いくつもの愛をかさねて

Scene  5. 〜曖昧〜

 

日常の中に数多く存在する境界線。

警察庁と警視庁。

本店と支店。

キャリアとノンキャリ

必要のないものには存在しているのに、

必要なものには存在しない。

友情と、愛情

曖昧な心。

この想いの境界線は、

一体どこにあるのだろう。

 

Scene 5−A

 幾つかの事件を通じ、次第に縮まっていく室井さんと俺の距離。

「私は所轄の現実をよく知らない」「上に立つ人間ではないのかもな」

 自分の気持ちを偽り無く言ってくれた室井さん。それだけ信頼されているのだと嬉しくて、

そんなあの人の下で働けることが誇らしくて。

 でも、同時に胸の奥から沸きあがってくるもうひとつの感情。

 尊敬。信頼。友情―。それとは別のもうひとつの想い。

 距離が近くなればなるほどその想いは強くなっていく。

 この気持ちを否定する自分と、否定しきれない自分がいた。

 自分の心なのに自分自身でコントロールできない。不安定で曖昧な心。

 そして想いは爆発する。

 産まれて初めてナイフで刺された。刺したのは事件の被害者の兄。殺された妹の敵だと

言って、保護していた被疑者の愛人を殺しにやってきた。刑事課全部を巻き込んでの格闘

の末、なんとか取り押さえたが、その際に左胸を刺されたのだった。

 痛かった。

 刺された胸も痛かったが、それ以上に胸の奥深くが痛かった。

 室井さんは被害者の兄のことを知っていた。知っていたのに何も教えてくれなかった。

 どうして…!

 刺された恐怖と室井さんに切捨てられた恐怖と痛みが、俺のもうひとつの心を爆発させた。

―オレハ、アナタニトッテ、ナンデスカ?

―アナタハ、オレニトッテ、ナンデスカ?

 苦しくて悲しくて切なくて、やりきれない。

 一度爆発した想いは元に戻らない。

 俺は、室井さんが好きだ。上司として友人として。それ以上に…。

 ―もうこの想いを否定することは出来ない。

Scene 5―M

 ―もうこの想いを否定することは出来ない。

 青島が刺された。

 自分のミスであいつに消えない傷跡を残してしまった。

 湾岸署に依頼した被疑者の愛人の保護。過剰なマスコミの報道からプライバシーを守る為

だったが、彼女を狙っていたのはマスコミだけではなかった。

 湾岸署から再三にわたり要請のあった不審人物の調査依頼。自分の不手際によりそれは

無視さることになった。

 湾岸署に現れた不審人物は被害者の兄だった。それに気がついたときは遅かった―。

 青島が刺されたのは左胸。ポケットに入れていたお守りが無ければ彼は、死んでいた。

「殺されるところだったんだ!」受話器の向こうで叫んだ彼の声が何時までも耳から離れない。

 青島が死ぬ?彼がこの世からいなくなる?

 ふいに感じた恐ろしいほどの喪失感。自分の存在意義すら見失ってしまいそうになるほどの

恐怖。

 そして同時に自覚する。

 私は何時の間にか、これほど彼のことを必要としていたという事に。私にとって青島は、

かけがえの無い存在になっていた。

 行き先を見失っていた私に光を与え導いてくれた青島。

 この世のどんなものよりも大切な存在。

 私は、青島が好きだ。部下として友人として。それ以上に…。

 もうこの想いを否定することは出来ない。

 

 オレハ

 ワタシハ

 カレヲ愛イテイル―。

 

To be continude

や〜〜っと、気持ちを自覚した二人です。

でも自覚しただけ。

これからどうやって相手に伝えて行くんでしょうねぇ。

ふふふ…。そう簡単には幸せにしてやんない(悪魔)

さて!!

次回からいよいよオリジナルが入る予定!(…たぶん)

一体どんな話になるのやら。

誰か教えて…(大爆)