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 2017年7月22日、朝坂内川に行ってボウズをくらってから昼から大江川に行ってやっぱりボウズをくらいました。しゃあないですなあ。(2017/7/31)

 大江川に持っていったのは、ひさびさというよりよくよく考えたらアベイルスプール換装後初めてバス釣りに持ち出した2500Cです。さらに翌23日には同じタックルで根尾川にも行ってしまいました。こっちもボウズでしたが。

 あらためて使ってみると2500Cもなかなかのものでした。一見時代遅れの連動式レベルワインダーですが、常にラインガイドにまっすぐラインが入るためバックラッシュしにくいです。フリースプールでもレベルワインダーを引きずっているのは損失が大きそうですが、それを打ち消してしまうくらいスプール上をラインが行ったり来たりする抵抗は大きいのでしょう。実際バンタム100で投げてみるとスプール回転はこちらのほうが上なのでしょうけれど、ラインがスプール上をジャッジャッと音を立てながら往復していて、かなり損失がありそうです。

 もうひとつは、ハンドルがいいことです。一見するとバンタムマグプラスのころのシマノのノブと同じように見えますが、アブのほうがカーブが強くて軽く指をひっかけるような握り方でもけっこう安定して速巻きできます。この翌日根尾川に持っていったときも、ギア比がギア比なのでフルスピードで巻きっぱなしになるのですが、それでもなんとかなったのはこのノブのおかげでしょう。しかもその性能を二重構造やソフトコートなしでやっています。

 ロッドはフェンウィックのランカーギアX・LGX38CL-2です。このロッドは昨年魚野川にバイトキャスターを持っていったとき予備に持参し、ちょっとだけ使いました。そのときはバンタム・マグナムライト・スピードマスターといっしょに使い、ロッドが硬すぎる印象を持ちました。ダブルフットのNSGをシングルフットガイド(レガシー時代はそうだった)にしたら軟らかくなるかなとかまた改造衝動が沸き上がりかけたほどでした。

 しかし、この日2500Cと組んでみたらまったくそういう感じはしませんでした。これはひとえにリールのせいで37mm深溝スプール(しかも最初の高級品のチタン軸ではなくステン軸)にマグネットブレーキのマグナムライトはスプールの立ち上がりが遅いためそのぶん指を早く放すことになりロッドを曲げきれないのに対し、アベイル入り2500Cはリリースポイントが遅いぶんしっかりロッドにルアーを乗せられるからです。時代も違うしスプールも替えてて比べるのもおかしいですが、やっぱりベイトタックルはリール、それもスプールだなあと思いました。

 これまたあらためて使ってみたフェンウィックのグリップはいいです。見た目はちょっと癖がありますが形状がよく考えてあります。リアグリップの握る部分が太くなっていてサイドをフラットに削っているため、2500Cやバンタム、BMみたいなオフセットハンドル時代の重心が高いリールをつけてもキャスト時にグリップが手のひらの中で回りません。

 そういえば、1年くらい前レスターファインにトラウトロッドのブランクを使ったコルフォーハンドル付き2ピースベイトロッドを頼んだのですが、ブランク待ちになってそのままです。もう忘れられとるのでしょうか。もういっか、ランカーギア調子いいし。

 2017年7月16日犀川です。ライブカメラとかで濁っているのは知っていたのですが、フェイスブックでこのなか魚をかけている人を見て、うまくいけば釣れるかもしれんと行ってしまいました。去年だったかおととしだったか、濁っていても1匹釣れたこともあったしと思ったのですが、なんともなりませんでした。(2017/7/24)

 私ら子供のころフナやらナマズやらを釣っていた平地の人間は雨で濁ると釣れるというイメージを持っちゃってるんですが、基本トラウト系は濁ったらあかんね。

 それにしても犀川はいったん濁るとなかなか戻らんみたい。写真は手前が浅いので底が見えていてけっこう澄んでいるように見えますが、実際には写真のイメージ以上に濁っていてヒザまで立ち込んだらむこうずねのあたりまでしか見えません。

