薄暗い部屋の中に浮びあがる白い画面。

     映し出された、たった一言の文字。

    『さよなら』

     その言葉を残し、彼は彼のもとから去った。

     彼はなにも言わなかった。

    「…どうして…?」

     映し出された文字はなにも語らず。

    「……青島」

     呟かれた彼の言葉は、彼に届くことなく…。

     

      パートナー〜共に歩む者達〜 

             第一章 『さよなら』のあとで

     

     どんなに寒い冬があろうとも、それが過ぎれば春になる。

     空を覆っていた厚い雲も日に日に薄くなり、春の陽射しがようやく新たな命を目覚めさせ、人々は穏やかな陽射しに厚い冬の衣を脱ぎ始める。

     だがそれも陽が天にある間のこと。陽が沈み夜がくれば再び冬の寒さがあたりを支配する。

     昼間、家族連れや休憩中のサラリーマンなどの憩いの場所となるこの公園も日が沈んだ頃より訪れる者は無く、朝日が昇るまでの間、一時の静寂に包まれていた。

    「う〜さむ〜〜。今夜は冷えるね〜」

     そんな満足な外灯もない公園を歩く男が一人。

     色褪せて穴のあいたぼろぼろのコートに身を包み、黒く煤けた軍手をはめた手を擦り合わせながらよたよたと歩いてくる。

     薄汚れた顔に伸び放題のボサボサの髪。伸びた前髪と不精髭のせいで、男の年齢は良く解からない。が、先ほどの声からすると、まだ意外と若いのかもしれない。

     一見貧富の差などないように見えるこの社会にも、「歪み」というものは確かに存在する。

     自分の意思とは無関係に、あるいは自分の意思で「歪み」に身を投じ、社会から1歩離れた場所で生きる者達がいる。この公園にもまた。

     家を捨て、家族を捨て星空を屋根として暮らす者達。彼もまたそんな者達の一人なのかもしれない。

    「明日は明日の風が吹く〜♪…なんてな」

     酒でも飲んだのか、調子ハズレな歌を歌いながら猫背で歩いて行く男。と、その男の行く手をさえぎる様に、3人の男達が現れた。

    「ん…?」

     まだ若い。いや、まだ少年といってもいいだろう。

    「オジさん、ずいぶん御機嫌じゃない」

    「俺達、退屈なんだけどさ、ちょっと遊び相手になってくんない?」

    「……」

     時刻はすでに深夜といってもいい時間である。しかも、こんな薄暗い人気のない場所でなにをしようというのか。何かが起こりそうな嫌な予感。男の脳裏に、最近この公園で頻発している「ホームレス連続襲撃事件」が浮んだ。

    「オジさん知ってる?ここは、こーきょーの場所なんだよ。そんなとこに勝手に住んじゃいけないってガッコーのせんせーに習わなかった?」

    「…あんたら、うっとうしんだよねー。見てるだけでむかつくんだよ」

     無邪気とも言える笑顔を浮かべながら、次々と男に話しかける少年達。その手には、いつのまにか鉄パイプや、木刀などが握られていた。そして。

    「目障りなんだよっ!!」

     掛け声と共に振り下ろされる木刀。少年達の目に哀れな悲鳴を上げながら蹲る男の姿が見え…なかった。

    「…なっ!」

    「…お前達も知ってっか?これって立派な傷害罪。全員、現行犯で逮捕しちゃうぞ」

     代わりに見たのは、木刀を受け止めた右腕で頭部を庇いながら、不敵に笑う男の姿。先程までのみすぼらしさが嘘のような強く輝く琥珀の瞳。

     あっけに取られ身動きの出来ない少年の手首を取り、足払いを掛け地面に倒し拘束する。

    「和久さん!真下っ!」

    「おう!」

    「は、はいっ!」

     男の声と共に、物陰から飛び出す二つの影。

    「てめぇら全員動くな!傷害の現行犯で逮捕する!」

    「はいはいはい、大人しくしようねー。僕達、警察。わかる?」

     目の前に差し出される黒皮の手帳。少年達の手から鉄パイプがこぼれおちる。 

     深夜の逮捕劇はあっけなく幕を閉じた。

     

