05バイオマスター
 焦土作戦 !?

05バイオマスター2500
 新型バイオマスターの2500です。昔お世話になった(ご迷惑をおかけした?)会社の製品なので、1シリーズに1台くらいは一番使う2000番サイズを買っていましたが、01、02モデルはパスしました。05モデルはかなり改心した(おい!)モデルなので、謹んで購入させていただきました。

 実勢12000円強。カルディアキックス対抗なのでしょう、出血大サービスのようなリールです。

 02バイオマスターがマレーシア製だったのに対し、05はメイドインジャパンです。

左ハンドル出荷に一票
 以前はツインパワー以上のモデルで行っていた左ハンドル出荷を、このクラスで初めてやりました。初心者ほど買ったリールのセッティングが正しいと思い込みがちなので、これはよいことです。

ハンドルノブ
 フラットな面を持ち、つまんでも巻ける新型ノブ。なかなかええんやないでしょうか。ちょっと大きいかなとも思いますが、それならパドル型のS(シャロースプール)タイプを買えばいいということか。でも、今のパドルは、いまいちなのよね。

ワンピースベイル
 04ステラ、05ツインパワーと同じステンレスワンピースのベイルです。冷間鍛造でローラー支持部を成型後、スウェージング(絞り)加工でワイヤー部を伸ばすのだそうです。

 04ステラが出たころ、一部の雑誌が「ステンレス削り出し」と書いていましたが、それは無理だと思います。1本いくらになるのや・・・。

でも細いのはイヤ
 ワイヤ部の直径は変わらず1.5mm。普通のリールは2mmです。同じようなステンレスワンピースベールのミッチェル308は2.2mmです。

 細くても、元に向かって太くなっていますから、曲がりにくいし剛性感もあります。でも、頼りないから私は嫌い。

 堅牢なシマノリールのイメージに合っていないと思います。

こっそり追記:よーするにダイワが太いから反対をやってるだけじゃないのかなあ。市場原理主義のクセに野党だから屁理屈こねて民営化法案に反対した民主党みたい。

 いまさらだけどさ、ちょっと前の前原と小泉の党首討論だってそうでしょ。アジア諸国との関係を考慮して靖国参拝はやめろと言っておきながら、ポケットから賽銭を出してチャリンなんてけしからんときたもんだ。それってもっときちんと参拝しろってことじゃん。お前はどっちの立場なんや。ただ相手の行動をあげつらってるだけ。前原バカ丸出し。

クロスギア平行巻き機構
 ダイワはS字カムに移行していく方向のようですが、シマノは変わらずクロスギアを採用。確かに死点のコツンやトルク変動はないかもしれませんが、コスト的には高いはず。よくこれで国内生産して、キックス(タイ製)より安い値段で出せるなあ・・・。

 振りバランスなどを総合的に考えると、私はS字カムのほうがいいと思います。でも、シマノまでそうしてしまうと、ますます自民党と民主党になっちゃうから、これでいいのかな。

 ところで、民主党の某議員が「民主と自民はキリンビールとアサヒビールみたいなもの」と言ったとか。そんならいっしょの党になればいいじゃん。すんません、関係ない話でした。

クロスラップ
 密巻きやめました。ハンドル約1.7回転でスプール1往復です。95モデルと同じくらいです。

 95でちょうどよかったのに、98をデザイン優先で速くしすぎ、ステラSSの密巻きの妄想に取り付かれた「お客様の要望」で01系(02ツインパワー、バイオマスター、アルテグラ含む)を遅くしすぎ、04ステラ/05ツインパワーまで微妙に引きずり、このモデルで8年ぶりに正常化。長い道のりでした。

 余談ですが、ダイワは「一貫してクロスラップ」とか言ってますけど、これも怪しいのですよ。ダイワのABSになる前のモデルは、シマノ98モデル以上に速いオシュレーションだったのです。特に最小モデルはクランク方式じゃないかってくらい速かったですもん。それをABSになったときに回転を良くするために遅くしているのですね。

