絶賛発売中『Abu落穂拾い』のボツ表紙。最初黒バックで作ってみたらなんか暑苦しい。んで、白にしてみたら何となくパッとしないしワンパターンな感じもする。バックを完全な白にするのはフォトショップのトーンカーブという技を使うのですが、バックの色を白くすると被写体の色もちょっと気が抜けたようになる。そんなわけで、やっぱり黒に。黒にするとタイトル文字がどぎつくなりがちなので、ちょっと細めの白にして、「落穂拾い」はスプールのPEラインの色をコピーして写真に馴染むように。いろいろ技を使っているわけです。(2025/12/6)

 「落穂拾い」というタイトルは、PCに残っていたアブ系原稿をかき集めたことから付けた自虐的なものでした。でも、あらためて考えたら、80年代のアブも「落穂拾い」でした。ブランドと販売網のために倒産したガルシアを買収、スピニングとスピンキャストをあきらめてアジアメーカーに開発を依存、外観デザインはヘンリー・ドレイファスに、丸型やカーディナルCなど旧モデルのイメージを活用……まさに落穂拾いです。

 落穂拾いとはミレーの絵につけられたタイトル。収穫後の麦畑で取り残されて落ちている穂を貧しい人たちが拾う様子を描いています。こういう行為自体を落穂拾いというそうです。

 さすが竹中サンは教養深いと思ったら大間違い。『ミスター・ハラの記憶』のどこやらに書いてあったのをマネしただけです(たしか『リールの歴史』のどれかだったと思う)。『Abu落穂拾い』にも原氏の文を2つほど入れています。ここで興味をもたれたらほかのシリーズもぜひです。

 1988年2月21日琵琶湖のバスです。この日のことを思い出したのはYouTubeでこの動画を見たからです。前半で名古屋営業所から本社に来てスコーピオンブランドを担当した「田辺さん」という人が出てきます。上の写真のころ湖北で釣っていたらタックルを山のように抱えた二人連れがいて、それが田辺さんと名古屋営業所に行った同期の男でした。(2025/11/29)

 上の写真の当日か別の日かは記憶にないのですが、小さい漁港の対岸側に少年が釣っていて足元にタックルが置いてありました。突然そのタックルが湖に向かって動き出し、水に落ちてしまいました。少年呆然です。なぜかルアーを投げたままタックルが置いてあり、水中のルアーを田辺さんのルアーがひっかけてしまったのでした。ただ、なかなかに37年の年月は長いもので、その後の記憶がありません。タックルを釣り上げて少年に返したのか、代わりのタックルをあげたのか、そもそも記憶違いで引っかけたのは第三者の釣り人だったのかもしれない。

 タックルは上のとおりなので、田辺さんに「ミッチェルの人ですか?」と言われました。このころ忠さんのスプーンでバスを釣っていたので「スプーンの魔術師」とも言われました。その後動画で村田氏が言っているように89年に本社に来られました。(これも記憶があいまいだが)バスボートを琵琶湖に持っていて、いっしょに釣りをしたこともありました。釣り日誌を見たらこの年の6月、タックルはスーパーパルサーFWS-60L/C&マイコンSS、レスターファインミノージャック&BB-2でした……。この数か月後にBB-2のスプールが割れたんだった。

 『Reelpedia』の原文を書いたころだから17年のフィッシングショーで「頑張って書いてるね」と言われた記憶がありますが、村田氏の動画によるとこのころ亡くなってしまったらしい。これまたあいまいな記憶ですが、田辺さんは大垣出身だったはず。

 動画後半で『BB、BM、そしてバンタム』が出てきます。まだ少しあるとのことです。動画タイトルは「釣り」ですけど、シマノは自転車部品がメインなので株価でんでんは自転車の業績のせいでしょう。米国が主市場のはずなのでトランプ関税も関係しているのかもです。

 シマノは釣りの世界ではダイワと並ぶ二大勢力ですが、自転車部門がPCのインテルとか竿部品の富士工業みたいなものなので釣り部門はマイナーなイメージでした。90年代にできて釣り雑誌にも載ったこともあるガラス張りの釣り部門の建物は、できたあとに釣りバブルがはじけたこともあって、「釣りはあんな立派な建物を建ててもらってこれだけの売り上げか」と経営会議(自転車を含めたえらい人の会議)でイジメられると以前聞いたことがあります。『Reelpedia』紙版の「鉄です!」解説のように釣りの人は困ったやっちゃみたいなイメージもありました。これもいまや大分昔の話やけどね。

 絶賛新発売『Abu落穂拾い』です。むかし陽水が気に入ったアルバムほど売れないみたいなことを言っとりました。アマゾン本も似ていて、私はとくにアブのファンでもなんでもなくて、『Cardinal』を一番最初にカラー版で出したのは、つまらなくて売れないだろうとカラー本作成の練習台にしたからだったほど。本の形態も四六判の白黒が一番「本」らしいと思っているのに、よく売れるのは教科書サイズカラーの『Cardinal』と『2500C』。なのであざとく教科書サイズのカラーでアブ本を作ってみました。(2025/11/23)

 自虐的な書名のとおり、PCに入っているアブ系の原稿をかき集めました。内容はアマゾン紹介ページのとおりで、「試稿」というのは、試しに書いた原稿。依頼に対して何通りか書いてみるわけです。そのうち出さなかったものなので、やや過激なものが多い。ABUファンにケンカを売っているようなものも。

 なお「しこう」と打ち込んでも「試稿」とは出ないのでこういう言葉はないのかも。これは原さんが送ってきた書簡について書いていたもので、原氏の作った言葉かもしれません。原氏の文章ではほかに「彼社」という言葉もあって、雑誌記事で使ってみたら書き換えられたので、これもオリジナルかもしれません。

 コンテンツのうち「ミスター・ハラのスウェーデン滞在記」は『ミスター・ハラの記憶 リール風土記』の第2章の原文です。あの本は私信を勝手に本にするのはどうかと三人称に書き直していますが、その後の『ミスター・ハラの記憶』シリーズは原文のままなので、スウェーデン編も原文で再掲載しようと思いました。じつは『2500C』に入れる予定を、全体のバランス上断念したものです。このへんはドミノ的になっていて、『2500C』のうち復刻時代の2500Cについて書いた部分(年表とか)は当初『その後の名門』紙版に入れようと思って入れたバージョンまで作ったものの、内容的に違うなとやめたものでした。

 メインは「C3/C4長寿命スプリング開発記」でしょう。ちゃんと読めば寸法からショットピーニング会社まで書いてあるので、作りたい方はどうぞ。この5年間の売れ方も書いてあるので、かなりのチャレンジでありましょうが。

 2025年10月17日釣姫漁港のシイラです。サワラ釣れないかと行ったら、シイラの群れがサヨリを追い回していて、釣れまくっていました。入れ食いで釣れてジグをシャクるのがだるくなったので、ダムサイド10グラムでただ巻きしたら、これでも3匹釣れました。(2025/11/16)

 リールは16ストラディックCI4+C2500SHG。いまあらためて年式を調べて10年近く前のモデルだということに気が付きました。年をとると月日の流れが速いのお。でもまあ、この後のモデルで何が変わったって、ハンドルがたためなくなって不便になったくらいだからねえ。

 このリールはモデル後期に買ったやつで、大元の米国版ストラディックCI4 2500Fで十分やけど、新サイズのC2500はどんなもんじゃらほいと(いうのを新しいリールを買う言い訳にして)買ったのでした。

 まえ2500Fと使ったときは、シャクったときに巻き量が不足気味でタイミングが取りにくく感じました。この日は、サワラは釣り上げたあとシラスをよく吐くので、小型ジグをメインにしようとライトアクションのロッドとPE0.6号を巻いたこのリールを持っていきました。で、これだけ使っていれば、こんなもんかなで別に何も感じませんでした。そんなもんよね。

 このシリーズのC2500は2500に小口径スプールとローターを付けたものでしたが、いまのモデルは全体にロングスプール化したこともあって、C2000のスプール径を増したものをC2500としているようです。ローター慣性とかスプール往復に使われるエネルギーを考えたら、その方が軽快になりそうです。

 C2500SはPE0.6号が150メートルぴったりなのがいいです。スペック上はC2000Sが0.6号150メートル、(C)2500Sが0.8号150メートルとなっておりますが、わしが巻くと巻けんのだわ。PEは食い込むからきつく巻いとかなあかんとされとりますが、投げて巻いたらそれなりのテンションしかかからんのだから、そう極端にきつく巻くことはないと思うんじゃがなあ。

 2025年11月3日またまた琵琶湖にさじを投げに。バンタム100SGマグキャストにラインを多めに巻けば渓流最終釣行で好印象だったマグナムライト2200SGスピードマスターと同じキャスト性能になるのではないかというのを確かめるためでしたが、写真くらいのバスが抜き上げ後凧あげの凧のように舞い上がる暴風で、なにがなんやらわかりませんでした。(2025/11/8)

 そんな状況なので、糸を増やして飛距離その他がどうなったのかはわかりません。

 相変わらず不思議なのは、やっぱりキャスコンを締めた方が飛ぶということ。向かい風気味の横風だったので、ブレーキは強くセットします。このとき、マグを強くするとあからさまに飛距離が落ちます。マグはそのままでキャスコンを締めると、それなりに飛ぶ。わからん。

 キャスコンは機械的に締めているのだからスピードにかかわらずブレーキ力は一定……なのかな? わからんなあ。

 2025年10月25日琵琶湖にさじを投げに。旧バンタムマイブームは収まらず、とうとうバンタム100SGマグキャストにまで手を出してしまいました。『BB、BM、そしてバンタム』中のコラム「アンバサダーの筆立て」にサービス課S氏の「マグはあかん、飛ばん。ベイトは遠心や」という発言が出てきます。そのとおりでごわした。(2025/11/1)