     

    「全員、高校生だって?」

    「しかも、有名進学校。です」

    「やる事無くって退屈だったんですって」

    「それで襲ったって言うの?」

    「…世も末だねぇ」

     少年達を生活保安課に引渡し、ようやく一息ついた刑事課強行犯係一同。

     当直の盗犯係のすみれも加え、深夜のティータイムの真っ最中である。

    「たっだいま!」

    「おう!先にやってるよ!」

     先程までの薄汚れた変装を解き、本来の姿で刑事課に戻ってきた青島に、コーヒーカップを掲げて和久が声をかける。

    「はい、青島さんコーヒー」

    「サンキュー!雪乃さん」

    「…腕、どうでした?」

    「ん?ああ!大丈夫大丈夫。骨には全く異常ないって。ちょっと腫れてっけど湿布してれば2、3日で治るってさ」

     そう言って右腕のシャツをめくって見せる。シャツの下から手当てを終えたばかりの真っ白な包帯が見えた。

    「…よかった」

     思わず安堵の溜息をつく雪乃。

    「大体おめぇは無茶し過ぎなんだよ。…ったく、俺が教えた事、全然覚えてねぇな」

    「すみません、和久さん。でも、なんか身体のほうが勝手に動いちゃうんですよねぇ」

    「…これだよ。じゃあ、お前のこの頭はただの飾りか?んん?」

     青島の首に腕を回し、握りこぶしを頭にぐりぐりと押し付ける和久。手加減のない和久に青島の口から悲鳴が漏れる。

    「い、痛てててててっ!わ、和久さん、ロープロープっ!」

    「喧しいっ!ちょっとは反省しやがれ!」

     ジャレあっているとしか見えない二人のやり取りに、皆の顔に笑顔が浮ぶ。

    「まぁ、何はともあれ連続襲撃事件の犯人も逮捕した事ですし、まずは一件落着という…」

    「…訳にはいきそうにないんだよねぇ」

     呑気な魚住の声に重なる様に聞こえてきたのは、これまた何処か呑気な袴田課長の声。その後ろになぜか生活安全課の篠木保安係長と八木の姿があった。

    「どういう事すっか?それ」

    「実は先程逮捕した少年達がこんな物持っていてね。…どうやら常習者らしいんだよねぇ」

     青島の質問に篠木が取り出した物は。

    「……麻薬っすね」

    「クラックだよ。最近この湾岸署管内で流行っているしろもんだ。いま丁度こっちでルートの洗い出しやってる最中だったんだけど、意外なところで出てきたもんだ」

    「まぁ、有名進学校のエリート坊ちゃん達の持ち物じゃねぇよなぁ」

     袋に入った白い粉を顔面にかざしながら、ぼやく和久。

    「で、その坊ちゃん達はこれについてなんて言ってんですか?」

     和久の手から粉を受け取り、同じようにかざして見る青島。

    「『友達に貰った』って言ってるよ。そいつがヤクの仲介をしているらしいんだが…」

    「友達…ね。ありがちなパターンですよね」

     青島の手から粉を受け取った真下が呆れた声で続く。

    「その『友達』って言うのがちょっと厄介でね。」

    「厄介って?」

     続いて真下から手渡された白い粉を迷惑そうに見つめる魚住。

    「名前は逢坂健司、17歳。同じ高校の2年生。…その父親が問題なんだよね」