 でも、シマノの迷走ぶりよりはいいか。ホント、失われた8年・・・。

ドラグ
 ドラグはワッシャー数を増しています。性能はいまさらいうまでもありません。ただ、以前は2500とC3000のドラグ構成が異なっていて、C3000の存在意味がわからなくもなかったのですが、このモデルはいっしょになっちゃったわけで・・・。

 ま、いいか。

 ノブは防水パッキンつき。シャロータイプはシングルワッシャーです。

フリクションベール
 僕のアイデアで(いちいち自慢げに書くな)98モデル以来採用されたフリクションベールは、04モデルから改良されています。白い樹脂のぎざぎざに、ベール返しレバーが噛み合います。

 白い樹脂部品はバネで締め付けられていて、抵抗を持ちつつ回転します。

 以前のゴムリングは油で伸びてしまったので、改良したわけです。おそらくこれなら半永久的に大丈夫でしょう。

 取説に、この部分はフリクショングリスという専用グリスを使えと書いてありました。未確認ですが、これはおそらくゴムを侵さないグリスのことで、このタイプ(たぶんジュラコン製)はどんなグリスを使ってもいいんじゃないかと思います。

 ゴムリング式の1000番とごっちゃになってるのでは?

脚付きフタ
 先代バイオマスターは樹脂製でしたが、02ツインパワーや98バイオマスターと同じアルミ脚付きフタに戻りました。

ボディー用スクリュー
 ユニークなのは、固定スクリューが右から入っていること。したがって、タップビスではなくちゃんとねじを切ったメートルねじになっています。なぜか緩み止め剤つき。緩むかなあ・・・。

 手入れの際外すからタップビス(締めすぎなければつぶれませんが、嫌いという人はいそう)をやめた? とすればかなりエンスーですが・・・。

 これが理由でしょう。ハンドル側をリールの「顔」と見立て、こちら側から合わせ面やビス類をなくしています。確かにすっきりと一体感のある感じになっています(でも右側は・・・)。

アルミダイキャストギア&アルミスプール軸
 小型モデルのメインギアはアルミダイキャストだそうです。フェースギアは、亜鉛ダイキャスト(一番普通)、アルミ鍛造(高級品の軽量化)、真鍮鍛造(昔あった)、ステンレス焼結(昔ゼブコの海用にあった)などがありますが、記憶にある限りアルミダイキャストは初めてではないかと思います。

 ギア比は5.0:1ぴったり。本当は、端数にしたほうが、磨耗や油の回りに有利なのですが、たぶん実際には問題ないでしょう。回してもハンドルとローターの位置関係が変わらないので、写真を撮るとき困りますが(関係ないか)。

 カタログによると3000以上のメインギアは「耐久性重視の亜鉛ダイキャスト」。こんなことを書かれると不安になりそうですが、シマノは耐久テストをきっちりやるので、大丈夫でしょう。

 軽量化のため、スプール軸(メインシャフト)もアルミです。01〜02モデルは所有していないのでわかりませんが、98モデル2000/2500のステンレスシャフトの直径4mmに対し、05バイオマスター2500(2000〜C3000共通のはず)は4.5mmです。材質変更で太くしています(注:05アルテグラの軸径は未確認です)。

個人的な疑問
 どうなのかなあと思うのは、ストッパー配置です。シマノスピニングは、歯付きストッパーの時代からピニオンベアリングの前にストッパーを持ってきます。

 こうすると、ピニオンベアリングとピニオン後部ボスの距離Lが短くなります。ガタを抑えるのや耐久性、ストッパーの防塵性に不利ではないかと思うのですが、なぜなんでしょう。

 ピニオンベアリングの後ろにストッパーを入れるとL寸法が長くなり、ボス部のクリアランスが同じでもローターの対角ガタは小さくなります。こっち(写真はミッチェル・アボセット)のほうが理にかなっていると思います。

 バイオマスターはピニオン後部に耐摩耗性のよいジュラコンブッシュを使っていますし、実際何の問題もないのですが、どうせなら、ねえ・・・。

こそっと追記:ついでにいうとアボセットのメインギアベアリング(またはブッシュ)外径は右11、左14なんですね。右を小さくすることでピニオン後端軸受け面積を少しでも稼いでいるわけです。その上でこうして軸受けスパンも最大に取ろうとしている。これならブッシュなしでも(実際どうなのか以前に設計思想的に)許せるかなと思えます。(2006/2/2追記)