 ロッドはFS65J。前このロッドはこんな感じで片手振りしていたのですが、最近いまどきの若いもんのように(じじいか)左手でアシストして振るようになりました。そうするとなかなか調子が良いことに気がつきました。フェンウィックの66ライトアクションはFS64がベースなのかスローテーパーが多いみたいですが、これはバットが強くてファーストテーパーになっているため、こういう投げ方がいいみたい。

 考えてみればFS64もFS65も長さは66なのに変な品番ですね。昔は半端な長さがなかったから6ft半のロッドの弱めを64強めを65にでもしたのかしらん。と思ったら往時もFS53みたいに半端な長さありましたね。なかなか謎です。

 リールはミッチェル308X。ひさびさに持ち出したのはFS65に似合うリールがなかったから。408とか33では小さいし、300や44は重すぎます。いつかこのロッドにミッチェル300Cをつけてバスを釣ったことがありますが、手感度皆無でした。タックルの感度はリールを含めたトータルに大きな影響を受けるからです。グラスで重いFS65に300gもある300Cをつけたら、グラブをバスが食ってゴツゴツくるアタリがひとつもとれませんでした。たぶん44をつけても同じでしょう。

 クラシックグラスシリーズは写真のタイプのあとSiCニューコンセプト仕様になりますが、同時にFS65以上のモデルは廃版になりました。あれはきっと組むリールがなかったからじゃないかと思っています。

 308Xは減ってしまったクロスギアピン(ウォームシャフトポウル)をシマノの昔のリールの部品と交換するなどあちこち補修しまくっています。でもこうして見るとやっぱカッコいいです。つくづくこれで中身がまともだったらなあというリールでした。

 キンドル本第15弾『その後の名門』発売しました。日本のマニアはスウェーデンやフランスで作られたものを「本物」みたいに思っちゃいますが、それ以降のものもらしさは残っているし面白いぞというものです。(2017/7/15)

 元は2015年のギジーに掲載した「ABUからAbuGarcia MitchellからMITCHELL――その後の名門」です。最初は元の原稿をそのままファイル変換してキンドル本のデータにしたのですが、キンドルに入れて読んでみたらちょっと短い。こらあかんやろということで、本文を書き足して50%ほど増量しています。

 増量は全体に太らせていて、雑誌には書けないようなことも入っています。「書けない」というのはヤバいというよりもちょっとオタクじゃないかという感じ。それでも短いので、価格はいままでの中で一番安くしています。

 下に敷いてあるグラフはなに? 見えない部分を想像するのも面白いかなと。

 そうそう、先日発売した『アキ』もよろしく。

 2017年6月4日揖斐川水系のアマゴです。この日は以前載せたネットから少しはみ出すくらいのきれいなアマゴが釣れた日でした。そこでやめようかと思ったのですが、もったいないのでさらに釣り続けたらこのくらいのアマゴが2匹釣れました。でも、最初の1匹でやめといたほうがよかったかなという魚でした。(2017/7/10)

 なんかそんな予感はしたのですが、この魚はフックが上あごから左目に抜けてしまいました。次の魚もそれに近い感じでした。1匹目はきれいなかかり方だったのですが、なんだか後味が悪くなってしまいました。

 なんのかんのと理屈をつけても釣りは動物虐待なわけで、最近特にええ魚が釣れたらそこでやめといたほうがいいのかなあと思います。バーブレスシングルでもこういうことはあるのだし、リリースしたって人間でいうところの心の傷は残るでしょう。一回釣られた魚は成長が悪くなるという研究結果があるそうで、そりゃあエサを食おうとしてひどい目に遭えば、次からエサを捕るときに躊躇するようになってその後の生育に影響が出るでしょう。

 だからというわけでもありませんが、気がついたら6月中ごろに魚野川・庄川に行って以来釣りに行ってないことに気がつきました。天気とか体調とか川の状況とかもありますが、いまいち釣欲がわかないのも事実。

 どうもこれはここしばらく『アキ』を書いていたからのようで、二年前『ユキ』を書いていたときもこんな感じで釣行が減りました。「釣り人は心に傷があるから釣りに行く」と、どこかの作家(開高健ではなくて開高は引用しただけらしい)が言ったそうですが、小説を書くと釣欲が減るのはどう解釈すればええのでしょうか。

