足の加工
 名品に対する冒涜か !?

付きません
 70年代までの300シリーズは足が大きすぎて現在のロッドには付きません。

 使えるのは、スライドリング式のシートと富士工業製パイプシート、フェンウィックFSシリーズのオールアルミシートなどごく一部です。

 困った困った。

 理由その1は足そのものが長いこと。現在のリールが62〜63mm(シマノやダイワおよび80年代以降の308)なのに対し、70年代の308、408は68mmもあります。

 308は80年代に短くなりましたが、300は最後まで長いままでした。

 幅も広い。現在のリールが15mm前後なのに対し、70年代のものは17mmくらいあり、長さ以前にリールシートにつま先すら入らないケースもあります。

 仕方ありません。削ってしまいましょう。

用意するもの
 ヤスリとサンドペーパーが必要です。サンドペーパーは100番から800番くらいまで。番手を倍にしながら順番に使うので、中間の番手も適当に用意します。

袋で覆う
 以下の写真は加工した後のリールで説明しているのでリールが裸になっていますが、加工中はこのように足だけ出して袋で覆っておきます。サンドペーパーの粉(焼入れした鋼より硬い)が機械部分に入ったら大変だからです。

足の裏を削る
 まず、平らな板の上に100番のペーパーを敷いて、足の裏を押し付けて削ります。フラットな面の幅が2mmくらいになるまで削ります。

裏を削らないと・・・
 これは失敗作。10年くらい前に削った308の足です。裏を削らなかったため甲を削っても先が低くなりません。

 オリムピック・サンダーバードに上の308を付けたところです。甲が高いため後ろ(画面左)は奥まで入らず、シートを広げそうです。前は幅が広いためテーパー状のコルクを矢印の部分でまたいでしまい、足が食い込んでしまっています。

 こうならないために、まず足の裏を削って全体を薄くし、かつ幅が狭い足と同じ接触長さをかせぐわけです。

甲を削る
 裏を削ったら、ヤスリで甲を削ります。裏を削ってあるため、ちゃんと先が下のほうにあるのがわかります。

 使いたいロッドのシートに合わせます。

長さはこのくらい
 全長が長いですから、当然長さ方向も削ります。FRANCEの「E」ぎりぎりくらいまででOK.のはずです。後ろ側も同じくらいです。あまり短くしすぎないように。これで63mmになります。

 私は別にフランス国粋主義者じゃないですが、どうせならFRANCEが残ってたほうがいいでしょ。

先を絞る
 最初に書いたとおり幅が広いですから、先の部分はテーパー状に削る必要があります。

 先を絞るように削ることによって、写真のようなシートでも奥で当るようになります。おそらく大丈夫だとは思いますが、口のところで当るとシートの口の部分が押し広げられて割れる可能性がないとはいえません。肉の厚い奥で当ったほうが安心でしょう。

 写真はフェンウィックですが、富士工業のシートにもこういうタイプはあります。

仕上げ
 ヤスリで整形したらサンドペーパーをかけます。あわてて番手を上げず、荒いものでヤスリの目を完全に消していったほうがきれいになります。

 サンドペーパーをかけ終わったら、パーツクリーナーなどで脱脂して色を塗ります。308や300などはブラックなのでタッチペイントの黒を塗ればほとんど気になりません。408のネイビーブルーは黒と青を混ぜてみましたが、うまくいかなかったので、そのままです。とほ。

本末転倒?
 これはここ何年かで改造した私のロッドです。ミッチェルのデカ足に対応するため、どれもこれも富士のパイプシートにしてしまいました。

 ネジが磨耗してワインディングチェックがブランクに接触したとか、親指を置くべきところにアルミスクリューがあって使いものにならんとか、スライドリングが緩みやすいとかで、ミッチェルのためだけに改造したわけではありません。富士のシートに性能面で何の文句もありません。でも、これは殺風景です。

 やっぱり、リールにあわせてロッドを選ぶとか、ロッドを改造しちゃうっていうのは本末転倒です。写真は1年くらい前に入手した408です。さすがにちょっと迷いましたが、やっぱり足を加工してよかったと思います。

 写真のロッドはフェンウィック・イーグルです。フェンウィックのこの手のシートはとてもよく形状が考えられています。中指と薬指の間にレッグを挟み親指をフロントグリップに乗せる基本に忠実な握りをちゃんとわかって設計されています。

 足を削ることによって、408の使い心地とともに優れたグリップも味わえるわけです。

 もったいない・・・といえばもったいないのかもしれません。もうこれらのリールが作られることはない、つまり現存するものがすべてだからです。遺産というか記録と考えれば、こんなことをしてしまうのはいけないことかもしれません。

 でも、やっぱりリールは使ってこそだと思います。粗雑に扱う(以前バスの雑誌で塗装が半分以上はげたリールを「使い込んだリール」なんて言っている人がいましたが・・・)のはいけませんが、ちゃんと使ってやるならリールもそちらのほうが幸せではないでしょうか。(2007/8/20)

MITCHELL

 そうはいっても、少しでも迷いがあるなら、やめたほうがいいでしょう。この改造は絶対後戻りができないからです。一応申し上げておきますが、改造はご自身の責任で・・・。