回転バランス2
 前のページの仮説にのっとって、現行リールや旧型リールを見てみましょう。

傾斜した腕
 最近のリールは、どれもローターの腕が傾斜したデザインです。これは、腕の下部を(図の)左にはみ出させてベールによって上がった重心を下げ、ベールアームを右にはみ出させて右の重心を上げているのではないかと思います。

ベール取り付けカム
 この向きから見たときも、重心の高さに気を配った設計だということが分かります。

 Aのベール取り付けカム(シマノでの呼び名ですが・・・)は、ラインローラーに対応して上(リールの前部)に突き出す必要があります。シマノ98モデルは反転軸を傾け、この部分を前に出していました。

 カタログではスプールに指が届きやすくする余裕を設けるとか書いていましたが、これが本当の理由だと思います。

ダイワの場合
 ダイワのこの部分が上にぴょこんと出ているのも、同じ理由でしょう。

カーディナル302
 こうしてみると、カーディナル302のローターも、ただデザインのために曲線的にしたのではなく、形に理由があるのが分かります。

ミッチェル300X
 このリールの場合、Aがベール側の重心を上げてしまっています。そのためにバランサーBが必要になります。さらにAとBによってベール側が重くなってしまうため、Cにもバランサーを入れています。

 Aのデザインが不適当なため、連鎖反応的にウェイトが増えた例です。ミッチェルやなあ・・・。でも、こういうところがたまらなくかわいいの。

ミッチェル308
 ミッチェル300シリーズは、前のページのシマノ同様ベールの支点がローター中心からオフセットしていません。これは、308と309など左右ハンドルのモデルを同じ金型で作るためです。世界初の量産的スピニングとして、安価にリールを量産することを考えたと解釈すると、納得できます。

 これが、カーディナル33/44に右ハンドルがなく、ミッチェルに右がある理由でもあります。

 さらにいうと、滑らかさはいまいちながら巻き上げ効率の高いベベルギアと、多少のバイブレーションには目をつぶったローター設計は、「実用機ミッチェル」というキャラクターに一致していると言えます。

カーディナル33
 一見すると、ベールワイヤと同じ側にベール反転レバーがきていて、ベール側ばかり重くする、不合理な設計に見えます。

 しかし、重心の高さ(前後位置)の考え方で見ると、ベールワイヤで上がりがちになるワイヤ側の重心を、ベール反転レバーAで下げているのだということが分かります。その上で、支点を大きくオフセットしています。よく考えた設計だと思います。

 89復刻33などで、ベールワイヤの形状が出ていない個体の回転バランスが悪いのも、重心の高さの考え方で説明できます。ついでにいうと、シマノが細いベールワイヤを使うのは、ワイヤ形状のばらつきで回転バランスの悪い個体ができるのを防ぐのが、本当の理由だと思います。

 と、こんな具合に、ローターを眺めているだけで、リールの個性が見えてきておもしろいものです。(2005/1/21)

Broke ? Broken ?