 そういえば、昔読んだ根津甚八著『1万回のキャスティング』には釣りで狩猟本能が満たされると性欲がわいてくると書いてありました。関係ないか。

 2017年6月13日庄川のイワナです。前日夕方まで魚野川で釣って、一発では帰れないので富山のサービスエリアで車中泊し、翌日帰り道庄川に寄りました。ここ数年なんとなく恒例みたいなパターン。これまた毎年恒例で、なんとかイワナが釣れました。(2017/7/3)

 ここ数年、遠くの釣り場が不発で帰りに庄川に寄るといいイワナが釣れるのがパターンになっていました。しかし、前日の新潟同様に庄川も朝気温が低くて最初に入った所は不発でした。

 荘川村中心部へ移動したものの、最初の場所で時間を使いすぎてすっかり日が上がり、渇水に加えすでに人が入ったあとらしくチェイスもありません。

 今回は魚野川でイワナが釣れて運を使ってしまったので、今年はダメかなと思いながらすでにルアーを通したプールをなんとなく引いていたらひょっこりとこの魚が釣れました。

 そういえば、前日魚野川で釣れたイワナも半ばあきらめて漫然とリトリーブしていたら、なんでもない所でひょっこり釣れました。

 よく、目の色を変えて釣っていると殺気が伝わって釣れないといいますが、あれは本当なのかもしれません。

 ロッドはフェンウィックFS53J。適度な張りをもつちゃんとしたロッドのほうが確実に魚は釣れるはずなのですが、最近こういうヘンタイなロッドでないと満足できなくなってしまいました。

 リールはひさびさ408。ところが、タックルをセットして釣り場まで歩くため、ガイドにルアーを掛けてラインを張ろうとハンドルをひと回しして、どどどどというバイブレーションにびっくりしてしまいました。前日ルビアス2506やツインパワーC2000HGSといった近代兵器を使っていたせいで、現代のリールに感覚が慣れてしまっていたのです。

 それでも408で半日釣っていたらまた慣れてしまいました。慣れというのは恐ろしいものです。

 キンドル電子書籍第14弾『アキ』発売です。2年前の童貞いや処女作『ユキ』はクウガ、ドライブ、バラのタトゥーの女、蜂女、コロンボ、シェーンが入り乱れて戦う話でしたが、今回の『アキ』は、バロム・1、クチビルゲ、ヒャクメルゲ、ガメラ、ギャオス、ゴルゴ13、三平三平、キャットウーマン、カータンがバトルを繰り広げ、魚も表紙のアリゲーターガーのみならずタキタロウやイトウ、アカメ、ヘラチョウザメが登場するという壮大なものになっております。(2017/6/23)

 そういうしょうもない紹介をするで売れへんのやわ(単語として出てくるだけです……)。

 舞台は前作『ユキ』と同じ中部地方の架空の都市咲月市で、キャラクターも引き継いでいますが、『アキ』だけで独立したストーリーになっているので、これだけ読んでもぜんぜん大丈夫です。

 『ユキ』にも登場した魚類学者谷山武彦は若いころ今のさかなクンのように人気のあった元タレント学者。『ユキ』で起こした騒ぎのおかげで30年ぶりに注目されて地元ローカル局のラジオ番組に小コーナーをもっています。

 アシスタントの女子アナが休暇を取り、一週間の予定で代役のフリーアナウンサー赤羽アキがやってきます。アキは、アナウンス技術はピカイチなのに、アカミミガメやアリゲーターガーなど外来生物の話になると、なぜか我を忘れます。

 そのころ放送局からほど近い市民公園の池では巨大なアリゲーターガーが目撃され、市が捕獲作戦を行うも失敗に終わっていました。

 谷山はガーにかかわる騒動に巻き込まれるものの不思議な体験で助かります。そして谷山はアキにある頼みをされます。

 いっぽう、ラジオから流れたアキの声に、ある事件にかかわった者たちが呼び寄せられ……。

 とまあ、あまり書くとネタバレになるので、こんなところで。表紙は前作に引き続き時川真一さんにお願いしました。近日釣りビジョンのフィッシングカフェにも出られるそうで、そんな人に頼んでよかったんかいな……。