 ちょっと驚いたのは、スプールが100のジュラルミン切削から10SGと同じアルミダイキャストになっていたこと。ネット上の複数の画像を見ても、組み替えられたのではないみたい。このころからバンタムもコストダウンされてたんだねえ。

 ベアリングはグリスを入れていきました。そのうえでキャスコンフリーでマグダイヤル4(でないとバックラッシュする)のセッティングよりも、キャスコンを締めてマグダイヤル2〜3のほうが飛距離が出ました。これはほかのマグリールと同じ。

 向かい風で投げながら、やっぱダイヤル調整できるのはいいなと思っていました。ところが、同じ場所同じ向かい風でバンタム100に変えてみたところ、普通にキャスコンを締めた状態(ロッドを振ってルアーが落ちるくらい)で、バックラッシュなしで飛びます。飛距離も100のほうが出る。同じタイミングで投げると右に飛ぶ……つまり立ち上がりや加速もいい。

 マグは調整できるのがいいというよりも、調整しないと飛ばないといった方がいいかも。回り始めからブレーキがきくため初速を殺しやすく、だからバックラッシュしないギリギリまで緩めないと飛ばない。

 ここで思い出したのが、渓流最終日に使ったマグナムライトスピードマスターの好印象でした。重いスプールにマグだから飛ぶまいと思って期待値が低かったこともありますが、それでもよく飛びそれほど回転が重い感じもしませんでした。

 スプール重さは100SGマグキャスト24グラム、スピードマスター25.5グラムです。スプール径は100SGマグキャストが35ミリ、スピードマスターが37ミリ。ブレーキは共通。ラインはどちらもスプールライン(糸巻き目安ライン)まで巻きました。ここから推測すると、100SGマグキャストはスプールラインを越えてラインを巻くとキャスト性能が向上するかもしれません。またやってみなあかんがや。

 2025年9月23日の続き。バンタム201SGがしんどくなって10SGにチェンジ。交換してまず感じたのは軽くていいこと。幅が狭くなったのとハンドルが小さくなったほか、金属レベルワインダー(『BB、BM、そしてバンタム』で真鍮ダイキャストと書いたけど、落下テストで割れそうだから鍛造かな)が樹脂になったことでヘッドが軽い。往々にして安物のほうが合理的で使用感の良いものになることがあります。(2025/10/26)

 今年最初に使ったときは、遠心にオイルを注し、スプール支持ブッシュにグリスを塗りました。写真の日は遠心は乾いた状態、スプール支持ブッシュはオイルのみにしました。バンタム100のスプールベアリングをグリスレスにすると、いまの若いもんのいうところの“ピーキー”なリールになってしまいますが、さすがに10SGのブッシュはオイルでいいみたい。

 むかし品管レポートで、こういう焼結ブッシュに含浸させるオイルにトリフロンは向かないという、分析会社の報告を読んだことがあります。トリフロン(その後トリフローと改名)はテフロン入りの潤滑剤で、当時製造元はリールに売り込もうとしていたようで、釣り雑誌に載っていたりしたものです。すでにトリフロンを焼結ブッシュ含浸に使っていたのか、採用を検討するために分析会社に出したのかは記憶がありません。

 いずれにせよ、スプールを支持する焼結ブッシュは組立前にオイルに漬けていたということになります。となると、そこに追いグリス(?)して組むかなと思えるので、現役時代もオイル潤滑だったんじゃないかと考えました(一方で濃縮海水にぶち込む海水テストでもつかなとも思えるのでちょっと自信がない)。

 水や海水が入らなけらば、おそらくオイルだけでも相当の期間もつだろうと思います。関連して思い出したのは、観賞魚用の上部フィルターについているモーターで、あれも銅系ブッシュ(ただし焼結ではないかも)でステンの軸を受けています。これで、24時間高速で回りっぱなしで何か月ももちます。これと比較すれば、リール程度の回転数と回転速度ならオイルだけでも1シーズンやそこら余裕でもちそうな気がします。

 話がずれていきますけど、観賞魚用モーターには洗濯機の回転数でいえば何年分にも相当するから半年だったか1年だったかで買い換えるようにと取説に書いてあります。ひでえ話で、ブッシュにオイルを注してやれば何年でも使えます。国際機関のお墨付きを得た強力ラインを装うIGFA表示や対人催涙スプレーを(ありもしない)ツキノワグマ専用スプレーとして売る商法を思わせる記述です。

 うちのフィルターのモーターにはダイワのリールオイルとグリスを注していましたが、最近注油しても1〜2週間で流量が低下してしまうので、ばらしてみました。すると、オイルがこてこてに固まっていました。よく言われる異種オイルを混ぜると固まる現象が、メーカー出荷時に注してあったオイルとの間で起こったらしい。洗浄してダイワリールオイルをひと吹きして組んだら、かれこれ1か月くらい絶好調です。このことを考えても、リールのブッシュくらいならオイル潤滑で相当もつだろうと考えられます。

 観賞魚用モーターのコアは90年代にいた岐阜のプレス会社で抜いていました。米子の会社に収めていて、コストが相当厳しかった記憶があります。だからちょっとでも沢山売ろうと半年とか一年で買い換えろって書いてあるのでしょう。たぶん今は韓国か中国に移管されているのでしょう。

 2025年9月23日の根尾川。根尾川も坂内川もちっとも釣れないのにこうやって写真にするとええ川に見えるのはどういうわけだ。ノーマルベイトで渓流に行くヘンタイプレイ番外編、バンタム201SG。番外編になったのは新子アマゴすら釣れず、写真がないからです。(2025/10/18)

 遠心バンタムの最終期に生まれた、世界で最初の非円形左ハンドルです。この時期アメリカでは100サイズより大きいものが好まれたようで、この後出てくる1000SGやバンタムマグプラス、マグナムライトなども大きめスプールになっていきます。その流れで左は201SGしかありませんでした。

 100のワイドスプール版なので、当然スプール重量アップ、渓流サイズのルアーはダメだろうと思っていたら、意外に投げられました。重いスプールの慣性が締め込んだキャスコンの抵抗に打ち勝ってしまうのか、後半に伸びがあり、飛距離は100より出ます。

 半面、当然、スプールからループが飛び出してしまうケースが増えます。ループが飛び出したまま次のキャストをすると、ラインがフレームを叩いて傷つき、高切れにつながるので、何を置いても修正せねばなりません。渓流ではとっても困る。ブレーキカラーを青3.5ミリから黒4.5ミリにしてみたところ、そうした現象は減ったものの、当然ながら飛距離が落ちます。

 左ハンドルは、トゥイッチがやりやすい……はずなのですが、この時代のバンタムはギア比が4.7対1しかないので、巻くのが精一杯で、トゥイッチする余裕がありません。右ハンドルでがーっと巻きながら左手でトゥイッチした方がまだ楽です。

 201SGを渓流で使うのは、ちょっとヘンタイ度が高すぎました。

 2025年9月30日坂内川のアマゴです。旧型ベイトをオリジナルスプール&グリス入りベアリングのノーマル状態で渓流に持ち込むヘンタイプレイ延長戦。根尾川でバンタム1000SGを投げてから、最後だから坂内川も見てこようと寄りました。釣りをする気はなかったのですが、今日で終わりだから投げるだけ投げるかと、予備でもっていていたスピードマスターを投げてみました。 (2025/10/11)

 今年ベイトを投げてみたくなったきっかけがこのリールでした。九頭竜川で、キャスコンを締めた状態のほうが気持ちよく飛んで飛距離も出ることに気付き、ここからスプール回転には抵抗がかかっていた方がいいのではないかと考え、旧型ベイトを販売時と同じグリス入りベアリングにし、その方が調子がいいことに気付いたのでした。

 スピードマスターは次の九頭竜釣行でグリス入りベアリングを試したのですが、背後のアシを引っかけて修復不能なバックラッシュを起こして途中退場、それっきりになっていました。

 九頭竜で少し投げた感じでは、グリス入りBBにして飛びは良くなった印象でした。とはいえ、重いスプールにマグネットブレーキなので、渓流サイズのルアーはダメだろうと、ベストの背中にバンタム1000SGを入れ、ダメならさっさと交換するつもりで川に下りました。

 ところが、思いのほか調子がいい。さすがに3グラム台になるとかなり厳しくなりますが、リュウキ45S(4グラム)やリフレイン50HS(4.1グラム)なら大丈夫。3グラム台でもスプーンならバイト3.3グラムがなんとかいける感じ。マグは調整が効くこともあって、飛距離も十分出ます。

 キャスコンはルアーがゆっくり落ちるくらいにして、マグネット20でたいていのルアーがいけました。不思議なことに、キャスコンをロッドを軽く振ってもルアーが落ちないくらいに締めて、マグネット10(最小:構造上ゼロにならない)にした状態が一番飛距離が出ました。マグネット特有の(と思っていた?)ふわーんとかもやーっという感じではなく、飛びも気持ちよかった気がします。

 やはりこの時代の重いスプールは回転に抵抗がかかっていた方がいいらしい。九頭竜で投げた感じを総合しても、BBをグリス入りにしたのがプラスに働いたように思います。

 帰宅後スプールの重さを測って二度びっくり。単体25.5グラム糸込み37.5グラムと、バンタム1000SGの単体16グラム糸込み28グラムより大幅に重い。現在のベイトフィネス系の3倍くらいです。これだけ重いスプールをグリスレスBBにしたら、バックラッシュを防ぐためにブレーキセットが過剰になって、特性が変わってしまうのは当然でしょう。