    「父親が?……まさか、また何処かのお偉いさんって言うんじゃないでしょうね?」

     魚住からクラックをふんだくる様に手にしたすみれが、胡乱げな瞳を篠木に向ける。

    「ビンゴ。なんと厚生省医薬安全局のお偉いさん」

    「……それって、まさかとは思いますけど、逢坂直哉医薬安全局長のことだったりして…?」

     すみれが放り投げたクラックを両手で受け止めながら、困惑気味に雪乃が尋ねる。

    「…その、まさかだよ」

     雪乃がテーブルに置いた麻薬を手に取り、苦々しく告げたのはそれまで黙っていた袴田課長だった。

    「おいおいおいおい」

    「冗談でしょ?」

    「冗談で済むなら俺達は要らない」

    「…だよね」

     いっせいに漏れる溜息。

    ―厚生省医薬安全局。それは。

     簡単に言えば、この世に出まわっている「薬」の管理を行うところ。つまり、医薬品・医薬部外品等の安全対策、血液事業、毒物薬物の取り締まり等である。

     そして。麻薬・覚せい剤対策を行う部署でもあった。

     そのトップの息子に覚醒剤の不法所持の疑いが掛けられた。

    「…ったく、とんでもない大物が出てきたもんだ」

     課長の手を離れ、再び戻ってきた麻薬を見ながら溜息をつく和久。

    「加えて相手は未成年。とにかくうかつに手は出せないよ。かといってこのままで…」

    「良い訳ないっしょ!1日も早く確実な証拠見つけて、逮捕しなきゃ」

    「それに、麻薬ルートの解明と壊滅もね」

     和久の手からテーブルに置かれた白い粉。偽りの幸せを与える悪魔の薬「クラック」。

     それを改めて見つめる一同。

    「…という事で、和久さん、青島君、捜査協力宜しくお願い致します」

    「ありゃりゃ。御指名入っちゃいました。和久さん、どうします?」

    「あ〜ぁ、人気者は辛いねぇ」

     等といいながらも、二人の目はすでにやる気で一杯になっていた。

    「それじゃ、二人とも宜しく。くれぐれも無茶はしないでよ。…特に青島君!」

    「了解です、課長!」

     わざとらしく胸をはって見せる青島。その姿に一抹の不安を覚えながら捜査は始まった。

     

     

    「逢坂健司。身長172cm体重58kg、成績優秀・スポーツはなんでも無難にこなし、先生、PTA、下級生の受けも良い現生徒会執行部役員。東大合格、将来キャリア間違いなしのエリートっすよ」

    「なんだか、出来過ぎって感じだなぁ」 

     翌日の午後、学校の正面門の前で逢坂少年を待ちながら、半分やっかみの混じった八木の報告を聞いた青島がポツリと洩らす。

     何の非もない17歳の少年。少なくとも表面上ではあるが。

    「友人関係はどうなんだい?」

    「特に問題なし。今朝、子供達の何人かに当たってみたんですけど、彼の事を悪く言う子はいませんでした。…ただ」

    「ただ?」

    「んー。なんて言ったら良いのかな?悪く言う子もいなかったけど…」

    「…良いことを言う子も、いなかった…?」

    「成績の事とか誉め言葉は結構出てきたんですけど、日常の事や友人同士の冗談や軽口と言った物は全く聞かれませんでした。まぁ、聞いていたのが俺達って事もあるんでしょうけど…」