 ところで、作中のラジオ番組で読まれる投稿の数々は、実際にわたくしがつボイノリオ先生の番組に投稿して読まれたものだということは、口が裂けても言えません。

 2017年6月12日、魚野川のイワナです。寒気が入って朝は薄手のジャンパーが要るほど。冷たい雨が降り、雪解けがまだ残っているのか立ち込んだ足も冷たい冷たい。朝から小さいヤマメを2匹バラしただけで、往復1000キロ走ってボウズかと思った夕暮れ時、放流したての小さいニジマスに続いてこのイワナが釣れてなんとか。(2017/6/17)

 フェンウィックワールドクラス76MLと07ルビアス2506は揖斐川サツキマスで空振り続きだったので、この釣行に持ってきました。ルビアスは揖斐川でベールスプリングが折れてしまいましたが、216円でスプリングを取り寄せて修理。ベールスプリング折れって80年代のリールでもあるまいに。デザインはいまのリールよりすっきりしていて好きなんですけど、あちこちちょっと頼りない。まあ、10年前のですけど(最新版みたいなつもりやったけど歳喰うと時間が経つのが早いのお)。

 ラインはラパラのボビン巻きナイロン1.5号8lb。揖斐川を含めて3釣行目ですが吸水して軟らかくなった気配はありません。釣行ごとにラインコーティング剤を吹いて吸水を抑えていることもありますが、なかなか強い感じです。

 クリアなので残念ながら渓流では糸筋が見えなくて(私は)使えませんが、こうした本流なら問題ありません。最近PEよりナイロンのほうを使っています。キャストがスムーズで感度もほどよくていい感じ。PEは金属的な感度がやり過ぎな感じがします。リーダー結ぶのもめんどくさいし。

 ルアーはバイト6gDSW。オーナーへらサイト14号のスイミングフック装着。フックが軽すぎるので4番のスプリットリングをいっしょに通して重量を補っています。こうすると明らかにウォブリングが違います。

 フックは泳ぐとき下を向く方向にセットしています。このほうが泳ぎが安定するのと、目玉に抜けてしまうのを避けるためです。ただし、当然ながら底を拾います。せっかくイワナ(よく考えたら魚野川初)を釣ったのに、このあと根掛かりでなくしてしまいました。とほほ。

 そういえば、朝10時にミサイル訓練のサイレンが鳴ってました。相変わらず竹やりでB29みたいな世界がこの国らしい。やばい法律も通ったし、またやらかすんでしょうなあ。

 2017年6月4日、揖斐川水系のアマゴです。とうとう自然渓流に持ち出したフェンウィックFS53J。管釣り用XULより軟らかいんじゃないかというアクションで大変。5匹バラしたあとやっとこさの1匹。(2017/6/9)

 寄せてきてバラすのではなく、フックが刺さらなくて最初のグルングルンでたいていバレます。それにしても本国ではいったいどんな釣りに使うのでしょう。もっとも、このころ(90年代終わりころ)の復刻クラシックグラスがどこまでちゃんとしたものだったかは怪しいものですが。

 フッキングとともにキャスティングも大変です。ピシッと投げたら絶対飛びません。目の前にルアーが落ちます。グラスのトップウォーターロッドでザラを乗っけて投げるようにしないといけません。バスのトップウォータープラグは重くてロッドに乗るのがわかりますが、FS53の場合ルアーはとても軽く、ロッドのガイドやブランクの重さで曲がっていくため、乗る感じがわからなくてこれが大変難しい。

 それでも慣れてくるとなかなか気持ちいいです。そして、魚がかかるとウソみたいに曲がります。写真くらいの魚はもちろん18cmくらいのアマゴでも、寄せてきたあとロッドを絞り込んで右へ左へと走られます。