 2025年9月30日根尾川のアマゴです。旧型ベイトをオリジナルスプール&グリス入りベアリングのノーマル状態で渓流に持ち込むヘンタイプレイに終始した25シーズン締めくくりは、バンタムの形をした最後のバンタムたる1000SG。この日、ファーストキャストにひさびさのドリフトトゥイッチャー50Sを選びました。ところがうまく投げられません。1000SGの37ミリスプールのせいかと思ったら、リュウキ45Sなら大丈夫。帰宅後ウエイトを調べたらドリフトトゥイッチャー50Sって3.3グラムなのね。シュガーミノーより重くなったのでヘビーミノーのように思っていました。リュウキ45Sは逆で、アンダー50ミリのミノーを投げる僕ってテクニシャンと思っていたら、4グラムもあったのか。そら飛ぶわ。 (2025/10/4)

 さすが1000SGはいままで使った100、10SG、201SGなどより飛びます。ドリフトトゥイッチャー50Sは重いと思い込んで投げたからうまく投げられなかっただけで、軽いルアーへの適応性は100などと同程度かややいいくらい。1000SGのスプールは単体16グラム糸込み28グラム、100は単体20グラム糸込み29.5グラムです。キャパが大きいので糸を巻くと重くなりますが、それでもスプール径が2ミリ小さいバンタム100より軽い。

 ブレーキが安定しているのも(90バンタムスコーピオンより前の)遠心最終モデルらしいところ。ブレーキブロック(シマノ部品名的にはブレーキカラー)が100や10SGの3.5ミリから倍以上の8ミリに大型化され、乾式からオイル塗布式にかわっています。作動音が静かでオイルが回ってブレーキ力が変わる心配もありません。

 200グラムを切る自重もこの時代としては最軽量。シンプル軽量の名機のはずでしたが、ほぼ同時にマグの時代が来てしまい、あまり日の目を見なかった印象(ヤフオクをみると米国向けにマグモデルもあったらしい)。なんかもったいないリール。

 なお、このリールもベアリングはグリス入りに戻しています。ベアリングにオイルを注してしまうと、中大型スプーンやバス用バイブレーションですらキャスコンを締めないとバックラッシュしてしまいます。グリス入りベアリングなら、こうした投げやすいルアーはキャスコンフリーで、フローティングラパラのような投げにくいものは少しキャスコンを締めて投げられます。ググってみるとたいていの人がやっちゃってますが、この時代のリールのベアリングのグリスを抜くのは逆効果です。


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 2025年9月23日根尾川のアマゴです。バンタム10SGがカッコよく写っています。これで魚が大きかったらいうことはありません。年齢的、体力的、経済的、クマ的に揖斐川水系しかも車横づけみたいな場所ばっか行っててはまともなサイズは釣れませんわな。 (2025/9/26)

 禁漁も近いし、せめて谷的なところに分け入るかと思っていましたが、ちょっとやめときたい感じ。というのは、自分の持っているクマ撃退スプレーが人間用だったからです。この動画の13分10秒から出てくるのがそれ。動画内の実験では噴射距離も噴射時間も本物のクマスプレーに遠く及ばず、素人目にもこれではクマに対処できそうにありません。動画でもこれは問題だと結論付けられています。

 このスプレーをすでに購入してしまっていた2024年、『ギジー』夏秋号でクマ対策用品カタログページを担当しました。このとき、この商品も発売元に資料や画像を依頼しました。そして届いた返事に困惑しました。発売元いわく、“北海道以外の本州四国では「ツキノワグマ」専用の当社製だけが使用可能なクマスプレーである、(他社の販売している)北海道のヒグマ専用のクマスプレーは本州四国のツキノワグマの生息エリアでの使用はできない、そうした説明がなければ画像その他を提供しない”ということでした。

 クマスプレーに「ヒグマ用」「ツキノワグマ用」があるとは初耳だったので、ネット検索してみるとそうしたことを言っているまとめサイト(というのかどうか知らないがウィキペディアを模したような箇条書きサイト)がいくつかありました。しかし、そういうサイトはネット情報をコピペして作っているようなもので信用できません。そこで、クマスプレーを置いている獣害対策用品店に聞いてみたところ、そんな分類は聞いたことがないといいます。環境省にも電話で問い合わせましたが、こちらは発売元に聞けばいいでしょとあしらわれました(そのような規定はないと聞いた気もするが電話なので記録が残っていない。ただ実際規定はないようだ……*)。その発売元の言っているのがわけわからんから聞いているのに……。

 (*当時のメモをみると、5回電話したが打合せ中だったりリモート勤務で連絡がつかなかったりで担当者が捕まらなかった。「発売元に聞いたらいいでしょ」は担当ではない電話に出た人の発言だったよう)

 米国製造元にメールで聞いてみたところ、日本の発売元は別会社だからうちには関与も権限もないとの回答が来ました。なおこのメーカーのUSサイトにクマの画像や言及は一切ありません。

 ちなみに本当のクマスプレーメーカーであるセイバーに聞いてみたところ、「EPA(環境保護庁)とカナダ保健省は、クマよけスプレーの強度を定め、スプレーの製造要件を定めています。お客様の安全を最大限に高めるために、これらの規制機関による試験と承認を受けた当社のクマよけスプレーのご使用をお勧めします」という回答が来ました。セイバーの回答内の「クマ」はBrown Bear(ハイイログマ=ヒグマ)ではなく単にBearと書かれていました。本州のツキノワグマはJapanese Black Bearです。Black Bearは北米にもいるのでセイバーのいうBearはBlack Bearを含んでいるはず。ならばツキノワグマも同様に考えていいはずです。

 ヒグマより小型のツキノワグマでも人間に対する十分な殺傷能力があり、場合によっては銃による殺処分も行われます。そんな動物を相手に、“ヒグマ用スプレー”(そもそもこの分類自体あやしい)を使ってはいけないとはどういうことでしょう。そうしたいきさつで、“ツキノワグマ専用スプレー”はギジーのクマ対策用品ページから落しました。

 この件はしばらく忘れていたのですが、先日見たのが先ほど挙げた動画です。性能差は想像以上。ギジーに載せなくて本当によかったと思っています。

 2025年9月15日根尾川のアマゴです。ロッドはトラパラの46ベイト。ズームサファリの46を持っていて、具合も良かったのですが、アブのロッドにバンタム付けたくないなと。けっこう潔癖症というか純血主義というか。 (2025/9/21)

 この前までシマノベイトを乗っけてたロッドは、ひとつ前のカーディフNXの50でした。ソフトティップ&ハードバットのファーストテーパーです。スミスにタクティクスというロッドがあって、性能が上がってバックラッシュの心配のなくなったベイトリールに合わせて、ルアーにアクションをつけやすいファーストテーパーにしたというのがコンセプト。それ以前のベイトロッドは、スプールを穏やかに加速させてバックラッシュを防ぐため、ややスローテーパー気味にしていたが、いまはそうする必要がなくなったということです。

 カーディフNXも(たぶん)そういうことで、ファーストテーパーのナウいアクションになっているのですが、ノーマルに戻したバンタムとかはやっぱ投げにくい。それで見つけたのが、全体に曲がる調子をうたうトラパラ46でした。メジャクラのトラウトベイトもこれ以外は全て「F」アクションで、「MF」のトラパラは貴重なモデルかもです。

 やっぱり古いリールはこっちのほうが投げやすい。まだミニアマゴを3匹釣っただけですが、バラシも少ない気がします。それと、魚が掛ったときのググンがよく伝わってきます。これも全体に曲がる調子から来ていると考えられます。

 全体に曲がるということは、曲がっている部分の慣性が大きいはず。だからゆっくり入ってゆっくり戻り、魚の引きに完全に追従するわけではない。そのため、ロッドを“叩く”ようになって、ググンやグングンが手元に伝わるのではないかと思います。シマノに「エキサイトトップ」というのがあって、これも似たような理論だったはず。(ググン、グングンが味わいたければPEを使えば良さそうですが、あれは金属的でやだ)

 もうひとつ、トラパラの良いところは安物だからガイドが少ないこと。老眼のジジイにはセットが楽でいい。


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 今年にわかに沸き起こったベイトリールをオリジナル状態で使う(マイ)ブームのために、スプールベアリングにグリスを入れているところです。写真はバンタム201SG。これも使うつもりですが、順番が回ってくる前に禁漁が迫ってきました。投げるだけなら揖斐川R21でも行けばいいわけで、じっさい昔はこの時期ルアーを投げたらウグイが入れ食いで釣れたものです。でも、いまは春でも一日釣って(ウグイが!)一匹釣れるかどうかの死の川になってしまいました。 (2025/9/13)

 このとき(写真は5月)はSHIPグリスをいっぱいに入れました。バンタム100などもそうしました。そうしてグリス入りベアリング・純正スプール・遠心ブロックオイル付きにしたバンタム100は巻きが重くなるくらいキャスコンを締めないとバックラッシュしてしまい、グリス粘度が低いせいではないかと思いました。

 そもそもベアリングメーカーの入れてくるグリスはなんだろうかと考えました。おそらくバンタム100の作られた70年代は既製の状態でベアリングを買っていたはず。それで、ベアリングメーカーのサイトを見てみたところ、ミニチュアベアリングは2番のグリスを充てん率30%とありました。また、グリス界では2番が標準的な硬さだそうです。

