ミッチェル300Xe
 こだわらへん人ならええんとちゃうの。

ミッチェル300Xe
 ミッチェル300の最新モデルXeです。eはエヴォリューションの略だそうです。フランス開発陣最後の300X、スウェーデン開発陣のアイディールから、アボセットと同じアメリカ開発になりました。

 300Xeは、自重284g、ギア比5.1:1、スプール径46mmの3000番サイズ。メイドインチャイナです。

ドラグ
 300Xやアボセット、アイディールで採用していたミッチェルスプールコンセプト(カートリッジスプール)を廃止しました。これにより、ドラグワッシャーの径に制約がなくなり大口径化。300Xeや308Xe(2000番)はあまり影響がありませんが、アボセット500&1000で不足していたドラグ調整幅は310Xe(500番)で改善されるでしょう。

スプール
 流行の2色アルマイトを施しています。スプールエッジと飾り穴の部分がシルバー、他の部分はシャンペンゴールドです。2色アルマイトでも某レブロスみたいに爪ヤスリの代わりにはなりません。スプールエッジの部分も内側から頂点までのラインが触る部分はちゃんと磨いてあります。

 んなこたあ、当ったり前の話だあ((C)石原極右都知事)。

 デザインについていえば、2色アルマイトでエッジを金色にしてチタンリップもどきにするよりは正直かな。もっともXeGはそうしてますけどね。

ローターバランス
 オモリごてごてだった300Xに対し、最小限のウェイトでバランスを取っています。小さいナマリがネジ止めしてありますが、外してもまったく問題ありません。過敏症かい。

樹脂ローター&ボディー
 実用的な樹脂ボディーです。“従来のグラファイトより強力なポリメトリック”だそうですが、カーボンかガラス(たぶんガラスです。本当の“カーボンリール”なんてもともとほとんどなかったんだし・・・)繊維を入れた強化プラスチックで、その樹脂分がちょっと特殊なのではないかと思います。

 こうしてみるとちょっと硬いような気もします。強力というより硬い(剛性が高い)のでしょう。

ベール
 ベールは太いアルミ製。カーディナル500ALBのものと同じです。ベールアーム反対側はストッパーになっていて、閉じる衝撃をベールアーム側だけに集中させないようにしています。

ベール支持部
 アボセットなどと同じブッシュ入りです。ベールスプリングガイドやベール反転レバーは300Xの亜鉛ダイキャストからステンレスワイヤに変わりました。

 300Xはこのへんの磨耗が早かったので安心です。

 でもベール返しは300Xよりもアボセットよりも、アイディールよりも重い。ミッチェルらしさはどこへ・・・。

 一応ちょっとフォローしておくと、PFJで見た310Xeは軽かったので、サイズによる可能性もあります。

ベールアーム反対側支持部
 こちらのブッシュはいやに大きいです。高級モデルXeGではこれがなんとベアリングになります。

 ベールスプリングも反転レバーもないのにベアリング入れても・・・。PFJがXeGを入れなかったのは賢明ですね。

ギアシステム
 300Xシリーズはウォームシャフトオシュレーションでしたが、S字カムになりました。私の300Xと308X(*)はウォームシャフトピンが早々に摩滅してしまいましたから、この方がずっと安心です。

*私の300Xと308Xは正規輸入が始まる前の並行品でした。PFJから取り寄せた部品に組み替えてからは異常な磨耗は起きませんでした。

 (写真は撮影のためにメインシャフトを入れていますが、ドライブギアはメインシャフトを抜いてから外します)

ピニオン支持
 これはアボセットよりも300Xよりも進化。ピニオンギアを2個のベアリングで受けています。カーディナル800と同じです。

ハンドル
 ノブはなかなか握りやすい形状です。一応ミッチェルらしさを気にしているみたい。

 一見鍛造風のハンドルクランクはこの角度から見るとスリムですが・・・。

ダイキャストみたい
 横から見ると太い。どうもこれ、ダイキャストを磨いて鍛造風に見せているだけのようです。しかもクランクが60mmとえらく長い。

 結果、重ーいクランクになっています。軽いクランクのミッチェルらしい回転はありません。

 ダイキャストはコスト面で許すとしても(許したくないが)、長さは長すぎ。どうも300Xを模したようです。でもさ、300Xのクランクが長かったのは、ギア比が6.1:1もあったから。Xeのギア比なら普通のハンドルでいいはずです。

 このへんからだんだん怪しくなってきます。

バイオグリップ
 バイオグリップです。シマノのパクリ。

 でもって、本家シマノよりできが悪い。足首を横に広げて薄くするのがバイオグリップの考え方ですが、横に広げすぎてエッジが中指に当たります。

 投げるときは写真のように、中指がやや後ろから掛かる形になりますから、サイドは出っ張っちゃいかんのです。

 ついでにいうと、300Xではスプールに人差し指が楽々届いたのですが、Xeは(グリーンのカーディナル302ほどではないものの)かなり遠くなってしまっています。

 これはクォーツの足首。中指の角度に沿ったラインが入っているでしょ。このころのフランス開発部隊のほうがずっとリールをわかっていたということです。

 さっきスプールのところで引き合いに出してしまったざらざらスプールの(くどいぞ)レブロスですが、足首横の稜線を後ろ寄りにしているのがわかります。中指のかかり方をちゃんと考慮しているのです。水野裕子の場合は人差し指やがな・・・。

 ミッチェルといえば、フランス車のシートのごとき道具としての優しさが特徴でした。

 アメリカ開発陣のおかげでぶち壊しです。

エンジンプレート
 エンジンプレートです。セルテートみたい。

 アイディールにも付いていましたが、アイディールと違って構造的に必要ないのだし、3本のネジで止めたんじゃねえ・・・。

 ついでにいうとパーツリストでは正直に「デコレーションリング」としています。

Xeの功績
 後半少しきついことを書いてしまったので、Xeの功績についても書いておきましょう。それは、300Xがまさしくミッチェルらしいリールだったと再認識させてくれたことです。

 スプールコンセプト、軽量ハンドル、軽いベール返し、人差し指の届きやすいレッグ位置。最初違和感のあったデザインも、どんなリールにも似ていない個性的なものでした。

 人気リールのデザインを模したXeはある意味「商品」に徹したとも言えます。これに対し、300Xはデザイナーの主張がにじみ出る「作品」でした。どちらがミッチェルでしょう?

 私のようにミッチェルらしさがどうのとか、「商品」だの「作品」だのとわけのわからんことを言うヘンタイでなければ、300Xeは“いいリール”かもしれません。

 でも、「ミッチェル300」の名をこのリールに使ってはいけません。

 ま、当ったり前の話((C)石原極右都知事)ですが、アメリカ人なんぞに“ミッチェル”が作れるわけないんです。

 こうなったら、ロワイヤルでもサルコジでも、ええいルペンでもいいから、アメリカ帝国主義からMITCHELLを取り戻し、国営で再興してくれ・・・。

 どうしてもと言うなら、CEOくらいやったってもええぞ。(2007/3/19)

MITCHELL spinning reels