いくつもの愛をかさねて
Scene 4.〜信愛〜
![]()
人を信じるってなんだろう?
約束を守る事?
裏切らない事?
嘘をつかない事?
義務を果たす事?
それとも。
―答えはまだ見つからない。
Scene 4−A
―どうして、あの人なら判るのよ?
ある事件の後で、同僚のすみれさんから質問された。
どうして?そんな事こっちが聞きたい。理由なんて解からない。
だけど、あの人なら。室井さんならきっと判ってくれるそう思ったから、「この人は判る!」そう
言った。
でも本当にどうしてそう思ったんだろう?出会ってからたった2ヵ月。顔を合わせたのはほんの
僅か。しかも、いつも対立する側の人間としてだ。いままでだったら絶対あり得なかった。
産まれてから今日まで、出会った人間は数知れない。でも少なくともたった数回会っただけの
人間を、こんなふうに無条件に信じたことはなかった。
あの人は特別だから。自分と同じものを持っているから。
…でも、本当にそれだけ?
あやふやな心。ざわざわと漣を立てて落ち着かない…。
そんな時に起こった事件。
保安課の手伝いで初めての張込み。その対象は雪乃さん。
初めて関わった事件の被害者だった人。
そんな彼女が大麻の売人の疑いを掛けられた。勿論彼女は否定した。
昔の恋人が大麻をやっていた事は認めたけれど、自分は関係ないと強くはっきりと言った。
「亡くなったお父さんに誓えるか?」 「はい」
彼女は嘘をついてない。俺達は雪乃さんを信じる事にした。
でも本店からやってきた薬対の管理官はそうじゃなかった。彼女を初めから疑っていた。
疑って。犯人の様に扱って。
だから彼女が連れて行かれそうになったとき、考えるより早く体が動いた。その結果、与えられ
た時間は48時間。たった48時間の内に犯人を確保して雪乃さんの無実を証明する。
勝算の無い賭け。
それでもやるしかない。これが俺のやり方だから。
いつも自分を信じて前に行く。それが俺。
室井さん。
あなたはそんな俺を信じてくれますか―?
Scene 4−M
―私は青島を信じている。
残り時間はあと僅か。考えてみれば無茶な話だった。
大勢の捜査員達が何日かけても探し出せない被疑者を、たった一人、しかも48時間以内に
探し出して確保する。常識で考えれば不可能だ。しかし彼は言った。彼女の潔白を証明すると。
そんな青島に同僚達も力を貸している。ある者は積極的に、またある者は遠まわしに。
考えれば考えるほど不思議な奴だった。
いつも周りを振り回し、数え切れないほど迷惑を掛けているにもかかわらず、誰も彼を本気で
疎んでいない。それどころか迷惑だとか何とか言いながら、結局は彼に力を貸している。
強い信念と純粋でまっすぐな心。
人が大人になるにつれて忘れていく心。青島は今もそれを持ち続けている。
無茶で無謀で無秩序ではあるが、彼の行動は常に正しい。
彼の周りの者達もまたそんな彼に影響されてゆく。
青島を信じ、彼を助ける仲間達を見て、なぜか私の心は落ち着かなかった。
いまの私はあいつの力になる事が出来ない。何も出来ずただ待ち続けることしか出来ない。
無条件で青島の力になれる彼等が羨ましかった。力の無い自分がもどかしい。もし私に力が
あったなら、彼等と同じように青島の力になってやれるのに…。
あの純粋な心を守ってやりたい。なによりも大切なあいつを…。
ふいに、心がざわついた。
…なによりも…大切な……何?
…あいつは…青島は大切な部下の一人だ。それ以外の何者でもない!
何者でもない…そのはずなのに…。
あやふやな心。ざわざわと漣を立てて落ち着かない…。
―この人は判る!
なんの打算も無く私を信じてくれた青島。今はそんな彼を信じるだけ。
残り時間、あと5分。
彼は必ず戻ってくる。
To be continued
![]()
はい!お待たせしました(待っているのか?!)
前にupしてから2週間も間が開いてしまいました。
すんません(^^;;;)
さてさて。相変わらずちんたらしてる二人です。
あ〜あ。自分で書いててなんですが、
二人ともさっさと自覚しろよなぁ!
そうすればきっと、楽になれるぞ〜〜(何が?!笑)