 グリスはシンコー・スーパールーブを使いました。スーパールーブも普通に売っているのは2番です。2番のグリスといえばACE-2もありますけど、さすがにあのグリスはACE-0でもベアリングが回らなさそうなので、汎用的と思われるスーパールーブにしました。

 充てん率30%ということなので、片側を6〜7割埋める感じでグリスを入れました。ベアリングメーカーによると、いっぱいに入れると回転でグリスが発熱して早く劣化するからとか。リールではあまり考えられませんが、回転重さも考えてそうしました。

 その状態で使ったバンタム100はSHIPグリス(0番)をいっぱいに詰めた状態と変わりませんでした。ただ、SHIPをいっぱいに入れていたベアリングをスーパールーブに変えるときに見たらかなり飛んでしまっていた(シールのスキマから出てしまう)ので、充てん率は同じくらいに思いました。

 こうした長い道のりの果てに、ようやくバンタム100は遠心ブロック乾式という結論に達したのでありました。100と1000SGの関係を考えれば最初から明白だったんだけどね。


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 2025年8月29日揖斐川水系のアマゴです。今年はまったノーマルに戻したベイトで渓流を釣るヘンタイプレイで、ちょっとわからなくなっていたのがバンタム100でした。10SGのブッシュにグリスを付け、遠心にオイルを付けたらバランスよく飛んだので、バンタム100もグリス入りベアリング・遠心オイル付きがノーマル状態かと思ったら、どうもおかしい。琵琶湖では高温のせいと思ったものの、どうも違う。その後数釣行で得た結論は、やっぱり遠心ブロックはオイルなしで使うということでした。 (2025/9/7)

 当り前やないかという感じなのですが、遠心ブレーキブロックはオイル付きというのは昔(87-90年)シマノで聞いた話なのです。そんなはずはないと思っていたのですが、最近各ベイトをオリジナル状態に戻したとき、グリス入りのベアリングなら遠心にオイルを塗った状態でバランスするのかもしれないと思ったのでした。なお、ベアリングのグリス抜きは91バンタムスコーピオン以降で、それ以前のリールのベアリングはすべてグリス入りです。

 当時、遠心ブレーキブロックにオイルが付いていなかったら摩擦でもたないだろうとか、急激に効きすぎるとか、複数の開発・品管担当から聞きました(『BB、BM、そしてバンタム』参照)。ただ、あらためて考えたら、この頃すでにバンタム100登場から10年経過しています。しかも80年代はマグサーボ登場で電磁ブレーキ全盛となり、私が在職したころ遠心モデルは絶滅状態でした。さらに、自分自身記憶があいまいで、どういうリールを念頭に質問したのか記憶がない。答えてくれた人の頭にどんなモデルがあったのかも不明です。オイル付き遠心のバンタム1000SGを念頭にした回答だったのかもしれませんが、登場後すぐにマグの時代が来て短命だった1000SGが遠心代表モデルとして出てくるかなという気がします。なおこのとき私は1000SGの詳細を知りませんでした。

 バンタム100などの遠心ブロックが乾式だったのは、ブロックサイズからも推測できます。100や10SGなどのブロックは青3.5ミリでした。これが1000SGになると紺8ミリになります。1000SGのスプールは100の35ミリから37ミリに大型化していました。でも、スプール径2ミリアップでブロックのサイズがいきなり2倍以上になるはずがありません。すなわちここで、乾式からオイル付きに変更になったとみられます。

 はたしてグリス入りベアリング・遠心ブレーキオイルなしで使ったバンタム100は、必要十分な距離が出つつバックラッシュを起こさない常識的なものでした。4グラムくらいから投げられ、7グラムくらいのルアーもOK(ロッドの関係でこの日はここまでだがこれ以上重いのもいけるはず)。スプーンのような飛速の速いものはキャスコンフリーでも大丈夫、投げにくいルアーや向かい風などの悪条件はキャスコンを締めて調整、すなわち理想的なセッティングです。

 同じように今年ノーマルに戻して使ったアンバサダー2500Cは、そのままでも渓流で使えるほど軽量ルアー適応性が高く、よほどへまをやらない限りバックラッシュを起こさないセッティングでした。バンタム100は2500Cに対抗して作られたリールです。この点から考えても、2500Cに匹敵するキャスト特性になる、遠心ブレーキオイルなしが標準状態だったと考えられます。


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 最新『2500C』、『ミスター・ハラの記憶 リール興亡史』(白黒)、『川マス【合本版】』や、リール発展の記録ともいえる『ミスター・ハラの記憶 リールの歴史』『ミスター・ハラの記憶 リールの歴史2』『ミスター・ハラの記憶 リールの歴史3』をはじめ、ペーパーバック本各種絶賛発売中です。

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 2025年8月22日、ノーマルに戻したベイトで渓流を釣るシリーズはミンヤンW300R。といっても、このリールは2023年に『ギジー』特集記事「原点回帰のリールが見たい」(『2500C』収録)のために買ったもので、そもそも手を入れていないノーマルです。 (2025/8/31)

 撮影用なのでそれらしきリールならよかろうと、アマゾンで「LOL-FUN 釣りリール」として売られていたものを買いました。商品ページにはどこにもミンヤンと書いてありませんでしたが、届いたのはミンヤンW300Rでした。ただし、いっさいプリントがない箱の中に取説もなくポリ袋に包まれて入っているだけでした。LOL-FUNは雑貨屋さんのよう。このリールは雑貨か?

 そして購入2年、ナイロン1.5号を50メートル巻いたまま箱に仕舞ってあったものを遂に使いました。最初の10投くらいは抵抗が大きい感じでしたが、その後は調子よく飛ぶようになりました。徐々に調子が出たのは、グリスが飛んできたのと、最近スプールの重い旧型ベイトばかり使っていたせいで、リリースタイミングに慣れるのに時間がかかったから。

 3グラムくらいから楽に投げられ、最近のヘビー系ミノーなら楽勝です。スプーンも3グラムを越えれば無問題。エリアなどで2グラム以下を投げるならどうかわかりませんが、渓流ベイトで使うくらいのルアーなら箱出しのままでOKです。

 回転がなじんできたころちょっとスプールにラインが浮いたので、メカニカルブレーキを少し締めたらまったくラインが浮かなくなりました。スプールが軽いのでメカニカルブレーキの締めつけは最小限でよく、巻き取りや飛距離にも影響しません。一番の不安である5500Cなどと同じベアリング配置からくるスプールエッジのスキマの大きさに関して、スプールからラインが浮かないので、噛み込みは一回も起きませんでした。

 ネット動画やブログその他を見ていると、グリスを除去して“チューニング”する人が多いみたいです。ネットの見過ぎで、リールは箱出しのままでは使えないと思っている人が少なからずいるようです。昔は「テレビの見過ぎ」といったもの。テレビばっかり見ていると今にしっぽがなんて歌もありました(このくだりは、シンガポール生産のスピニングが複数の原因で回転不良を起こしたとき、原氏が「昔『複合汚染』という小説がありました」と言ったのをマネしてみたもの。誰もわからん……)。

 使いもしないうちからグリスを除去して釣り場でバックラッシュや糸ガミを発生させ、対策をググってマグネットを貼り付け、ようやく投げられるようになって「中華リールは手がかかる」なんて言ってる人はいねが〜。


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 2025年8月17日、ノーマルに戻したベイトで渓流を釣るヘンタイプレイは引き続きアブ。かなり近代化してアンバサダーSM1600C。そもそも不人気モデルでアベイルパーツもありません。ノーマルに戻すといっても、ベアリングをグリス入りにしたくらいです。 (2025/8/23)

 このリールは見た目やコンパクトさが好きで、ときどき渓流に持ち出したくなって、昨年も一回使っています。でもやっぱり性能はいま一つ。飛ばないくせにバックラッシュしやすい印象でした。

 今回ベアリングをグリス入りに戻して使ったところ、飛びはともかくバックラッシュは気になりませんでした。フリー回転に近くなるほどスプールに近いレベルワインダーの悪影響が出やすいのでしょう。

 キャスト性能はノーマル2500C同等の感じ。これは太い糸とそこそこの重さのルアー(5〜10グラムくらいのバス用ミノーや中型スプーンなど)で使ったときも同じ。SM1600Cはシャフトレススプールの”ウルトラキャストデザイン”でスプール単体重量は2500Cの半分くらいのはず。それでキャスト性能が同等というのはなんだか納得できません。だから、「こんなはずじゃない」と数年おきに持ち出してはやっぱあかんわを繰り返す困ったヤツ。

 スプールは軽ければいいというものではない?……それならアベイルだってダメのはず。シマノのいうように軸受スパンを長く取ったほうがいいから、スパンが短いウルトラキャストデザインがダメ?(原氏もあれは行きすぎだと何度か書いている)……でも、キャスト時それほどスプールが振動しているようにも思えない。と、考えていくと、やっぱり犯人は2500Cよりもラインガイドがスプールに近いのに分離式(しかも高速往復)にしてしまったレベルワインダーということになってきます。

 この点を改善すべく、モラムのプロジェクションレベルワインダーを移植できないかと考えたことがありました。いまはなきつりのヤングでモラムのレベルワインダーをパーツ注文したところ、マミヤ営業マンが「あああれか、わかった」と自信満々で言っていたと連絡。はたして翌週受け取りに行ったら、届いたのはハンドルナットのリテーナー。それでやんなっちゃって現在にいたる……。

