リョービ・ダイナファイト

 あのころ君は若かった!?

ダイナファイト1000
 
79年登場のリョービの意欲作。ダイナファイトです。
 あのころ雑誌という雑誌にこのリールの広告が載っていました。当時の新聞で、釣り具の宣伝広告費に1億円かけていると読んだ記憶があります。
 テレビの宣伝(このリール以外の)もよく流れていました。いまだにシマノやダイワより、リョービやがまかつみたいにテレビCFを頻繁に流していたメーカーのほうが大きいと思っている人っていますもんね・・・。
ニュードラグ
 最大の売りがこのニュードラグシステム。「ハンドル」から手を離さずにドラグ調整可能・・・でも、「ハンドルノブ」からは離してしまうわけで・・・。そう考えると、普通のリアドラグやフロントドラグとあんまり変わらないような気がします。
 それより何より、肝心の滑り出しが悪いです。しかも、メインギアに装着されたドラグからラインローラーまでにギアシステムが介在しますから、滑り出しに合わせて調整しておくと、巻きながら合わせたときハンドルだけが空回りとなります。
 ただ、糸を人差し指に掛けるとき、ローターが行き過ぎても手で逆転できるのは意外な利点。冗談みたいですが、使ってみるといまどきの瞬間ストッパーリールより数段扱いやすく感じます。ストッパーに衝撃がかかりにくいのも、安心できます。でも本筋じゃないわな・・・。
ハンドル
 よくぞやったの左ハンドル専用機。しかも、品のいいプラスチックの小型ノブ。右手ゴリ巻きエサ釣りオヤジ仕様のワンタッチウッドハンドルの時代に、これはすごい決断です。ノブにはひねりが入っています。
ラインローラー
 セラミックローラーには樹脂ブッシュが内蔵され、さらにステンレスのシャフトで支持されています。しかも、今の糸ヨレ対策リールに近いラインローラー形状です。
ベールスプリング
 3回巻きベールスプリングです。たとえば、よく折れると定評のカーディナルC3は2回巻きです。巻き数だけで寿命は決まりませんが、70年代終わりすでにスピニングの弱点を把握していたということはいえます。
 関係ないけど、おなじころシマノML1のベールスプリングは1回巻きでした。どへ。
スパイラルフェースギア
 軸直交型のスパイラルフェースギアです。メインギアにドラグを仕込むために採用したようです。
 ただ、巻き上げは軽いもののゴロつき感が残ります。すでにハイポイドフェースギアの時代になっていましたから、このスムーズさのレベルはまずかったでしょう。
 関係ないですが、このギアの外径、なぜかミッチェル308/408とまったく同じでした。308に付けてみたい・・・。
オシュレーションギア
 で、上のギアシステムで、スプールを減速しつつ往復させるには・・・と頭をひねったのでしょう。なにやらミッチェル300みたいな機構です。これもギアのゴロゴロ感を増してしまっています。

 新しいルアーフィッシングの時代に的を絞った、意欲的かつ新鮮なリールだったということは間違いありません。この点はいまどきのリールより夢が感じられる部分です。細かいところにも力が入っています。個人的には少々ラフながら高効率のギアを感じつつ、小さなハンドルをつまんで巻き取る感じは、ミッチェルみたいで味があります。

 でも、ドラグの滑り出し、ギアのスムーズさといった基本性能が不十分では、市場で生き残れなかったようです。ギミックばかりに走った80年代日本リールの先駆け、といったらいいすぎでしょうか? (2003/10/7)

 やっぱ、いいすぎやわ。(2003/10/9追記)

RYOBI