ベールの破損

 スピニングのベールは手で返せって!?

95ステラのベールワイヤ折れ
 チタンベールワイヤを採用した95ステラ。写真の2000番、数日使っただけで矢印の部分が折れました。雑誌やウェブ上でも、この故障に触れたものがありますから、特殊なケースではないみたいです(だから、98はステンレスに戻したのでしょう)。

98アルテグラも・・・
 こちらは98アルテグラ2000。1シーズンの使用で矢印部が破損しました。ただし、アルテグラの場合、私はベールの幅を調整し、動きをスムーズにしていました。その分ベールの閉じる衝撃が大きくなっていたと考えられます。これは私だけのケースかもしれません(でも、しっかり芯を出してやると壊れるっていうのもねえ・・・)。

原因
 
現在のリールは、大口径ラインローラーのバランスをとるためにAのバランサーが大きくなり、ロングスプール化でBのベールも長くなっています。そのため、ベールを閉じる時にAとB両方の衝撃を受けるCの部分の負担が大きくなっているのです。

対策
 これが私の対策。ベールが閉じるときのストッパーをバランサー(シマノではベール取り付けカムといいます)側にも付けました。こちらでも衝撃を受ける分、ラインローラーサポート部への負担が減るはずです。

 閉じたときの音がしっかりしたものになり、こちらにもかなり衝撃が加わっているのがわかります。ベールワイヤの剛性も上がりますので落下などによる変形にも強くなるはずです。
 これが裏側。溝を切ってステンレス線をエポキシで固定しました。

 ただし、「寿命が延びる」というのは、あくまで推測であって、テストしたわけではありません。改造はご自身の責任で・・・。

 これがヒントです(というかまんまですが)。フリームスもこの部分にストッパーをつけています。カーディナル300やミッチェルアボセットなど、最近のリールはこのストッパーを採用するものが多くなっているようです。やはりこれがないとベールが破損するという証拠ではないかと思います。

ダイワよおまえもか(これは間違いです。下記追加説明をご覧ください)
 上のシマノと同時期のダイワリール、エンブレムZ2000iAです。数回使ったら、ベールアームが倒れこんできました。2回の使用でベール反転レバーも割れてしまいました。
 上のエンブレムはワイヤが曲がったのではありません、支点が歪んできたようです。こちらはTD-S2506C。これも同じ症状です。

 私は“ミッチェル使い”なので、ベールは必ずハンドルを回して返します。だからこういうことが起きます。

 先日「ベールをハンドルで返すとリールが傷むと聞きましたが、手で返したほうがいいのですか?」というメールをいただきました。おそらくこのページのようなケースを体験した人が、そういうことを言い出したのでしょう。

 しかし、ベイトリールであれスピンキャスティングリールであれ、キャスト後はそのままハンドルを回して巻き取りに入ります。スピニングだって、これが一番効率のいい使い方のはずです。フェザリングを助けるローターブレーキや糸絡みのないベール形状は、ハンドルでベールを返してすぐにリーリングに入るためのものでしょう。なにより、ベール反転装置が付いているのですから、メーカーはその機構の耐久性を保証しなければなりません。

 ですから、ベールをハンドルで返すことは、けっして荒い使い方でも間違った使い方でもありません。これらはすべてリールの責任です。釣り人が「壊した」のではなく、リールが「壊れた」のです。 (2004/7/7)

【追記】現在シマノはベールワイヤの90°曲げをやっていませんし、ダイワはフリームス以後上の写真のようなストッパーを付けていますので、現行商品にこのような問題はないと思います。


上記ダイワリールに関する訂正

同じリールです
 上で、ベールの角度が狂ったと書いているのと同じエンブレムです。少しいじったらベール角度が直ってしまいました。

角度が変わるわけ
 ベールを分解組み立てしたとき、ベールを押さえずにネジを締めると、ラインローラーサポートCがAの方向にねじられます。そうすると、ベールワイヤはaの方向に持ちあがります。

 反対に、Bにねじるとベールはbのように下がります。

 私はいつもこのように、ラインローラーサポートがネジの回転につられて動かないように、押さえて締めます。

 たいていのリールはこうやって組まないと、ベールワイヤが突っ張って、動きが悪くなるからなのですが、これをやりすぎてBの方向にねじったような状態にしてしまっていたようです。

 エアベールのTD‐Sも組みなおしたら、こんな感じになりました。

 なんとも情けない話です。釣り具にまつわる風評などについて書くつもりのコーナーで、自ら風評になりかねないことをしてしまったわけです。

 磨耗(というよりなじみ?)で、多少はベールアーム支持部の角度が変わっているようにも感じますが、少なくとも「支点が歪んできた」というような現象ではないようです。

 エンブレムのベール反転レバーが割れたことについても、より仕様頻度の高かったTD‐Sで割れていないのですから、たまたま成型不良の部品にあたっただけかもしれません。

 エンブレムは廃盤ですが、このタイプのベールとローターはいまも使用されています。エアベールは元より、旧タイプのチタンワイヤも、曲げ部分のアールを大きく取っていますから、ここから疲労破壊する心配も少ないでしょう。信頼性は高いと見てよいのではないかと思います。

 お恥ずかしい限りです。(2004/12/18)


ラインローラーサポートの固定について

結局このくらい
 ベールワイヤが水平になるからといって、上のようにラインローラーサポートを押さえずに締めるのがよいのかというと、そうではありません。

 各部を見た結果、結局このくらいにしています。

 こっそり追記:いまさらやけど、やっぱりこれ、どこかゆがんでますよね。エアベールのほうも、最近買ったルビアス2004と比べるとやっぱりおかしいもん。(2005/11/4)

ベールアームがねじられる
 ラインローラーサポートがネジ締めにつられてねじられたままの状態だと、ベールアーム支持部に無理な力がかかります。

 ベールワイヤを水平にした状態でベールを開閉したら、Aの部分の塗装が削れてしまいました。Bにあたっていたのです。ベールワイヤがねじられたのと反対に戻ろうとして、ベールアームを外側にねじっていたいたわけです。

ここを目安に
 どのくらいのところで締めるのがいいかですが、ベールアームの状態とともに、この部分に適当な遊びがあるかも目安になります。ベールワイヤを水平にしたときは、スプールリングにつく寸前になっていました。

 もしこのタイプのリールで、自分のはだいじょうぶとか、自分のも壊れたという方は、情報をいただけるとうれしいです。(2004/12/18)

【2011/11/15いまさらこっそり追記】ホントいまさらですが、ダイワリールに関しては両方とも支持部がどうこうではないみたいです。エンブレムのほうはチタンベールワイヤーの変形みたいですし、TD-Sのほうは買ったときからあのくらいだったのかもしれません。特にTD-Sのみならずエアベールになったモデルのベールアームは穴部がパイプ状に延びていてローターのボスとの接触面を広くとってあり現在のリールより安心なくらいです。このページより後に買った旧型ルビアス2004もほとんどベール角度は変わっていません。でも、10セルテートとか初代カルディア系(持っていませんが)とかの樹脂ローターはベールアーム支持ボスがけっこう減るみたいです。書いた時点では(特にダイワ製品に関して)外し気味のこのページでしたが、その後の製品を予測するかのようなことになったのは、なんといっていいのか・・・。

Broke ? Broken ?