フリームスはどや

 シマノが“金属製脚付きフタ”なら、うちはオール金属ボディ(ローターは樹脂)とばかりに出てきたフリームス。あいかわらずオーバーステアなメーカーやな、と思ったものの、TackleTour.comで輸出モデルのカプリコーンが高評価みたいなので、使ってみました。

フリームス2000
 ボディとサイドカバーにアルミダイキャストを使いながら、1万円前後の価格で登場。ユニクロのフリースみたいに、焼畑農業的結果に終わらなければいいけど・・・というのはさておき、なかなかのものです。ダイワ精工は輸出好調で6年ぶりに赤字脱却。こいつもかなり貢献したのでは?
 メイドインタイランドです。
大口径スプール
 金色なのにアルミ(でしょ?)のスプールリングはいただけませんが、ま、これを最初にやったのはシマノだし・・・。
 それはさておき、ギア比4.7ながら、45mmスプールでハンドル1回転65cmの巻き上げは、渓流でも十分。ギア比が低めだから回転も滑らか。
 ただ、欲をいえば、エッジは垂直に立てたほうが、トラブルはさらに減るはずです。ミッチェル、カーディナル33/44、ゼブコ、ルーなどと比較したいところ。まあ、いまのままでも十分ですが。
ローターブレーキ
 フェザリングを確実にするローターブレーキ採用。スプールにも指が届きやすい寸法取りで、渓流のピンポイントキャストもらくらく。
 でもこれ、シマノ98モデルに続いて出てきたわけで、つまり私のおかげだな。えへん。
よく気づいたでしょ
 ベールアーム(アームカム)の反対側の支持部にも、ベールが閉じるときのストッパーが付いています。ベールを閉じたときの衝撃を両方の支持部で受けることで、ベールアームやベールへの負担を減らそうというもの。
ベアリング配置
 思わずうなったベアリング配置。まさかピニオンに2個入れてあるとは思いませんでした。トーナメントやエンブレムと同じです。
新平行巻き機構
 オシレーションスライダーの溝を変形して等速往復運動に近づける新方式(AbuGarciaの「C300の新平行巻き機構」参照)。たぶん先代リーガルからです。
 クロスギア方式よりシンプルだから、当然滑らか。ギアノイズもなし。死点でコツンと音がしますが、死点でのスピードが落ちていないからこれは仕方ない。それに、使っているときはまったくわかりません。
 この方式でコストダウンして、その分のコストをアルミボディに振り当てたというところでしょう。
 この写真を見ると、オムツ(リアプロテクター)っていらないですよね。あんなものなくして、もうすこしストローク(スプール幅に対しやや不足気味)を伸ばしたら?
ラインローラーブッシュ
 ラインローラーはベアリングではなくブッシュ(中東で何千もの人を殺した上、来年の大統領選挙を盛り上げるために今度はアジアでの軍事ショーをもくろむ某国大統領のことではありません。白く見えるプラスチックのカラーです)になっています。
 海水浸入などを考えると、この部分はブッシュの方がいいと思います。実用的選択です。
コストダウン
 写真ではわかりにくいですが、タッピングスクリューです。これはちょっと驚きました。サイドカバー固定スクリュー、ピニオンベアリング固定スクリューなど、ボディのネジはすべてこれです。樹脂リールのタッピングスクリューも実際には問題ありませんので、これもけっこうだいじょうぶなのかも知れませんが、ちょっと心配。
 カルディアもこのネジなのかな?

 こっそり追記 : カルディアは普通にタップを立てたネジでした。高いだけのことはあります。(2004/3/4)

 コストダウンの跡も見えますが、なかなかのリールです。日本メーカー品にめずらしくベール返しの感触がよく、ハンドル形状もいいのでキャストとリーリングが快適にこなせます。ま、リールとしてあたりまえのことなんだけどね。
 輸出版カプリコーンは、あちらに行くとなぜかツインパワーの輸出版ストラディック(前はバイオマスターがストラディックだったような気がするが・・・)の対抗品。こりゃ、利益率いいやろな。

 ところで、このリール、完全にロングスプールから脱却しています。85年のトーナメントSSに始まった、ロングスプールの流行は一体なんだったのでしょうか? 最後に原さん(ルーやアブのページ参照)の言葉をささげます。

 「(妙な流行のための)費用はいつも消費者が負担してきたのです。そして、消費者に(ほとんど)負担させなかったミッチェルがつぶれたのです。他は大手を振って生き残っています」 (2003/6/17)

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