追記の追記:こういう風に私は「結果」より「過程」というか、設計者の思想に関心があります。だから、シマノのリールがわざわざどんぴしゃ整数比のギア比(ピニオン偶数、メイン奇数にして歯を総当りさせるのが理想)を採用してしまうようなところが、ちょっと・・・なのですね。(2006/2/3)

スプール
 スプールはアルミ鍛造で、スプールリングはチタンコートステンレス。ハイブリッドアルミスプールとアルミスプールリングだった先代バイオマスター・アルテグラから、先代ツインパワーに近いものに。

 下巻きゲージの代わりに、下巻き目安ライン入りになりました。エアリティーのマネ・・・といっても、下巻きラインを入れた船リールとかは以前からありましたから、いいんじゃないでしょうか。

おおっ
 ついにというか、ようやくというか、投げ方・握り方のイラストが取説に入りました。でも、親指がフロントグリップに乗っていません。

 ちゃんとこのサイトを見て勉強しなきゃだめよ。70点ね。

おいおい
 糸の巻き方イラストは、人差し指と中指の間にリールの脚がきています。20点ね。

 キックスのイラストもこういう握り方だったけど、他社の取説(どっちが先かは知らんが)を下絵にしとるのか? キックスの取説はさらにハンドルが右になっていました(AF誌の撮影用に借りたとき確かそうだった)。あっちは右ハンドル出荷と合わせて0点ね。水野裕子の右巻きをやめさせたら3点くらいやってもいいぞ。

オタッキー?
 異常に詳しいメンテナンスのページ。どうしちゃったんだ。

 でも、部品をわかりやすくしようとしたのでしょうけど、展開図で説明するとここまでばらすのかと思っちゃう人もいそう。とくにベールまわりは締めすぎでボスがつぶれたり、かえって不具合が出るからばらさないほうがいいと思います。

 それと、半年に1回のメーカーOHとか、5回に1回のオイルインジェクションからの注油とか、そこまで必要あるかな?

 ちなみにキックスの取説には「内部のギアは注油の必要なし」とありました(もちろんこれは、キックスのほうが耐久性が高いということではなく、メーカーの見解の相違です)。

 細かくて見えない? これまた異常に詳しいスペック表。開発前の仕様検討書じゃないのというくらいのものが付いてきます。なんなんだこれは?

 ま、面白いからいいけど。

挽回なるか?
 以前某メーカーの人に聞いたのですが、ダイワはフリームス・カルディア系で、スピニングのシェアを相当伸ばしたそうです。ちょうどシマノが密巻きをやっちゃったころで、それも響いたんだろうなあ。

 そう考えると、これだけの内容のものを、この値段で出してきたのもわかる気がします。少々採算が悪くてもいいから、何とかキックスをやっつけちゃえということみたいです。

正体
 おたくな人は気づいているかもしれませんが、これは本来02ツインパワーの後継機なのです。

 スプール仕様、ボディー構造、ハンドル仕様、生産国(*)は、02バイオマスター・アルテグラより02ツインパワーに近いものです。しかも、ベールワイヤやフリクションベールなどに改良を受けています。*生産国は02、05ともにバイオ・アルテグラは日本で立ち上げてマレーシア生産に移管し、生産量によってはその後も日本で作ったそうです。だからどちらも日本製とマレーシア製があるのです。私のはたまたま日本製だったようです。

 それがほぼ半額の値段で手に入る。ちょっと怖いくらいお得。

 でも、先先代98系では、もともとツインパワーはステラボディー、バイオマスター・アルテグラはハイブリッドアルミボディーだったんですね。ということは、“バイオマスター”のスプール仕様などを高級に仕立てて“ツインパワー”にしてしまったのが先代02ツインパワーだったという見方もできます。

 02ツインパワーオーナーの人、かわいそう・・・。 (2005/8/14)

SHIMANO