300Xはクラシック?

 2001年夏に、ミッチェルのホームページから300シリーズが姿を消しました。かわりに「300Xクラシック」として登場したのが、このリール。さて、300Xは300の後継機なのでしょうか?

ミッチェル300X
 ちょっと脚が昔の投げリールみたいですが、けっこう個性的フォルムの300Xです。説明書には、高級モデルの300Xプロと、小型の308Xも載っていました。
 6.1:1のハイスピードギアは日本製スピニングに負けない滑らかさで、失礼ながら意外なできの良さ。クロスギア(ウォームシャフト)の完全平行巻きで、ボディーもコンパクトです。
 メイドインチャイナです。
このへんも300のイメージ?
 個性的デザインといえば、ボディー右サイド。中身が浮き出したような300のイメージを持ってきています。
スムーズなベール返し
 「らしさ」は外観だけではありません。ベール返しのアタリの傾斜が滑らかで、スムーズにベールが返るようにしてあります。この点は、ミッチェルの伝統。プリビレッジやクォーツにも共通の美点です。
 この点は日本製にも見習ってほしいところ。日本製はこの点がまったくだめで、感触が悪いだけでなく衝撃が強いために、数回の使用でベール返し機構が破損したり、ベールワイヤーが疲労で折れたりするものもあります。
ミッチェルスプールコンセプト
 替えスプールを活用して、いろいろな釣りに対応しようというのも、300以来の伝統。ワンタッチ脱着を廃止したので、クォーツに比べて、キャパシティーも増えています。
ローター
 惜しいのはここ。ローターバランスのとり方がよくありません。オモリを埋め込んで強引にバランス取りをしています。重量増加だけでなく、回転慣性も大きくなっています。
 いまのシマノやダイワに比べるとラインローラーも大きく、このへんもバランスを取りにくくしたようです。
ハンドル
 マシンカットハンドルです。見た目だけでなく、キャスト時のローター回転をおさえる効果もあります。300Xで唯一惜しいのは、上のローター慣性の大きさですが、このハンドルがある程度すくっています。
でもなあ……
 でも、これが300の後継といわれても……。ハンドルとかボディーラインとか、すこしは300のイメージを持ってきていますが、ちょっと無理があるように思います。
 やっぱりインスプールでやってほしかったです。デザインだけでなく、確実にコンパクトになりますし、たとえばラインローラーをアウトスプールのように前に突き出さなくてもいいぶん、ローターバランスもとりやすいはずです。 

 ローター設計など若干の遅れは見られますが、総じてよくできていて、いいリールです。もしかしたら、日本製リールに市場を奪われた欧州ブランドが、これから中国生産品でメイドインジャパンの脅威になっていくのでは……そんなふうに思えるくらいです。
 でも、そんなふうにできがいいからこそ、インスプールだったらなあと思います。ニューミニやニュービートルのように、親しみのある昔のイメージを持ったリールにしてほしかったです。
 それはミッチェルにしかできないことなのですから。(2002/8/26)

MITCHELL spinning reels