
MARVIN GAYE/WHAT'S GOING ON
1.WHAT'S GOING ON 2.WHAT'S HAPPENING
BROTHER
3.FLYIN'HIGH 4.SAVE THE CHILDREN
5.GOD IS
LOVE 6.MERCY MERCY ME 7.RIGHT ON 8.WHOLY
HOLY 9.INNER CITY
BLUES
| 愛の求道者、マーヴィン・ゲイ登場! 愛というものほど実体がつかめないものはない。人それぞれの愛があると思う。愛とは何か? 答えを出すことは不可能であろう。愛とはあえていうなら永遠のテーマである。 その困難な問題に挑んでいったのがマーヴィン・ゲイである。 彼はソウルを通じて、様々な愛をテーマに歌い上げた。マーヴィンの生涯は愛を哲学的に突き詰める求道者 のような生き方だったといえる。男女の性愛、家族愛、色々な愛をテーマにしたが、なかでも人類愛という究極の愛 の形を表現したのがこの「WHAT'S GOING ON」であろう。 「WHAT'S GOING ON」はベトナム戦争に従軍した弟から戦地の凄惨な状況を伝え聞いたことが直接的な契機となって 作った曲である。「さあ、今ここで愛を降り注ぐ方法を考えよう」という切実な問題提起には理不尽な戦争や暴力に対する 痛烈な批判が含まれている。ソウルチャートを5週間に渡って1位に輝いた名曲である。 6曲目にいたっては大気汚染でよごされた空気や生物の生存が人間によって犯されていることを神様に嘆いているマーヴ ィンがいる。エコロジカルな内容をテーマにしている。 そして、4曲目では絶望に打ちひしがれた世界を救おう。未来を担う子供達を救うために。そのためにみんな賛同してくれ と懇願することで「WHAT'S GOING ON」(何処に向かおうとしているのか?)という問いに一つの解答を示してくれている。 ベトナム戦争や公民権運動などの社会的な激動を通じて黒人の意識も高まり、ブラックパワーなどと言われたムーブメン トとソウルミュージックも切り離して語ることができなくなった時代。ソウルシンガー達もよりクリエイティヴにそしてアメリカ社 会における黒人社会の現状やアイデンティティを歌い上げるようになっていったのは必然的と言える。 その先駆けといえるのが「WHAT'S GOING ON」である。 今の日本社会はどうですか?新聞をみればナイフをもった少年の事件や幼児虐待などの社会に失望感を抱いてしまうよ うなニュースが目に付く、地球温暖化問題など環境破壊は限界に達し未来に対する不安が大きい。 こんな暗く閉ざされたような世の中だから愛を降り注ぐ方法を考えようよ?未来を奪う加害者になりたくないでしょ。 私は「WHAT'S GOING ON」を聞くとマーヴィンにこう問われているような気持ちになる。 私的な話ですが、私は、環境問題などの市民運動に参加しているが、始めたのはこのアルバムに触発されたからです |