 コンパクトさとかハイスピードとか、使いたいんだけどねえ。


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 2025年8月8日、ノーマルに戻したベイトで渓流を釣るヘンタイプレイはとうとうアブに。この川は張り切って早朝釣行すると発電所が止まっていて水が少なく釣れません。結構な雨が降ったので大丈夫だろうと行ってみたら、減水泥濁りというわけわからん状態でした。よほど変な降り方だったようです。 (2025/8/16)

 リールは『2500C』収録「ちゃんとエンジンかかります」に登場する大阪時代に買った2500C。唯一所有する2500Cです。あの本に出ているこれ以外の2500Cは、ギジー記事のためにフェイスブックで募集して借りたものです。

 このリールは、堺にいるころは野池のバス、こっちに戻ってきてからは本流でスプーンを投げたくらいでした。その後ベイトフィネスが流行りはじめたころ、アベイルのスプールを入れて渓流で少し使いました。なので、ノーマルで渓流はやったことがありませんでした。

 今回スプールもブレーキもノーマルに戻し、ベアリングにもグリスを入れていきました。ギアもハンドルも元に戻して、完全に買った状態です。にもかかわらず、渓流で使う程度のルアーへの対応度はバンタム100などよりずっと高いものでした。

 スプーンなら、マスターアングラー5グラムはもちろん、バイト4.2グラムもOK。3.3グラムになるとちょっと軽いかなというくらい。でも使えます。3グラムでもまあ使えます。

 プラグは、リュウキ50S(4.5グラム)は普通に使えます。ウェイビーS50(3グラム)は投げられるものの、左にそれる感じ。アレキサンドラ43HW(3.3グラム)はかなり厳しい。

 遠心ブレーキはドライ……だったのですが、釣行後に見たらベアリングに入れたグリス分が飛んだらしく、ブレーキドラムの内側が濡れていました。上のウェイビーとアレキサンドラの自重と投げ感が逆転したのはこれが理由らしい。

 とはいえ、遠心に油が回ったと思われる後半に至っても、4グラム以上のルアーなら着水時にラインが浮くこともなく快適でした。着水時にできたラインの飛び出しを放置すると次のキャストでフレームに当たって傷み、キャスト分全てを失う最悪の高切れにつながるので、この点は重要です。

 4グラム以上のルアーならノーマルで渓流やれそうです。部品ひとつ変えたくないアブ原理主義者はぜひ(わしはとくにアブファンではなく面白がってやってるだけ)。

 もっともいまどきのアブファンにはアベイルパーツだけでリールを組んでしまう強者もいるようで、オリジナルにはこだわらないのでしょう。いや待て、それはアンバサダーなのか?


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 アマゾンのペーパーバック本をいくつかの釣り具店様に置いていただいております。アマゾンで売っているものを実店舗に置いても……と思っていたら、最初に置いていただいたショップさんは1冊ずつ7種とはいえその日にすべてなくなったそうです。現物を見て本の存在を知った人が多かったということで、これすなわち竹中の知名度は本人が思っていたよりずっと低かったというこということのようであります。 (2025/8/9)

 8月9日現在の取り扱いショップ様は以下のとおりです。ぜひ手にとってご覧ください。
 (地理順、敬称略、取扱本はそれぞれ異なります)

 杜の家ブルック(宮城)

 フィッシングチロル(新潟)

 潮来釣具センター(茨城)

 うらしま堂渡辺つり具店(埼玉)

 プロショップオオツカ熊谷本店(埼玉)

 Lure Fishing Shopヤマグチヤ(東京)

 グッドフェローズ(山梨)

 ザ・ナチュラリストリバーサイド(愛知)

 ルアーフライショップ上飯田(愛知)


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 十数年前シトロエンを乗り換えて以来、クルマ雑誌やそれ的なものから遠ざかっていました。それがなぜか一昨昨日、ふとここをのぞきました。そして『NAVI』初代編集長大川悠氏が亡くなったことを知りました。 (2025/8/1)

 大川氏はフランス車好きで知られていて、すでにミッチェルが好きだった私は、勝手に親近感をもっていました。それで、今から30年近く前の1998年、リールについて書きためた原稿をどさっと送りつけました。それに対していただいた、きびしーいご返事が上の写真です(内容は見せたくない)。

 その数年後、襟を正して(?)書き直したものが週刊釣りサンデーの連載になりました。そのことをご報告したら「それなりに努力されたのですね……といったら失礼ですね」というご返事をいただきました。このときの連載をまとめたものが『マイナーリールの紳士録』です。

 その後、会社をクビになってライターやるしかなくなったとき(いきさつは『川マス【合本版】』でどぞ)、『NAVI』にも売り込むべく上京しました。しかしこのときは二玄社のサーバーがトラブったとかで、行き違いになって訪問はなりませんでした。このときのために書いた試稿は『マイナーリールの紳士録2』のPART2に収録しています。

 今の私があるのも(ていうほどの存在かよ……)大川氏のおかげといえます。お礼を申し上げたいと思います(どうもこういうところでご冥福を云々って書くのは苦手で)。

 それにしても、下野氏のブログをなぜふと見ようと思ったのか記憶もないのですが、こういうことはたまにあります。不思議なものです。

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 2025年7月26日琵琶湖のハスです。九頭竜川でバンタムマグナムライトスピードマスターを使って以来の、ベイトをオリジナルのまま渓流で使うヘンタイプレイブームのおかげで、ひっさびさにスピニングを使いました。しかし、管釣りロッドよりペナペナのクラシックグラスFS53Jを持ち出すあたり、相変わらずヘンタイプレイです。 (2025/7/27)

 FS53Jはマイクロガイドにしてなんとか使えるようになったもの。オリジナル状態はガイドの重さに負けてとても投げられるものではありませんでした。マイクロガイド化しても、投げるのにかなりコツというか慣れが必要です。

 USモノのFS64からいって、90年代の台湾製フェンウィックは名前だけ入れた別物といっていいのかも。バサー誌だったか、ティムコ社長(?)が台湾製から中国製になって品質が上がったと言ってたくらい。もっともそのでたらめな時代のおかげで、ありえんくらいペナペナのFS53Jができて、それを面白がって使っているのですけどね。

 写真はイマイチ。ハスは弱りやすくてさっさと撮らないといけません。しかも浜辺なので波が次々打ち寄せます。この日も写真の魚の前に釣ったもう少し大きいやつは、リリース後腹を上に浮いてしまいました。そのまま波にもまれてダメかと思ったら、しばらくしたら動き出し、やがて背を上に反転し、ヒレを張って泳ぎ去りました。この前釣った魚もそうだったので、弱ったというより気絶しているのかもしれません。

 とはいえ季節と異常気象で岸際はかなり高水温のはず。リリースするなら手早くやりましょう。そもそも今岸沿いにハスが寄っているのは産卵のためらしい。本当は釣らない方がいいのかも。人の恋路を邪魔する奴は犬に食われてなんとやら……?


 ……と書いて思い出しました。この日浜辺に入ったらアベック(死語)が肩を寄せ合って湖を見ていました。しかし釣り人(バス狙いとハス狙い)が水際に並び出したら、帰っちゃいました。罪深いことであります。


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 2025年6月28日揖斐川水系の巨大アマゴです。ニューBM-1で渓流へ。こんな釣りに使われたBM-1は新旧問わずこれ一台かも。40ミリ大口径スプールにもかかわらず、ここのところの渓流をノーマルベイトで釣るヘンタイプレイで使った、バンタム10SG、バンタムバスワンマグ、アルミ再作スプール入りBB-2(すべて35ミリ)と比べ、それほど劣らないものでした。 (2025/7/18)

 マグの微調整は有効にしても、思った以上に軽いものが投げられたのは中空・中深溝スプールのせいらしい。というわけで、糸を巻いた状態のスプール重さを測ってみました。いまさら感はありますが、なかなかこのへんのリールにそろって糸が巻いてあることはなかったのですな。なお糸は下巻き含めすべてナイロンで、数値は順に、スプール単体重量/糸を巻いた重量/引き算した糸重さ、です。

ニューBM-1     24g/33g/9g
アルミ再作BB-2  17g/29g/12g
バンタム100     20g/29.5g/9.5g

 ニューBM-1とアルミ再作BB-2の差はスプール単体では7グラムもあったのに、糸を巻いたら4グラム差になっていました。中空スプール恐るべし。それと糸って重いのね(そう考えるとベイトにフロロとかリールの性能台無しじゃないのかしらん)。

 もう一つ驚いたのは、アルミ再作BB-2スプールとバンタム100の糸巻き状態の重さがほとんど変わらなかったこと。BB-2のアルミ再作スプールはバンタム1000SGを参考に図面を引っ張り、自重もほぼ同じに上がっていたのに、糸を巻いたらバンタム100と変わらなかったとは! 28年来バンタム1000SG並みのスプールを作ったったぞと思っていたのに、なんたることでありませうか。

 *文中のリールやBB-2の再作スプールについては『BB、BM、そしてバンタム』を読んでおくんなせえ。

 *BB-2の樹脂製オリジナルスプールは13.5グラム、バンタム10SGのアルミダイキャストスプールは21グラム。


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 2025年7月5日琵琶湖です。前回写真の、ニューBM-1でハスを釣った日の午前中。この日最初に使ったのはバンタム100でした。ノーマル状態のベイトで軽いルアーを投げるヘンタイプレイの続き。バンタム10SGやBB-2(アルミ再作スプール)の結果から、グリス入りベアリングなら青ブロックオイル付きで普通に投げられるはずなのに、巻き取りがゴロつくくらいキャスコンを締めないとバックラッシュしてしまいました。なのでこの日は途中でニューBM-1 にバトンタッチしたのでありました。なんでや。 (2025/7/11)