     八木の言葉に顔を見合わせる二人。

     確かに、いきなり初対面の人間にそんな事を聞かれて素直に答える人間はいない。だが…。

    「昨夜の3人との関係は?」

    「同じ塾に通っているって事だけは。後は別に特別友達って感じじゃなかったみたいですね」

    「学校側はなんて?」

    「先生たちの反応は、全員同じ。口をそろえて『信じられない』『何かの間違いでしょう』そればかりですね。それよりも昨日の件の対応で手一杯」

    「そりゃそうだ。傷害事件に麻薬所持。名門進学校はじまって以来の不祥事だからなぁ」

     今朝からの学校側の態度を思い出したのか、呆れた口調の八木に、苦笑交じりに返す和久。

     どんなに個人教育の大切さが問われても、相変わらず優先されている「学校の名誉」。

     いま、自分がどんな仕事をしてどんな人間かと言うことよりも、先ず問われるのは「学校の出身」。今よりも優先される過去の名誉。消えない価値観。

    「とにかく、学校の中じゃホントのことはなにも聞けないでしょうね」

    「だな」

     そろそろ下校時間かと、時計を見た青島の耳にチャイムの音が飛び込んでくる。続いて気の早い何人かの生徒が玄関を出てくる。

    「どいつだ?」

    「まだですよ。今日は塾に通う日だからそろそろ…あ!出てきました。あの眼鏡をかけた少年です」

     八木の言葉の差す方を見ると、一人の少年が歩いてくる。どちらか言うと線の細い、およそ麻薬などとはかけ離れたイメージの少年。

    「じゃ、行きますか」

    「おう」

     数人の学生達が彼を追いぬいて歩いて行く。それらに全く関心を示す事無く歩いて行く少年。

     正面門を出て少し出たところで声を掛ける。

    「こんにちは。逢坂健司君、だね?」

    「……」

     無言で立ち止まった逢坂に手帳を開いて見せる。

    「湾岸署の八木って言うんだけど、ちょっと話聞かせてもらえるかな」

    「話す事なんてなにもありませんよ」

     ちらりと手帳を一瞥したあと、冷たく言い放ち再び歩き始める。

    「ちょ、ちょっと!!」

     慌ててあと追う3人。思ったより足の速い少年をバス停前でなんとか捕まえる。

    「そんなに慌てて行かなくても良いじゃない。ホンのちょっと話を聞かせて欲しいだけだから。ね?」

     少年の手を捕らえた青島が尋ねても、少年の反応は変わらない。

    「昨日のことでしたら、なにもお話することはありません。僕には関係ないことですから」

    「でも、彼等は君の事を…」

    「知りませんよ。あいつ等が何を言おうと僕の知ったことじゃない。…はっきり言って迷惑しているんです」

    「迷惑って、友達じゃないのか?」

    「友達…?あいつらが?冗談でしょ」

     今まで青島のほうを見ようともしなかった逢坂が、振りかえる。その顔に浮んだ酷薄な微笑。

    眼鏡の奥の暗い、瞳。

    「……おおさか、くん?」

    「それじゃ、バスが来ましたから」

     捕まれた手を振り解き再び歩き出す。

    「ちょっと待てって!!」

    「…逮捕でもなんでもすれば良いじゃないか。…出来ないくせに。……所詮…あんた達も…」

     定刻にやってきたバスのブレーキ音に、呟かれた声が重なる。

    「…え?今なんて」

    「失礼します」

    「おいっ!!」

     目の前で閉じられるドア。そのドアの向こうで背を向けた少年を乗せたバスがゆっくりと走り出す。呆然と見送る3人。

    「やれやれ、最近のガキは」

    「…行きますか?」

    「おう。…おい青島、行くぞ!いつまでもボーっとしてんじゃねえ」

     和久の怒鳴り声を背中で聞きながら、それでも青島の足は動こうとしなかった。

    「…和久さん。あいつ一体何を言おうとしたんでしょう?」

    「さぁな。…俺には解からん」

     走り去ったバスの姿はすでになく。

     青島は去った少年に背を向けるように歩き出した。

     

     

