので、これ以上の先のコースは初体験。
もうがれきの岩登り見たいなのはなかったけど、相変わらず砂利の急な坂道と階段は続く。
地図上の距離はたった2kmやけど、ジグザクに進むので、決して2kmということはない。
あともうふんばりと思いながら、だんだんと足が前に出なくなってきているのを感じる。
ハチさんの黄色い背中もはるか向こう。周りのペースにもついていけない。
とにかく上を目指すだけやった。

足ももつれだして、前に進まない。途中3回くらいこけ、ひざに擦り傷もたくさん作った。
ひざから血が出てても痛くない。それ以上に足を前に出す辛さがあった。
苦しい、辛い、やめたい、でもやめるわけにかない。
そんなことばかり考えながら上へ上へ・・
1つ目の鳥居をくぐり、しばらくして2つ目の鳥居をくぐり、石段を左に曲がったら、
「あれっ、ゴール?」

実は頂上がどの位置にあるかをちゃんと把握しておらず、まだ先は雲で見えないと思って登っていた。
鳥居は見えていたけど、その先すぐがゴールということをすっかり忘れており、
気がつきゃゴールしていましたって感じになった。
そんなんやったら、ラストスパートでもう少し頑張れたかも?やのに・・

少し拍子抜けしながらも、とにかくゴール!!!
ゴールした瞬間はハチさんに写真をとってもらい、慢心の笑顔!
ただそのあと、一気に緊張が解けたのか、酸素がまわらなくなってきたのか、
突然目の前が真っ白になって何も見えなくなった。
去年の福知山のときと似たような状態で一瞬焦ったけど、
15秒くらいジーとしていたら何とか治まったのでよかった・・
心配していた尾てい骨も、大事に至らず、最後まで気にせず登れたのも助かった。

山頂に着いて、まず最初にしたかったこと。それはビールを飲むことである。
菊ちゃんの話では山頂のビールはまずいと言っていたけど、全然そんなことがない。
自分で自分を誉めるためのビールは格別うまかった。
これで去年の雪辱も果たせたと思ったら、自然に目頭も熱くなってくのを感じた。。。

同じようにゴールしたランナーと会話しながらうろうろしていたら、SHOさんに遭遇。
がっちり握手をし、山頂で買った2000円の使い捨てカメラで記念撮影をやった。
そして走快ねっとのぬまっちさんにも出会えたのでがっちり握手。
ぬまっちさんは4時間を越える力走だそうな。すごいね〜・・
菊ちゃんは4時間22分でゴール。ちょっとしんどそうやった。

   


ゴールして

制限時間3分前からはゴール付近へ。
ぎりぎりの時間でゴールできた人を拍手で迎え、時には握手を。
そして4時間30分。12時丁度になるとレース終了の合図とともにゴールにはテープが張られてしまう。
一応15分だけタイム計測をしてくれるみたいやけど、
制限時間に間に合わなかったランナーは、ほんまに悔しそうな顔をしていた。
なんか魂が抜けたようになっており、見てるのも気の毒やったわ。

あとは濱ちゃんとじんちゃんやけど、菊ちゃんと一緒に20分くらいまでゴールで待っていても、
あがってくる気配がない。
下山のことも考えると余りこの場にいるわけに行かんし、2人で火口で記念撮影をして下山をすることにした。
菊ちゃんは2人とも最低8合目の関門までは来ると思っていただけに、かなり残念がっていた。

下山コースは登りのコースと全然違い、赤い火山岩のコースをジグザグに下っていく。
これがまた細かい砂利で、ずりずりと足も埋まってしまうために靴も靴下も真っ黒(真っ赤?)になるし、
靴の中にも砂利が入ってしまう。下っていてもしんどかったわ。
下り始めて9合目付近。見慣れた青馬会の帽子をかぶった女の子が。
なんと、shinakoちゃんが8合目より下山コースを登って9合目まできたというから驚いた!!(@@)
話に聞くと、ほんまは5合目の関門に引っかかったけど、一瞬だけゼッケンを外してまたそのまま登りだし、
いよいよ8合目より先には行けなくなったので、下山コースを登ったとのこと。
よくあんな登りにくい坂を登ってきたなぁ・・

3人でずりずりと下っていき、5合目のバス乗り場に着いた時は既に2時半。
2時までに下山してくれと言われてたけど、この時間でも充分ランナーはいてたし、
バス待ちの行列も結構長かった。
5合目にもおみやげ屋はたくさんある。でも寄ってる時間はさすがになかったな。
おにぎりを3つもらえるので、バスの中で食べ、携帯電話でGT-MAILのチェックをする。
配信は少し遅れていたみたいやけど、やっぱり完走はええな。
4回配信されたのを確認し、1人でニンマリする。

ホテルに到着すると、濱ちゃんとじんちゃんと菊ちゃんの会社の岡田さんと西川さんが先に戻って待機していた。
みんなから祝福を受け、気持ちよく帰路へ。
濱ちゃんとじんちゃんは8合目まで行ったけど、結局そこの関門で引っかかってしまい、
そのまま下山したとのこと。「こんなレース、リベンジする気も起こらん」と散々ぼやいておりました。

これで宿題を返したことやし、もう来年は来る必要はない。
これで清々したわぁ〜と思いながらも、この完走記を書いているうちに、
「もう少し頑張ったら4時間切れた?」というへんな欲が出てきてしまった。危ない危ない!!

  

                          完走賞             参加賞


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