そして皆の努力で何とかスタートするまでにこぎつけました。お風呂上りのホッとひと息タイム、「フットケアーサービスコーナー」と名づけました。もちろんプロとまではいきませんが、お客様に喜んで頂きたい気持いっぱいは本物です。お食事とお風呂の後の夜8時から10時までの間に希望される女性のお客様にどなたでも10分から15分、無料で足もみをさせて頂くということにしました。始めてみたら、想像以上に好評です。いつの間にか男性も、男女平等のこの世の中に女性だけというのは男性差別ではないか、自分たちにもやってくれと言われて、“女性のみ”を消して、男性のお客様も大歓迎ということになりました。私がびっくりしたのは、実はお客様が喜んでいただく以上にスタッフが嬉々として足もみをしていることでした。それは本当に嬉しいことです。お客様に喜んで頂くことによって嬉しく思う心と心のキャッチボールを楽しんでいるのです。1週間のうち足もみの日を決めて実施しているのでお客様方も次の足もみの日を教えてもらって「その日にまた来るね」とおっしゃるそうです。段々と色んな気づきがあるようで、肝臓が疲れていらっしゃるようですねと言うと、何で分かるのかね?と言われて、魔法のおばさんなどと呼ばれたりすることもあるようです。そんな温泉プラス足もみの日々はまだまだ続くようです。感謝!
『日本式足健法と神仙棒』
折田 充
一昨年のこの交流会で、私は「反射区刺激と筋肉刺激」という題で論文発表をしました。その主旨は、「反射区刺激をより効果的にするためには、反射区のない部位の下腿や膝周囲の筋肉や筋(スジ)を柔らかくしてまず血行をよくすることが有効である」という発表をしました。今回はその主旨を更に高める方法について申し述べるものです。
「日本式」という言葉を使いますが、それは一般的に程よい柔らかい刺激が求められることを表現しています。私は鍼・灸師ではり治療も行ないますが、日本で一般的に使われるのは細いものが用いられます。鍼がツボに当たった柔らかい刺激を「鍼の響き」と言いますが、ズンとくる強い刺激よりも日本人には好まれます。日本人は軽い刺激を好む傾向にある民族のようです。そのような民族的な刺激に対する好みに応じて工夫した私の足もみのテクニックが「日本式足健法」です。
話しは変わりますが、日本では今年の稲刈りの季節が終わりました。日本ではお米は水耕栽培ですので、毎年春に稲の耕作を始めるときに、乾いた田に水を引き入れることから始めます。田に水を引き入れると田の土は自然に柔らかくなります。耕すのが大変楽になります。この「田に水を引き入れる」ことによって起こる柔らかくなる現象を足もみに応用したものが「日本式足健法」です。
足首から指先までの足の反射区がある部分の血行を良くしようとして、その部位を時間と労力を使って揉むよりも、まず先に下腿や膝周囲を揉んで柔らかくすると、足首から先の反射区がひとりでに柔らかくなってくるのです。そういう状態にして反射区を触るとしこりや凹みなどの異常がよく分かります。しこりがあれば按で揉み、凹みがあれば摩で揉みます。こうして足もみをすると非常に効果的な結果が得られます。
では実際の手技を紹介します。
@まず、反射区全体と下腿、膝周囲を手で軽く触って全体の硬さを比較してどの部位が硬いかをチェックをします。
A更に足首を回します。足首の硬さと膝関節の硬さをチェックをします。
こうして各部位の硬さの度合いを頭に記憶します。足もみが終わった時に、足全体のバランスが上手に取れたかどうかのチェックの尺度にします。
この準備を終えたら次の要領で揉んでいきます。
1、ふくらはぎ
ポイント1・・筋肉やスジを上手に緊張させて硬い状態にすることが肝要です。緊張させないでただむやみに揉んでも決してふくらはぎは柔らかくならない。
B足首の角度(1)と膝の角度(2)とを上手に調節して、ふくらはぎの硬い筋肉やスジを適当に緊張させます。揉む方の右手よりも、足裏を支えている左手の動きに神経を集中させます。左手を如何に上手に動かしてふくらはぎの深層の筋肉やスジを緊張させることが出来るかでこの作業の成否が決まるからです。
C硬い筋肉やスジがはっきり分かったら、そのままの角度を保ちながら神仙棒で緊張している筋肉を輪切りに切るように動かします。その筋肉がほぐれたら、角度を変えて更に深層の筋肉やスジを緊張させて、神仙棒を当てがってほぐします。このようにして表面から段々奥にある深層の筋肉、スジをほぐしていきます。
ポイント2・・相手の足の角度を左手で自由に変えて、筋肉を緊張させる技術を身に付けることが大切。
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