 バックひっかけたら一巻の終わり、キャスト時ルアーウェイトの影響をスピニング以上に受ける渓流ベイトタックルは基本ヘンタイプレイだと思いますが、超軟調ロッドで自然渓流を釣るヘンタイプレイもなかなかかも。

 絶賛発売中『ソルトウォーター』掲載の「きわめて私的なハンドル&ギア比ストーリー」です。とある理由で急きょ作った回顧録的エッセイのようなもの。理由は直前のページからご推察ください。(2017/6/3)

 タイトルは『きわめて私的なミッチェルストーリー』のパロディーです。

 3つ目の「ハイギアの落とし穴」は、リールのギア強度を見る「巻き上げ試験」の話。文中にもあるように写真のような特大リールとなるとえらいことでした。大型リールは同じ係のけっこうな力自慢の人が担当だったのですが、それでも手に負えなくなることがありました。

 そうなると、リール課に行ってさらにいかつい人を連れてきて巻いてもらっていました。ふたりは同年代でした。なわけで、文中にあるセリフの部分はちょっと脚色してあって、実際にはこんなふうになります。

 「なんや、これ巻けばええんか」

 「おお、頼むわ」

 「よっしゃ。お、重いな」

 ボリボリボリ(ギアの飛ぶ音)。

 「お、壊れたで。これでええんか」

 「さすがやなー」

 てな感じです。ちなみに、巻き上げ試験中にリールの脚が折れて手首に突き刺さったのはH見氏という人で、シマノのHPをよく探すとジャパンカップのあいさつで写真が載ってたりします。

 このほか、文中には登場しませんが、当時上司だった係長氏は大型リールの巻き上げ試験で力を入れた瞬間に頭の血管が切れたのか、頭痛がするといって一週間くらい机でぼーっとしていたことがありました。

 キャプションにあるように、比較のため、ペン・スピンフィッシャー、ダイワBG、ゼブコ・クァンタムなどをテストしました。

 ペンはギアが飛ぶ前にハンドル軸(ねじ込みのネジ軸)がねじ折れました。ダイワBGというのは昔のSS(ウィスカートーナメントSSではなくもっと前の「完成度98%」のコピーがついていたアルミのリール)を内蹴りにしたようなブラックボディにゴールドのアルミスプールのやつです。BGはどこが壊れたか忘れましたが、ゼブコ・クァンタムはとうとう誰にも壊せず、担当氏は「これはリールではない!」と言っていたものです。

 クァンタム(ブルートだったかな?)は、アルミボディにステンレス焼結ギアを入れたモデルで、当時韓国のソウルフィッシングという会社で作っていました。ソウルフィッシングではシマノもリールを作らせていて、係長氏がクァンタムのステンレス焼結ギアをもらってきたことがありました。ところが、背広のポケットにギアを入れてきたところ、空港に着いたら粉々になっていたそうです。焼結は金属の粉を金型に入れて高温で焼き固める工法ですが、焼きが不十分だったのです。

 当時スプール強度を見る糸巻き試験機というのがあって、これでもギアを飛ばす巻き上げ試験はできたのですが、なぜ人力で試験をしていたかというと、「機械では芯が出ているからダメ」と言われていたからです。人間が巻くほうが「三角巻き」になって条件が厳しいはず、というものでした。

 でも、ハンドルを外してドライブギアの軸にモーターの軸を直結すれば「芯が出ている」状態になるでしょうけど、実際にはモーターの軸の先にL字型の腕を付けてハンドルノブにかけて回すのですから、力の作用点は常にハンドル長さぶんずれていて、芯なんて出てないんですけどね。まあ、なかなか難しいわけです(いまどうやってテストしているかは知りません)。

 「ハイギアの落とし穴」は、巻き上げ試験で合格したのになぜか当時のハイギアモデルが市場で壊されて返ってきたという話です。理由は文中のとおり(と思う)ですが、当時の品管課長氏は、「ハイギアは魚を速く寄せるはず。だから水の抵抗が増えてギアが飛ぶのではないか。速度と水の抵抗の関係を計算して」うんぬんかんぬんみたいなことを言っていたものです。なかなか難しいわけです。

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