エリプティックオシュレーション

 90年代の奇作、ミッチェルクォーツ。平行巻機構“エリプティックオシュレーション”も、このリールにふさわしいユニークなものでした。

クォーツ330
 ミッチェルクォーツ330です。インスプールを採用し、アブの3600Cとか、クルマのニュービートルやニューミニを狙ったモデルです。

 でも、技術者とデザイナーの暴走(?)で、こんなけったいなデザインに・・・。結局不発に終わってしまいました。
きれいな巻き上がり
 それはさておき、このリール、けっこうきれいにラインが巻き上がります。ライントラブルもほとんど発生しません。
エリプティックオシュレーション
 その秘密は、“ミッチェル独自”のエリプティックオシュレーションです。

 一見普通のリダクション式ですが・・・。
ほらほらピンが・・・
 オシュレーションスライダーを動かすピンが・・・。
 ギアの回転につれて動きます。
 死点で一番外に振り出され、スプール端でラインが盛り上がるのを防ぎます。
ギアの中にギアが・・・
 なぜこんな動きをするのかというと、オシュレーションギアの中にギアが入っているからです。
 ピンの裏の小さなギアは、中心のギアの半分の歯数になっていて、上死点と下死点で、ピンを外に振り出すわけです。

 (もし分解したときは、ギアのかみ合わせに注意してください)
プラナマティック
 で、やっぱり連想してしまうのが、308/408に採用してあった、これまた“ミッチェル独自”のプラナマティックです。

 両方ともミッチェルのパテントでしたが、とうとう誰にもコピーされませんでした。パクリが横行する釣り具業界なのに!

 いやはや、「ユニーク」以外の言葉が見つかりません。

 私は学生時代、リールの機構を考えるのが好きで、平行巻機構についてもいろいろ考えました。エリプティックオシュレーションと同じものを考えたこともあります。

 でも、小さなオシュレーションギアの中に2個もギアを仕込むなんて、ほんとにやろうとは考えんでしょう、普通。

 ミッチェルやなあ。ホント、フレンチエンジニアの頭の中を、見てみたい(もちろん、こういうところがたまらなく好きなんですけどね)。 (2004/1/24)

MITCHELL spinning reels