300系のあれこれ

 308や408のルーツ、300/400系のリール。ちょこっといじっている点を書いておきます。

300と400
 ミッチェル300Cと400(A)です。日本でいう3000番サイズ。300シリーズで最初に作られたのが、このサイズです。

 欧州ではこのくらいのサイズが一番よく使われるのだそうです。

ソルトウォーターシール
 80年代のモデルから採用されるようになった、ソルトウォーターシールです。ボディーとサイドカバーの間にはさまれます。

 ところがこれ、ネジの圧力で徐々につぶれてきて、ボディからはみ出してきます。厚みも変わるのでギアの噛み合わせも変わってしまいます。

 いつも同じことを書かされますが、この問題も2000年の生産終了まで放置されました。まったく・・・。

私の対策
 私は、画用紙を切ってパッキンを作りました。マジックで着色してから、防水のため、オイルをしみ込ませています。

 一見とほほですが、元の樹脂製よりもつみたいです。紙ったって元は木の繊維なんですから。

 画用紙は元の樹脂製より薄いので、中間ギアとサイドカバーの間にあるワッシャー(ギアの上に乗っているのが見えます)を減らす必要があります。

 元のシールがつぶれて薄くなり回転が重くなったときも、これを抜くと治ることがあります。

 300/400系は、サイドカバースクリューを締めるとき、サイドカバーに触れずに締めてください。スクリューの座がテーパー状になっていてサイドカバーの位置が自動的に決まるからです。3本を少しずつ均等に締めればOKです。

 自分でサイドカバーをずらして回転を出そうとすると、かえって悪くなるケースのほうが多いようです。

 これが組んだところです。まあまあ見られるでしょう。ただ、最初少し、手が汚れる(マジックの赤がつく)ので注意。

300のベール
 これは300Cのベールです。スプリングの穴が2個あるように見えますが、大きいほうはもともとピンがはめてあり、小さいほうにベールスプリングのLポイントが入っていました。

 私はピンを抜いてしまい、大きいほうの穴にベールスプリングのLポイントを入れています。ベールの感触が軽くなるのと、スプリングの寿命が延びることを期待してです。

“カーボン”スプールの糸巻き形状
 これも80年代以降の問題で、300/400系も後ろ巻きの傾向があったようです。どんなリールでも個体差があるのでそう言いきるのは危険ですが、308/408系を合わせて考えても、このころから後ろ巻き基準で作っていたようです。
 300/400系に関しては、比較的簡単に対策できます。スプール下の真鍮ワッシャーを取り去り、308/408などと同じように、スプールの下にテフロン、上にフリクションワッシャー(皮やアスベストなど)を持ってきます。

 ラインがぐしゃっと出てしまうのを「糸ヨレが多い」という人がいますが、案外この後ろ巻きが原因のケースもあります。ライントラブルで困っている方は、試してみてください。

 ま、なんやかやいっても50年前に設計されたリールです。日本では、どマイナーですわな。

 「10年先んじた製品を、20年以上にわたって生産する」は、かつてシトロエン社が掲げたモットーでした。ミッチェル300も1947年の登場時点では、10年先んじたリールだったかもしれません。でも、その後、なんぼなんでも変えなさすぎましたね。

 でもまあ、最近のリールのように3年も経ったらきっちり型遅れになっちゃうのも、虚しいです。そういった風潮(というか資本主義の宿命というか)に対するアンチテーゼとして、こういうリールを使ってみるのもいいかもしれません。

 そうそう、いまどきのセルテートやステラですらギアゴロが気になっちゃうような方々、300シリーズを使ってみると、「これでもいいんだ・・・僕は、いままでなにに悩んでいたんだ」と、楽になるかもしれません。ならないか。 (2004/9/3)

MITCHELL spinning reels