 販売されていたころの仕様のはずなのにバックラッシュしたのは、昔のグリスのほうが硬かったからかとか、ベイトに2号ラインは細すぎてルアー飛行にともなう巻き径の減り方が少ないからかと考えていて、はたと気付いたのは(うすうす思ってたけど)、高温によるグリス粘度の低下でした。

 つまり原因は地球温暖化です。

 この日は熱中症警戒アラートが出るほどの暑い日でした(岐阜は確か出てたから滋賀もたぶんそうじゃろ)。重役出勤釣行で釣り始めは10時前、すでにウインドサーフィンのおじさんが、上半身裸で休んでいました(関係ないけどウインドサーファーもオープンカーに乗ってる人もバイカーもサイクリストもオッサンばっかやな……)。特にリールをチェンジした12時前は砂浜で投げていたので、それこそ気温は35度を超えていたかもしれません。

 バンタム100が生まれたのは1970年代です。「地球温暖化」も「猛暑日」も「熱中症警戒アラート」も、言葉すらありませんでした。天気予報で予想最高気温31度や32度と聞くと「うひゃー」と驚いたくらいです。それが今や体温越えは当たり前、道を歩いている人や農作業をしている人、エアコンを切って寝た老人が熱中症で死ぬ時代です。リールの調子も変わるはず。とんでもない未来に来てしまったものです。

 *文中のリールや再作スプールがどうのについては『BB、BM、そしてバンタム』で調べておくんなせえ。


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 2025年7月5日琵琶湖のハスです。こうして撮ったにもかかわらず、リリース後しばらく腹を上にして浮いてしまいました。死んでしまったかと思ったら、徐々に動くようになって最終的には普通に泳ぎ去りました。釣れたのは午後1時前だから気温は30度を軽く上回っていたはず。これでは水際で撮ってもヘタるよね……。 (2025/7/5)

 リールはニューシマノBM-1。ここのところのオリジナル仕様(深溝スプール、グリス入りベアリング、遠心ブレーキオイル付き)に戻して渓流に行くシリーズの続きです。この前に渓流にも持っていっていて、この日は引き続き琵琶湖に持ち出してみたのでした。

 意外に4〜5グラムのスプーンや5センチクラスのヘビーミノーが投げられました。なぜ意外だったかというと、BM-1は新旧ともに40ミリスプールで、軽いものは論外と思っていたからです。フィーリングの差はあれど、いずれも35ミリスプールの、バンタム10SG、バンタムバスワンマグ、BB-2(アルミ再作スプール)と同じくらい軽いものまで投げられます。

 ここでやっと気付いたのは、BM-1は新旧ともに胴部を太く中空にした中深溝スプールだったことです。もちろん気づいてはいたのですが、BM-1の40ミリスプールは破格のサイズです。アブ5000Cですら39ミリ、シマノはいまでこそMDモデルに43ミリがありますが、ながらく30ミリ台が当たり前でした。だから、いかに中空・中深溝スプールとはいえ、軽いものに適合しようとは思っていなかったのです。

 そして、さらにやっと気づいたのが、ニューBM-2が旧BM-2の35ミリスプールを踏襲しなかった理由です。旧BM-2の35ミリスプールは樹脂製でした。これは割れてしまうのでニューBM-2で再現するならアルミ製になるでしょう。以前はそれでも40ミリのBM-1よりは近代的なものになっただろうと思っていました。

 しかし、中空・中深溝スプールの効果は思っていた以上で、BM-1の40ミリスプールは上記35ミリ深溝スプールのリールと同じくらい軽いものまで投げられたのでした。ニューBM-2を35ミリのアルミスプールにしても、ニューBM-1とそれほど差別化できなかったでしょう。35ミリにしたうえで中空・中深溝スプールにすれば、92メタニウムXTに匹敵するものが8年先んじて生まれていたことになりますが、なぜそうなったかの説明、1と2で糸巻量が逆転してしまう、84年時点で軽量ルアーを投げられることに要求があったか、旧BM-2の軽量ルアー対応性がどれほど知られていたかなど、なかなか難しい。

 とはいえ、この日使っても、マグで微調整できるツインコントロールはなかなか有効でした。これに35ミリ中深溝を組み合わせたら……。そんなニューBM-2も、見てみたかったかな。

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 時間が戻って2025年5月7日の揖斐川・根尾川合流点です。ロッドは4月4日の九頭竜川でひさびさに使ったスーパーパルサーCSU60L/C。やっぱりいい竿なので、今年は使うぞとサイレントストッパー化したタックル7SSと持ち出しました。ヘンなこだわりを捨てて見れば、タックル7はシンプル軽量の名機だったのかなと認識を改めつつ投げていました。ところがこのあと、とんでもない不幸に見舞われることになるのでありました。 (2025/6/27)

 この後、フィッシュパスで日釣り券も買ったことだしもう少し確率のある所へも行っとくかと、R21下流に行きました。そして、すこし投げていたら、バチーンという音とともにスプーンが切れて飛びました。バットガイドに糸絡みしたかと思って見ると、ラインの先がバットガイドの10センチほど下のブランクにくっついています。切れた糸が水で張り付いているのかと思ったら、ハンドルを回しても巻けません。いったい何が起こったのかとよく見たら、ブランクに入った亀裂にラインの先が挟まっていました。

 亀裂は、表層のカーボンが剥離して浮いたものでした。バットを巻いたラインが、タイミングよく口をあけた亀裂に挟まったらしい。ロッドの破損は、異常な力をかけた、何かに挟んだ、ぶつけたなど、アクシデンタルに起こるのがほとんどです。扱いさえ間違えなければロッドのブランクは半永久的に使えるくらいに思っていたので、なかなかにショックでした。

 この日はこれでは済みませんでした。R21下流はますます川原がなくなり、土手からいきなり泥底に立ち込む感じ。なので、一眼レフを入れて腰に付けた防水バッグ「シールパック」が水をかぶっていました。シールパックは最初に買ったやつで、折り目が劣化してコーティングが割れ、少しずつ水が入るようになっていました。その後買い換えて二代目を使っていたのですが、変更改悪されたらしき内側のコーティングが早々に崩壊し、ここのところ初代をだましだまし使っていたのでありました(“エコ”を気取ってPVCをPUにでも変えたらしい。フィールドメイトでひどい目に遭って以来こういう製品はノーサンキューじゃ)。

 いつもは車に戻ったらすぐフタをあけて内部をチェック・乾燥させるのですが、うっかりそのまま放置してしまいました。翌日九頭竜川に行こうとフタをあけたら中はシマノでいうところのムレ試験状態。EOS60Dの液晶ディスプレイは白く濁り、スイッチを入れても暗いままです。染み込んだ水分で短絡したのか、バッテリーが空っぽです。シャッターは切れるものの、ディスプレイが見えないのでは画像の確認や諸々の設定ができません。乾燥後も短絡状態なのか、新しいバッテリーを入れてもすぐ空になります。これではバッテリーを入れておくだけでも危険でしょう。装着していたレンズEF-S18-55は無事と思ったら、その後の使用でAFが死んでいることがわかりました。

 実に、ロッド(と切れて飛んだスプーン)、カメラ、レンズを一気に失うという悲惨な日になってしまいました。

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 2025年6月13日揖斐川水系のイワナです。大雨の増水で大型が出ないかと、根尾川本流に行ったものの、カワウ除けの糸が5メートルおきに張ってあって投げられません。スピニングならともかく、ベイトそれも最近はまっているノーマル仕様で無理やり渓流ルアーを投げるヘンタイプレイで正確なキャストは無理。仕方ないので別の川に行ったらこんなのが釣れちゃった。 (2025/6/20)

 ノーマル仕様といってもこのBB-2(BM-2)はオリジナルの樹脂スプールが割れて、自分で図面を描いて作ってもらったアルミスプール入りです(どこで作ったかは『BB、BM、そしてバンタム』参照)。なので、ノーマルかどうか微妙ではありますが、当時のリールとして標準的な深溝スプールです。

 ベアリングにはSHIPグリスを詰め、ブレーキブロックにはオイルを塗っています。ブレーキブロックはバンタム100用青3.5ミリ。厳密にいうとBB/BMのころこのサイズはなくて、4.5ミリだったはずですが、BB-2はバンタム100と同じ35ミリスプールなので、こちらにしました。この組み合わせは先月九頭竜川で10〜13グラムのスプーンを投げて確認済み。今回は渓流で使い、写真のマスターアングラー5グラムや50ミリクラスのヘビーミノーも投げられました。

 この時代のベイトリールはグリス入りベアリングだったので、ベアリングにオイルは注さないのが良いようです。グリス入りベアリングならブレーキブロックも(在職中に聞いた通り)オイル付きでバランスします。ブッシュ仕様のバンタム10SGもそうでした。マグネットブレーキのマグナムライトスピードマスターでは、グリス入りベアリングのほうが気持ちよく飛んで飛距離も出ました(オイル潤滑だとマグを過剰にセットすることになり、ブレーキ特性がおかしくなるらしい)。

 現在この時代のリールは中古でしか手に入らず、大半のリールはベアリングにオイルを注してしまっているでしょう。だから“バンタム100はピーキー”なんて話も出てきます。昔のリールは使いにくいと思っている人は、発売されたときの状態に戻してみるのがいいかもしれません。


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 2025年6月9日坂内川のアマゴです。ピンぼけ気味なのは、先日水もれ甲介シールパックに入れたEOS60Dを一晩放置して“溺死”させた際、無事だったと思っていた装着レンズもAFがやられていたためです。AFがきかないのでマニュアルで合わせたら老眼でこのざま。 (2025/6/14)

