10セルテート
 当サイト初の(?)バラしてないページです。
10セルテート2004
 04年の初代に続く二代目セルテートです。たまには新しいリールも使ってみないとなということで、清水の舞台から飛び降りるつもりで買いました(どういう経済状態なんや)。

 バラせないので写真が撮れませんが、ワンウェイクラッチ前部に配した磁性オイルによる「マグシールド」が売りです。

 自重220gは先代に相当する2004フィネスカスタムより5g軽量化。スプール径実測42.7mm。ギア比4.8対1。メイド・イン・ジャパンです。

おお新ロゴが
 新しいDAIWAロゴです。ユニクロのロゴを作った人の作品だそうです。

 これを見るとなぜかウルトラマンに出てきたダダのシマシマ模様を思い出してしまいます。わしだけか。

ABSU
 飛距離を出すためにスプールリングの形状を変えたというABSU・・・ですが、下の07ルビアスと比べてもよくわかりません。ちょっとリングが厚くなってラインとの接触部が長くなったのかな?

 たしかに初めて使ったとき、飛びすぎて対岸のブッシュにルアーがよく飛び込みました。スプールが遠くてフェザリングが遅れたからだったような気もしますが・・・。

エアローター
 ワンウェイクラッチ部を「マグシールド」で防水にした分、ローターを骨組みだけみたいなデザインにして軽量化したというもの。

 材料は普通のガラス繊維強化樹脂だそうですが、確かに手で握っても硬い感じ。FショーでS社の開発親分が「触ってみたけどたわむがや。ドラグに影響するはずや」と言っていましたが、たしかにアルミよりはたわむでしょうけどローターの剛性ってそんなに要るのかいな・・・(スンマヘン、小魚ばっかり釣ってるので分かりません)。

 分解できないので重さは量っていませんが、回した感じは確かに軽い。先代を持ってないのでなんともいえませんが、ボディーが大きくなってそうなのに自重が減っていることからも、軽さをここで稼いだみたい。

 回すと中身が透けて見えるのが面白い。

ベール反転機構
 先代モデルを含む一連のR4シリーズとは変えて、初代フリームス同様にベールアーム側に反転機構を入れました。

 07ルビアスのような反転不良は起きないでしょう。もっとも、理由はそっちよりも、前の方式だとボディーにフランジが要るしエアローターからローターブレーキのゴムその他が丸見えになるからでしょう。

 ハンドル回転で感触よくスムーズに返ります。ローターブレーキ付き。

バラさせたらへんでな1
 サイドカバースクリューが、普通のドライバーでは回せないトルクスネジになっています。

 ウィキペディアにはトルクスネジは「いたずら防止」と書いてありました。わしらがバラすのはいたずらか・・・。

バラさせたらへんでな2
 「マグシールド」をさわらないように“分解厳禁”となっているローターナットは、六角部がすごく薄い。普通のメガネでは面取り部でナメてしまうでしょう。

バラさせたらへんでな3
 ラインローラー部もトルクスです。

バラさせたらへんでな4
 ギアにグリスを補給するためお尻くらい・・・と思ったら、ここもトルクスです(でも、右エンジンプレートのビスを抜いてスプレーグリスのノズルを突っ込んだらやれなくもないかな)。

防水シール1
 バラせない代わりに「マグシールド」以外にも防水機能を強化。ハンドル基部にはゴムのシールが付いています。
防水シール2
 反対側の防水キャップにもゴムのシールが付いています。
防水シール3
 お尻カバーのパッキンも先代ルビアスなどの硬い樹脂(ナイロン?)ではなくてゴムのようです。前のモデルは水抜き穴を付けていましたが、新型は反対に密封しています。

なんだかふわふわ
 使ってみたところ、巻き取り時、なんだかふわふわと落ち着かない感じが若干ありました。S字カムのトルク変動かしらと思ったのですが、どうも違うようです。

 マイナーなリールを例にしますが、奥のスピードスピンはローターが軽く機械部分もよくできています。手前のミッチェル308Xはローターはオモリだらけ機械部分はオシュレーションが速すぎるなどかなりトホホです。

 ところが、実際に使ってみると意外にスピードスピンはいまいちなのです。理由はハンドルが亜鉛で重いから。反対に308Xが機械部分はトホホながらそれなりに使っていられるのは、ハンドルが軽いからです。軽量ハンドル七難隠すです。

 ところで、308Xって久々に見るとカッコいいね。それにしてもミッチェルの名を騙って売られた300Xeのレッグからボディーにつながるあたりはやっぱりセルテートそっくり。何度でも言いますが、ミッチェルを恥ずかしいコピー商品にしたTom Bedellは釣り具の歴史に対する犯罪者です!

