ハンドルノブ

ハンドルノブは釣り人との接点。メーカーの姿勢がわかるパーツです。

ツイストタイプ1
 日本でよく売られたものの前身です。60年代のリールに付いていました。やや厚めで表面にシボがありません。
ツイストタイプ2
 人気のある70年代の308、408、300などに付いているもの。ぴったり指にフィットします。最初ややねじりが強く感じる人もいるようですが、慣れればかえって安心感があります。このころのモデルの短めのクランクに合った形状でした。ハンドルのいいミッチェルを象徴するノブです。
左右両用平型1
 4400シリーズに使われていたノブです。左右両用ハンドルの4400に合わせ、ねじりが入っていません。表面はシボなしです。単純な形状ながら、指にフィットします。
 このノブを含め、真ん中をくぼめていないのが、ミッチェルがハンドルを理解しているところ。安易に作られたノブの中には、真ん中をくぼめてしまったものもありますが、そうすると人さし指を巻くようにして握ったときに角が当たって指が痛くなります。そんなハンドルノブをつけているリールは、指先でノブをつまむとデザイナーが思っているということ。リールを知らない会社だということです。
左右両用平型2
 80年代の308Aや松尾製アウトスプール2200、3500などから使われた平型ノブ。上のノブにシボがつきました。
 ねじりがなくなったのは寂しいことですが、上のノブと同様薄めで指にフィットします。やや幅が広く、つまんでも指を巻いて握っても快適。持ち方を強制されない分ツイストタイプより自由な感じがあります。やや長めになった308Aのクランクとマッチしていました。ツイストタイプも含め、クランク長さとノブを合わせるあたりはさすが(たまたまか?)。
 このノブは308や300に最後まで使われました。カタログ上はこれをウッドにしたものが308プロに使われたようですが、実物は見たことがありません。
ウッドハンドル
 308プロ、300プロ、プレステージなどに付いていたウッドノブ。小ぶりでかつ俵型。日本のリールのようにばかでかい「右手ゴリ巻きノブ」とは一線をかくすものです。
左右両用平型3
 90年代初めの600LS、プリビレッジ、300EXあたりから使われ始め、クォーツやいまの300Xにも付いている幅が広く、いぼいぼの付いたノブです。
 なぜかだんだん幅広くなるミッチェルのハンドルノブ。300Xのながーいクランクには合ってるような気もしますが、ちょっとなあ。
左右両用平型4
 プレステージのアメリカ向けであるスパイダーキャストや、90年代の200シリーズに付いていたノブ。左右両用タイプでは大穴的にいいノブだと思います。ただ、なんだか滑り止めのぽちぽちとノブの色がアブみたい。そのせいかどうかは知りませんが、すぐに消えてしまいました。欧米人には小さいのかな?
 アブみたいなぽちぽちを消して、全体にシボを付け、黒くしたら、インスプールモデルなんかにもよかったんじゃないかなあと思います。
 私の場合、このノブの付いてきた230が使う前に死んでいたので、実際に使うことはできませんでした。

 日本の自動車評論家の中に、シトロエンのシートを誉めるとき、必ず「かつての」と前置きする人がいます。ミッチェルのノブも、なんだかだんだんいまいちになっていくようで、やっぱり「かつての」という前置きが必要になってきているような気がします。
 それでも、いろいろ形状を変えているあたり、ノブへのこだわりは持っているみたいです。少なくとも、高級ハンドルイコールウッドまたはソフトコーティングの日本製より、私は好きです。だって、形状が優れていれば、安価なモデルにまで効果は及びますが、材質で感じがよくなるのは高級品だけになっちゃいますからね。アブのノブもそうですが、形状で勝負の欧州製品の方が、見た目で釣ろうとする日本製よりクレバーな感じがします。
 人間中心社会と、そうでない国との違いでしょ。(2002/11/23)

MITCHELL spinning reels