 リールは89バンタムバスワンマグ。シンガポールのベイト一号機。昔スプール音鳴りの原因を調べるため、駐車場で投げまくったやつ。遠心みたいによく飛ぶなあと感じた投げ心地を確かめるべくヤフオクで購入。だれも知らんリールなので送料入れても2000円台。

 スプールの重さを量ったら21グラムでした。同じ35ミリスプールのバンタム10SGと同重量、100と比べても1グラム重いだけです。バスワンマグの樹脂スプールは強度維持のために肉厚V形状で胴部も太く、ラインキャパが少なくなっています。だから、糸を巻いた状態ならアルミスプールより軽いと考えられます。

 同じく樹脂スプールだったバンタム10XSGのスプールは、バスワンマグとほぼ同じ形状でしょう。ならば、バンタム100、10SG、10XSGのうち最もスプールが“軽い”のはいちばん安い10XSGだったことになります(バスワンのマグネットブレーキ用のアルミ板を考慮するとスプール本体の重さは100同等とみられる)。バンタムマグナムライトも、チタンシャフトの2000GTは別格にしても、今年九頭竜川で使ったスピードマスターより、安物BG-Xのほうが高性能だったのかもしれません。糸とスプール部材の位置関係が違うので、回転慣性は違う可能性もありますが、すくなくとも重いだけの安物ではないでしょう。コストダウンだけ考えた重い樹脂の固まりと思っていた私はぼんくらでした。

 樹脂だから弱いということはありません。シマノのスプール強度テストは厳しく、リョービベイトのスプールは開き、カーディナルCシリーズのスプールは割れてしまいます。材料のガラス繊維強化ナイロンは、カーディナル50シリーズのアセタール材のように亀裂が成長してある日突然割れるようなこともありません。

 スプールブッシュがオイルかグリスかにも興味があったのですが、この個体は左サイドカバーに分解の形跡があって参考になりませんでした。前オーナーによって飛んでしまうようなオイルが注されていたとみえて、スプールブッシュはカラカラ。ブッシュには先日の10SGのキャスティング結果から、SHIPグリスを塗りました。

 そうして実釣したのが上の写真。ブッシュにグリスを付けていても、キャスコンを少し締めたほうが安定して投げられました。オイルを注したらかえって扱いにくくなりそうなので、やはりグリス仕様だったのでしょう。特にこのリールはサイドカバーが4本のネジで固定されていて頻繁な注油は前提にできず、この点からもオイル仕様だったとは考えにくい。主市場アメリカではオイル一滴注さないといわれていたのでなおさらです。

 基本ベイト不適の渓流ルアーで、無理なものばかり投げていましたが、投げた感じは悪くありませんでした。ルアーが6グラムを超えてこればまったく普通に投げられ、バスフィッシングなどベイトリール本来の用途なら、快適に使えるはず。35年前の感触は間違っていなかったようです。瞬間ストッパー(スピニングほど馬鹿げているわけではないが必須でもなかろう)やスタードラグクリック(引き出しクリックならともかくまったく意味がない)などのよけいなものが付いていないおかげで、ハンドルが変に張り出していることもない。シンプル軽量コンパクト、隠れた名機だったのかも

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 好評発売中『2500C』制作過程の一部です。左はワードで作った原稿をPDF/X-1aなる印刷用データに変換したもの。色がくすんでしまうので、変換後全ての写真を一枚一枚置換したのが右の写真。めんどくさい。 (2025/6/7)

 色の問題は、カラー本の実験台だった『Cardinal』でさんざんやりました。アマゾンはCMYKで印刷用データをつくるのを推奨していますが、RGB(ワードはRGBのみ)からCMYKに変換すると左のようにくすんでしまいます。あれやこれやと試し刷り(送料込み約1000円)を10回以上繰り返して得た結論は、RGBでPDFデータを作って印刷所に任せるのが一番マシということでした。

 ところが今回『2500C』を今まで通りRGBで試し刷りしたところ、ひどい赤かぶりで上がってきました。サポートにクレームを入れたら、言っちまえば“RGBデータは責任取れん”という回答が返ってきました。色の違いはリールでいえばギアゴロみたいなもので、個別に対応していられないのが現実でしょう。まして今はAIででっち上げたクソ本が大量にアップされています。

 しかたがないので、CMYKでPDFデータを作ってみたものの、やっぱり上の写真の左側のようにくすんでしまいます。ググるとあらかじめ彩度とコントラストを上げておいてCMYK変換する方法が見つかりますが、それは『Cardinal』でさんざんやりました。色が濁って汚くなるだけです。

 で、最後の手段と編み出した(?)のが、上の方法でした。CMYKのPDFデータの写真を、アクロバットプロ(有料版)で一枚一枚差し替えます。差し替える写真は、フォトショップでRGBからCMYKに変換したものです。

 RGBからCMYKに変換しているのだから同じ? じゃないのです。RGBをCMYKにすると色がくすむのは一般的にいわれていますし、実際そのとおりです。しかし、ワードデータをPDF(CMYK)にしたときのくすみ方と、画像データをフォトショップでCMYKに変換したときのくすみ方は、上の写真のとおりまったくちがいます。

 一応問題解決ですが、とにかくめんどくさい。誤字脱字が見つかったときなど最悪です。誤字脱字の修正もアクロバットプロでできそうなものですが、場所によって本文部分が画像に変換されているところがあって、この場合ワードファイルからやり直しになります。

 しょせんワードはチラシやレジメを作る程度のもので、本のデータを作るならインデザインか何か専用のソフトを使いなさいということなのでしょうけれど、なんだかなあ。それとも、設定を変えるとちゃんとした色で変換できるのかしら(探した限りはない)。


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 2025年5月29日ことし4回目かつ最後の下道九頭竜川。豊橋ナンバーあたりでもよく来るなあと思うのに、練馬、群馬、川越、北九州と、日本全国のナンバーを付けた車があちこちに。下道で行けるようになったから行っているわがはいごときがサクラマスなど釣ってしまったら、はるばる遠方からボウズをくらいに来た人たちに申し訳ないので、ウグイにしといたりました。 (2025/5/30)

 (『川マス【合本版】』のごとく特定の魚に思い入れをもって釣りに行くのはもうしたくないのであります。わるいけど)

 前2回の釣行で幼稚園前(?)の瀬で決まってアタリがあって最初のゴツンぐんぐんでバレたので、ロッドが硬いのかと、それまでの喜楽クイックテーパー86MLからこの日はウェルナーS76Lを使用(いずれもスピニングブランクで作ったベイトロッド)。アタリの正体はわかったものの、つまりサクラはかすってもいなかったことが明らかに。

 スピードスプールBB-2が写っていますが、最初はバンタムマグナムライト2200SGスピードマスターを使っていました。しかし午後満員御礼のフライマンを避けるため、バックスペースのない所に入ったせいで、背後の草を引っかけて修復不能なバックラッシュをやらかし、BBにチェンジしたのでした。

 バンタムマグナムライト2200SGスピードマスターは、まえの釣行でキャスコンを締めた方が気持ちよく飛び、飛距離も出たので、回転にブレーキがかかっていた方がいいのではないかと思いました。それで、この日はオイルを注してしまっていたベアリングにグリスを詰めて(つまり市販時と同じ状態にして)いきました。そうして投げたところ、マグ特有の(ものと思っていた)ふわーんとした感じがなく、ライナーでしっかり飛ぶようになっていました。ロッドが短くなっていることを考えると、飛距離も出ているようでした。

 BB-2のほうもグリス入りベアリングにしていきました。ブルーのブレーキブロックオイル付きでよく飛びます。バックラッシュもゼロ。

 耐久性諸々考えても、(少なくとも古いベイトの)スプールベアリングはグリス入りが正解じゃないかなあ。

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 2025年5月22日揖斐川水系のアマゴです。バンタム10SGのスプール、ブレーキ、軸受をノーマルに戻して渓流に行く変態プレイ。渓流にベイトを持ち込むこと自体変態プレイなんだから、どうせやるならここまでやりたいものです。 (2025/5/24)

 10SGノーマル復帰2回目の釣行でした。この数日前に初めてノーマル状態で投げています。そのときはブッシュにオイルを注していきました。バンタム100はグリス入りベアリングですが、10SGのブッシュはどっちだったかわからなかったからです。

 オイル潤滑で使ってみたところ、キャスコンをかなり強めに締めないとバックラッシュしました。軸を締めているのだから当然巻きが重くなり、ギアもゴロゴロして不快。ただでさえ重いスプールでリリースポイントを早めにしないといけないところへ、最初から抵抗がかかっているのだから余計に投げにくい。

 それでこの日は、ブッシュにグリスを塗っていきました。結果、バンタム標準ブルーのブレーキブロック(バンタムオイル塗布)、キャスコンほぼフリーでキャストできました。この時代はベアリングもグリス入りでしたし、耐久性に厳しいシマノがブッシュをオイル仕様にするとも思えず、やはりグリス仕様だったのでしょう。使ったグリスはSHIPグリス。バンタムのころはギアにBGグリス(モリブデングリス)、それ以外の部分はLRA-EP0というスピニング用グリスを使っていたはずなので、ブッシュもそのグリスだったと思われます。いまならSHIPに相当します。どちらも0番です。ただ、同じ0番でもACE-0はたぶん回らなくなると思います。

