ANN PEEBLES/THE STORY OF ANN PEEBLES
  
     アン・ピーブルスがHiレコードに残した名曲集です。曲数46曲と多いため省略。


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0年代メンフィスソウルを代表するシンガーといえばアン・ピーブルスであろう。
アル・グリーンと共にHIレコードの2枚看板スターとして70年代ソウルにうねるようなグルーブをたたき込んだ。
 アン・ピーブルスは他のレディソウルシンガーのようにゴスペルで鍛え込まれて育ちシンガーとしてスタイルを
形成してきた過程があるのだが、アン・ピーブルスのヴォーカルスタイルはアレサやグラディスのようなゴスペル
調にシャウトや情感を込めた歌い方とは少し異なる路線である。
どこか憂いや悲しみが尾を引きため息をつきたくなるようなヴォーカルスタイル。力強さもあるがソウルフルな熱気
よりも乾いた感触を匂わす。一言で表すとアダルトなフィーリングを感じさせるヴォーカル。大人の恋愛を表現する
のにピッタシはまるヴォーカルとでも言えるであろう。
その独特のヴォーカルスタイルにソリッドなHiサウンドが見事なまでにマッチすることで完璧なグルーブを生み出し
70年代ソウルの歴史的な名曲を生み出し続けたのであった。
 アン・ピーブルスの代表曲と言えば「I CAN'T STAND RAIN」であろう。押さえ気味に心に染みいるように歌うアンの
歌い方はいつ聞いても男心をくすぐられわくわくします。
続く「COME TO MAMA」などアン・ピーブルスのスタイルは確立していくのであるが、個人的には「I PITY THE FOOL」
や「SLIPPED,TRIPPED,AND FELL IN LOVE」
などのブルージーでパワフルなナンバーがお気に入りである。
  79年には旦那であるドン・ブライアントと共に来日してスーパーソウルショウのメインアクトを飾り可憐な容姿とは裏腹
の迫力あるステージで圧倒してくれました。その後Hiも倒産してサザンソウルも陰りが見えてくると同時にアン・ピーブルス
も引退同様の状態へと陥るのであったが、89年にウィリー・ミッチエルのウェイロからカムバックしてアルバムを発表して
コンサート活動なども行い往年のメンフィスソウルの熱気を今に伝えている。
 これは個人的な意見であるがいわゆる最近のヒップポップの流れから登場したR&Bの女性シンガー達のヴォーカル
スタイルにどこかアン・ピーブルスが漂わせていた大人の憂いを感じさせる色香と共通したものを感じるのは私だけで
あろうか?何かしら影響を与えているという事はないであろうか?