 セルテート2004の場合、ハンドル自体はけっして重くないのですが、皮肉なことに(?)ローターとギアの性能アップで相対的にハンドル慣性が大きいような状態になっているのではないかと思います。

 もっとも、これは早巻きを多用する渓流で使い、ハンドルに生じる慣性をより感じやすかったゆえの印象でしょう。メーカーが主な用途としているメバルや管理釣り場などスローリトリーブが中心の釣りなら、こういったことはないはずです。

フェザリング性
 これはセルテート2004に07ルビアス2506、08ツインパワーC2000Sを重ねたものです。これを見ても、ダイワ2000番は2500番共通ボディーに小さいスプールとローター、やや短いオシュレーションストロークを組み合わせたものでしょう。

 ややフェザリングしにくく感じましたが、スプールまでの距離が遠いのに加えて、共通ボディーで重心がロッドから離れているため、フィニッシュの瞬間グリップが緩みがちになるのもあります。

 ツインパワーと比べたのは、シマノと比べようというよりも、このリールは私がふだん使っているミッチェル408/308やカーディナル33とスプール位置がほぼ同じなためです。セルテートはけっして届かない距離ではないので、「遠い」という印象には慣れの問題もあるでしょう。

 それにしても、この写真を見るとどでかコンパクトのコンセプトはいずこへ・・・(ただしラインが減っていてスプールがよけい小さく見えている点はご容赦)。

1000番ベースなら・・・
 いままで書いた、巻き心地、フェザリング性、重心の遠さはおそらく2004特有のものです。前のセルテートは1003がなかったので仕方ありませんが、今回の2000、2004は1000番ボディーにしたらよかったのではないかと思います。

 これだけローターが軽量で回転も軽ければハンドルは1003に付いている40mmで十分でしょう。軽量で早巻きもしやすくなります。1000番ボディーなら重心やフェザリング性もいいはずです。

 1003と2004はスプールに互換性があるので、1003を買って後から2004のスプールを買えば・・・4万超えますけどね。

 3つほど書いた気になる点は、あくまで現在標準である番手に関しては渓流ルアーにぴったりくるものがないということであって、このリールそのものがどうというものではありません。

 それよりも賛否両論ありそうなのは、マグシールド採用による分解不可設計でしょう。

 オーバーホールはメーカーにまかせたほうが安心だから、回転抵抗がより少なく密閉性のいいほうがいいという人もいるでしょうし、自分でやったほうがいいという人もいるでしょう。

 ついでにいうと、メーカー推奨の1シーズン1回のOHに出さなかったとしても、異物が入らなければけっこう大丈夫な気もします(本当にそうして私にクレームを出さないように)。

 シマノはどうするでしょうか。いまのステラなどの展開図を見ると、ワンウェイクラッチ前部、ハンドル基部、防水キャップにパッキンが付いています。ならば、サイドカバーの合わせとかお尻カバーを見直せば、同等の防水リールは可能でしょう。マグシールドはパッキンと違って摩擦抵抗がないのが長所ですが、ステラの回転が重いというわけではないでしょう。

 そうした上で、「分解整備は当社アフターにおまかせください。しかし、自分の道具は自分の手で手入れしたいという方のために、あえて分解できる余地を残しています」とハッタリでも(おい!)言えば、それはそれで説得力があると思うのですが、どうでしょうか。

 10セルテートのような方向性のリールがあってもいいし、もちろんこれはすばらしいものですが、すべてのリールが一色に染まるのは、どんな方向であれ望ましいことではないと思います。(2010/4/3)

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