 バンタムを「ピーキー」という人がいます。近年の釣り人流行語みたいなもので、ブレーキ力不足でバックラッシュしてしまうだけのことでしょう。そんなリールを売るわけがありません。ブログやSNSを見ていると、こういう古いリールを買うと当たり前のようにブッシュをベアリングに換えて、しかも脱脂(!)してオイル仕様にしてしまう人がほとんどみたい。そりゃ「ピーキー」にもなりますよ。10SGでまさにそれをやり、『ギジー』にバンタム100を「じゃじゃ馬リール」と書いた私が言うことじゃありませんが。

 芋づる式((C)ミスター・ハラ)に、現在のリールを買っても「内部がグリスまみれだったから脱脂してチューニングした」みたいなことを言ってる人を、SNSやアマゾンレビューで見ることがあります。たとえば“中華アンバサダー”だって彼らは仕事でリールを作っているわけで、(私を含む)そこらのリールオタクよりよほどリールのことを知っているはずです。“チューニング”や“カスタム”には、本来の性能を失わせているケースが少なくなさそうです。

 生まれたときの姿に戻したバンタム10SGは、なんとか4グラムくらいなら投げられます。当時のカタログにキャスト可能な重さ4グラム以上とあったのは妥当なところでした。写真のヒットルアーはバイト4.2グラム。ミノーでもリュウキ50Sなど重めのものならキャスコンを少し締めれば投げられます。この日もカーディフリフレイン50HSでヒットさせました(ネットの20センチ先でバレた)。

 変態プレイではありますが、当時のアングラーはこういうリールを使っていたんだなあと、思いをはせることができます。それに、スプールはベイトリールの心臓みたいなもの。これ換えちゃったら別のリールではないかと、最近思えてきました。特にバンタムはスプールが特殊で、当時ダイワなどがやっていなかった製法をとっていました(『マイナーリールの紳士録2』参照)。安物10SGでも振動や音をまったく発生しないのはその賜物です。

 リールを素のまま使うのを流行らせたら面白いかも。アブな人も「ノーマルの2500Cでシュガーミノー50Sを投げて釣ったイワナです!」とか「いじってない1500Cで管釣りトーナメントに出ました!」とか「祖父の5000CでラパラF9 を投げてランカーを釣りました!」とかどうですか。

 その『2500C』発売しました。



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 2025年5月8日九頭竜川です。マグナムライトで忠さんを気取ってきました。『河は眠らない』(ルアーの大御所がそろってエサ釣りをするわけわからんビデオ)に、常見開高両氏が前哨戦(?)にボートで湖のパイクを釣るシーンがあります。ここでも忠さんはシマノのコルフォーハンドル付きベイトロッドにバンタムマグナムライト2000GTをつけていました。忠さんのリールに関する考察は『リールの話』(カラーと白黒あり)でどうぞ。なんか知らんがスプーン人生PBは出せんのでせめてこっちで。 (2025/5/16)

 マグナムライトといっても、写真のリールはバンタムマグナムライト2200SGスピードマスターというハイギアモデルです。重い深溝スプールにマグネットブレーキなので、スプール回転が大変重く感じます。元のマグナムライト2000GTのチタンスプール軸に対し、スピードマスターはSUS軸なので、スプールはさらに重い。引きずるようなキャストフィールで、飛距離もいまひとつ。

 昔のリールだからこんなものだろうと一日投げていましたが、夕方ふとキャスコン(キャストコントロール。メカニカルブレーキのシマノ語)を締めたらどうなるだろうと思いました。むかし下野正希氏が著書でマグネットブレーキの調整はどうでもよくて、キャスコンをしっかり締めろみたいなことを述べていたのを思い出したのでした。

 キャスコンを、ロッドを軽く振ったとき10〜15センチくらいルアーが落ちるくらい、つまり昔のアブの取説くらいに締めてみました。すると、それまでのフリー状態よりも飛距離が出ました。それまではキャスコンフリー、マグダイヤル60で投げていましたが、キャスコンを締めるとマグネットは40くらいでちょうどいい感じになります。このセッティングのほうがライナーで飛び、飛距離も伸びます。飛ぶ感じも気持ちいい。

 理屈に合いません。マグネットは遠心に対し低速で効きすぎるため、加速が悪く回転が重く感じます。キャスコンは低速で効くどころか、スプール回転ゼロでも効くブレーキです。マグネットに合わせて使ったら、余計に悪くなるはず。遠心は高速と低速でブレーキ力の差がありすぎるので、キャスコンを締めた方が飛ぶこともありますが、マグでそれはないはずでした。

 わからん。わからんのですが、投げた感じはそうなのだから仕方がない。メインブレーキが遠心マグにかかわらず「スプール回転は完全フリーよりも抵抗がかかっていた方がいい」ということ? ……そう考えて次に気付いたのはスプール支持ベアリングでした。現在スプール支持ベアリングはオイル潤滑が当たり前みたいになっています。写真のスピードマスターはグリス潤滑時代のリールですが、中古購入だったこともあって、ベアリングにはオイルを注していました。本来のグリス潤滑に戻したら、キャストフィーリングは改善される!?

 芋づる式((C)ミスター・ハラ)に思い出したのは、昔シマノのY氏(当時投げ釣りの遠投競技日本記録をもっていた人で投げ釣り以外のキャスティングにも一家言ある)が、バンタム1000SGとマグナムライト2000GTが一番飛ぶと言っていたことでした。バンタム1000SGはバケツ事件(『BB、BM、そしてバンタム』参照)で入手したものを持っています。このリールはベアリングにオイルを注したらキャスコンを締めないと投げられなくなり、巻きが重くなるのが嫌でグリス潤滑に戻しました。遠心が非可変式なので、単純に総ブレーキ力の問題と思ってきましたが、それだけではないかもしれません。グリス入りBBでキャストフィールは抜群です。

 さらに、マグナムライト2000GT(非所有)のスプール支持は独特でした。2個のベアリングはスプールの右に入っていて、左はブッシュだったのです。グリス抜きが流行る前のリールなので、ベアリングはもちろんグリス入りです。名前から分かるとおり、マグネットブレーキです。それでも「一番飛ぶ」のです。

 「スプール回転は完全フリーよりも抵抗がかかっていた方がいい」説が正しいとすれば、80年代終わり以来のスプールベアリングのオイル潤滑は、スプールをはじいて回転を見る、チューニングおたくのための「店頭性能」だったのかもしれません(陰謀論じみてますけど、スピニングの瞬間ストッパーみたいに馬鹿げたものが流行り、IGFAラインみたいなインチキ表示がまかり通る世界だからね)。

 さらに芋づる式に、『2500C』でも書いている、連動式レベルワインダーの抵抗も、この類のことかもしれません。

 おっと、さらに芋づる式に思い出しました。むかしバンタムバスワン(シンガポールで作った最初のやつ)でキャスト時に音鳴りがする問題が起きて、ベイトが投げられる人が狩り出され、駐車場で投げまくったことがありました。そのとき、”いまのマグは遠心みたいなフィーリングでよく飛ぶなあ”と思った記憶があります。バスワンは安物なので、スプール支持部はブッシュでした。

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 絶賛新発売の『2500C』です。沢山2500Cが出てきますが、写真の個体以外全部借り物です。収録した「リールの話」2500Cの回「ちゃんとエンジンかかります」には、シマノ・シンガポールからの実習生に、違う文化のリールに触れることで何かを感じ取ってほしいと(ウソ)、2500Cを使わせた話が出てきます。懐かしくなって2500Cを当時の状態に戻しました。(2025/5/10)

 と言いつつ、オリジナル状態で使いたいということは、バンタムスピードマスター、BB-2、バンタム1000SGなどでも思ってきていて、順番が回ってくるかは不明。

 アブ・ガルシアスウェーデンはリール生産終了だそうで、死んだ子の歳をなんとやらですが、カルカッタが出現したとき、2500Cや4600Cをベースにした新3500C、新3600Cみたいなものを作っていたらどうだったのでしょう。つまりシンクロレベルワインダーです。

 シンクロには遠心ブレーキのように、スプール回転速度が2倍3倍となったとき4倍9倍と増加する回転抵抗があると考えられます。カルカッタが出現した90年代、シマノは可変遠心、ダイワはマグフォースVでマグネットブレーキのフィーリングの悪さを改善しようとしました。もしアブがシンクロレベルワインダー+マグブレーキの新型丸型を作っていたらどうだったのでしょう。

 マグの調整や水・油からの不影響と、遠心的キャストフィールを合わせ持つリールになっていた可能性があります。しかも、ダイワが現在TWSでやっていることすら解決してしまったのです。

 つくづくいまさらではありますが。
 
 ひょんなことから408を2台いただくということがありました。写真はそのうちの60年代製。むかし原さんが「ミッチェルは石鹸みたいに硬いグリスを使っていて、エマージェンシー用にボディの壁に多量に付けてあった」といっていました。これがその“石鹸みたいに硬いグリス”です。初めて見ました。生産時の状態がそのまま残っていた、貴重な画像です。 (2025/5/3)

 「白いグリス」と聞いた記憶もあるのですが、石鹸=白いというイメージから脳内でつくりあげた記憶かもしれません。元は白くて60年の年月で変色したのか、もともとこういう色だったのかは不明です。

 「石鹸みたいな」はそのとおりで、石鹸に水を含ませて少し柔らかくなった感じ。力を加えると、ぐすっと崩れるような。このリールはメインシャフトの後端軸受、ピニオンとメインシャフトの摺動部のグリスが乾いていました。で、ミッチェルの意図通り、グリスの固まりからちょっと取って接触部に付けてあります。

 いま、というより80年代後半以降のグリスは性能が上がっているので、こんな塗り方は必要ありません。この時代ならではといえますが、グリスの塗り方一つにも思想が感じられるのが、ミッチェルです。


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