いくつもの愛をかさねて
Scene 2. 〜相手〜
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いつも満たされない何かを探していた。
それが一体なんなのか。
それすら判らずに。
それは、失った心?
それは、癒しの手?
それは、魂の欠片?
それは…?
−そして運命は廻り始める。
Scene 2−A
慌ただしく過ぎて行く日常。想像以上に忙しい刑事の仕事は、サラリーマンだった頃は
感じた事がなかった充実感を与えてくれた。
そんな日々の中で、ただ一つ気に掛かるのはあの人のこと。
―室井さん。
この前の事件の時、数回運転手を勤めただけ、しかも、会話もろくになかったにもかかわ
らず、何故こんなにも気になるのか。
自分とはまったく正反対な存在。冷淡で無愛想なエリート官僚。
いつもの自分なら、間違っても近付こうとしなかったはずなのに。
「運転をありがとう」「…大丈夫か?」そんなさりげない言葉にどきどきして、気がつけば
彼の姿を探している自分がいた。
自分自身がよく解からなかった。
そんな時またしても起こった事件。建設省のお偉いさんが自分の息子が起こした事件の
揉み消しを謀った。彼はその調停役として湾岸署にやってきた。
最初はいかにも官僚らしい彼の態度に、怒りを感じた。でもその後の彼の態度に、それが
間違いだった事を知った。
父親の威を借りた息子の横柄な態度にキレて暴走した自分を庇ってくれた。
そして帰り際に、悔しさに耐えて吐き捨てるように呟いた言葉。
「…だめだ、警察がこんな事をしてたら」
それを聞いた瞬間、出会った時から感じていたものが何か、ようやくわかったような気がした。
同じだ。
性格も、立場も何もかも違うけどこの人は自分と同じものを持っている。
嬉しかった。
ずっと探していた何かをみつけたような気がした。
Scene 2−M
ずっと探していたものがあった。
入庁してからいままで、一人で気を張ってきた。東大閥が幅をきかせている中で、東北大
出身の自分が上に行く為には他人の何倍もの努力が必要だった。周りはすべてライバル。
足の引っ張り合いこそあっても、手を取り合って共に進む同士などいない。
自分の理想をかなえる為にたった一人で頑張ってきた。
しかしもう限界だったのかもしれない。
同じキャリアだけでなく、本庁や所轄のノンキャリア達の中にも味方となるものはなく、
いつしか自分の理想すら忘れ、ただ上に行く事だけが目的になっていた。
そんな時に彼に会った。
―青島。
最初は他の捜査員達と同じ、キャリアにこびるだけの奴だと思っていた。だが、この前の
事件で犯人逮捕のきっかけとなったのが彼だったと知って、興味を覚えた。
その後なぜか彼の周りに大きな事件が起き、その都度顔を合わせることになった。
あの時もそうだ。
官僚同士の馴れ合い。馬鹿息子の不祥事をもみ消す為に出向いた先は湾岸署だった。
取引を申し出た私に、まるで以前勤めていた会社の様だと傷ついたように語った彼の
言葉が胸に刺さった。
だがそれと同時に、子供のように純粋に警察の正義を信じている彼の言葉は、私の中に
眠っていたものを呼び覚ましてくれた。
自分の理想。もしかして彼は自分と同じ理想を持っているのかもしれない。彼なら自分の
助けになってくれるのかもしれない。漠然とそんな事を思った。
帰り際、無邪気な笑顔で「名コンビ」だと言った彼の姿がいつまでも忘れられなかった。
いつか階級や立場を超えて、本当に「名コンビ」になる事が出来るのだろうか?
もしそうなったら。
帰りのタクシーの中で、久しぶりに笑っている自分がいた。
To be continued
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おや?全然進んでませんね。
予定では4話まで行くつもりだったのに。
ま、いっか(コラ!)
これ書くために久しぶりにビデオ観まくってますが、
ビデオが面白くて、肝心の話のほうがほったらかしになちゃいます。
困ったもんだ(大笑)