     その後、逢坂の周辺や彼について捜査が続けられたが、有力な証拠は何も出てこなかった。

     麻薬ルートの解明も進まず事件発生から三日目を迎えた。

    「疲れた〜」

     気の抜けた声を当たりに響かせて青島が戻ってきた。

    「ごくろーさま」

    「もう、ごくろーさまの毎日です」

    「こら、俺の台詞取るんじゃねぇ」

     続いて刑事課に戻ってきた和久が、椅子に座りこんだ青島の頭を鞄で叩きながら自分の席につく。

    「和久さんも、ごくろーさま」

    「おう、すみれさんもな。俺達が抜けた分手伝ってくれてるんだって?」

    「まあね。でも今の所大した事件起きてないから」

     笑顔で答えるすみれ。

    「そっか。…すまねえな」

    「…で、どうなの?例の男の子」

    「どうもこうも、なーんにも出てこないよ。…やっぱ本人の言う通り、無関係なのかなぁ」

    「あら、珍しく弱気じゃない?らしくないわねぇ。」

    「…ほっといてよ」

     すみれの言葉に返す気力もなく、デスクに突っ伏してしまう。

    「ホントに、元気ないわね。これ食べる?」

    「…いらないって」

     一体、何処に隠し持っていたのか、数個のカップラーメン、しかも特大サイズを差し出すすみれに苦笑しつつ、丁重にお断りする。

    「最近食欲ないみてぇだな。昨日もその前も、殆ど食ってなかっただろう?」

    「ちゃんと食ってますよ」

    「そうか?それにしちゃ顔色よくねぇぞ」

    「そうっすか?気のせいでしょ。あ!それとも、もしかして和久さん老眼が進んだとか!」

    「やかましい!俺はそんなにジジィじゃねぇ!!」

    「じょ、冗談ですって!もうすぐ向きになるんだから。あ、俺休憩してきまーす!」

    「こら!逃げるんじゃねぇ!!」

     手配中の犯人よろしく、さっさと逃げ出す青島。その背中を見ながら重なる二つの溜息。

    「どう思う、最近のあいつ」

    「…よくないわね。なんか凄く無理してるって感じ」

    「…だな。よくねぇよなぁ」

    「何かあったのかしらね」

    「さぁなぁ。…ったく、いつもいつも心配掛けやがって」

     出来の悪い子供を心配しているような和久の口調に、思わず微笑みが浮ぶ。

     再び青島が走り去った方をみて、溜息をつく。

    「あんまり心配掛けちゃダメよ。ねぇ、青島君…」

     

     

     水道の蛇口を思いっきりひねり、冷たい水で顔を洗う。ポケットから取り出したハンカチで顔を拭きながら鏡に写った自分を見る。

    「…ひでぇ顔」

     冴えない顔色。眼の下の隈。

     和久にはああ言ったが、本当は食欲なんてまるで無い。まともな睡眠もとっていない。

     眠れない。食べたくない。

     人間が生きていくために不可欠なはずのものが、いらない。

     だって、もっと大事なものを捨てたから…。

     だから…。

     洗面台に身を預け、蛍光灯を見上げる。無機質な白い光があの日見上げた三日月の光を思い出させた。

     あれは自分で決めた事。最初から決めてた事。覚悟は出来ていた。…筈だった。でも。

    「…むろい、さん」

     痛みはまだ、続いている。あの日からずっと。

     これは…罰だ。

     愛してはいけない人を愛した罰。自分の身勝手であの人を縛りつけた罰。

     消えない、痛み。多分これからもずっと。

    「…そろそろ、戻ろっかな」

     いつまでもこうしていても、仕方がない。それに少なくとも仕事をしている間は、この痛みを忘れられる。

     深呼吸を一つして、戸口に向かう。ドアノブに手を掛けた瞬間の事だった。

    「先輩っ!!」

    「うわっ!!」

     思いきり外から開かれたドアに顔面を強打する。一瞬何が起こったのか理解するまもなく、手首を捕まれ引っ張られる。

    「こんな所にいたんですか!とにかく急いできてください。大変なんです!!」

    「ひょ、ひょっと待へ。いっひゃい何が…」

     真っ赤になった額と鼻を片手で押さえたまま、普段この力を一体どこに隠しているのか、物凄い力の真下にズルズルと引っ張られて行く。

    「良いから早く!急いでください!!」

    「う、うん…」

     有無を言わさない真下の勢いについていってみれば、そこは刑事課。部屋の奥にいつものメンバーが集まっている。その顔は皆揃って不機嫌、いや怒りに満ちていた。

    「何があったの?すみれ…さ…」

     無言のまま睨みつけるすみれの視線を追った青島の体が硬直する。

     並んだデスクの向こうに座る数名の影。

     困惑気味の神田署長、はじめて見る同業者らしき男、そして。

    「むろい…さん」

     

     

     ブラインドの向こうに、浮ぶ白い三日月の、影。

     

     あの日と同じ。

     

     こわれた三日月。

     

    続く    

    ひさこ様の4444Getリク

    「意地っ張りな青島君とそれにてこずる室井さん」

    1本ぐらいはまともに事件を絡めた話を…と思ったんですが、あああ玉砕。しかも続いてしまいました。ははは…。

    おまけにドコが一体リクなのか?室井さん、出番すらない(笑)

    とにかく全てはこの続きで!次でなんとか終るでしょう!終らなければもう一回。それでダメなら後一回。それでも…(殴)

    という訳で以下次号。

    なお、この物語はあくまでも管理人の妄想産物です。細かいツッコミ等御勘弁を^_^;