90'sスピニング

80年代のコスト重視路線から、突然変身してしまった90年代モデル。

92モデル
 最初のSBLモデルです。徹底的にバランス取りしたローターで、ほかのメーカーにかなりの衝撃を与えたようです。 遊びの少ないストッパーはワンウェイクラッチではなく、ローターの内側に歯を設けたマルチポイント式でした。
 ダイワよりちょっと安くてデザインがいい、という80年代のイメージから方針転換です。なんでも、釣り具事業部長が替わって(いまの社長)、「高くてもいいから、ダイワに負けないものを作れ!」となったのだとか。でも、開発や製造はたいへんだそうです。
95モデル
 ステラ以外の品番にXTとついていたモデル。ストッパーはワンウェイクラッチになりました。
 デザイン的にはベールアーム(アームカム)を内側に付けたローターが特徴的です。
 適度なスプール往復速度の回転と軽いベール返しで、使用感のいいモデルでした。
 脚が短くなって、フェザリングしやすくなったのはこのモデルから(私がいたころは「人差し指が届かないから、もっと脚を短くするべき」と言っても、「アメリカの販社の人間に握らせてOK取ったからこれでいいんだよん」と相手にしてくれなかったのに)。
98モデル
 「脚だけ短くしても、ベールがじゃましてフェザリングができない。カーディナル33/44のようにローターブレーキを付けてはどうか?」という私の手紙のせいかどうかは知りませんが、ベールを開くと回転にブレーキがかかるフリクションベールがついた98モデル。
 でも、ブレーキ機構のために内げり機構に無理がきたのか、ベール返しが重い(後期にちょっと改良)。おまけに薄型デザインで内部機構が圧迫され、スプール往復が速くなってなんだか回転が落ち着きません。このへん使用感がいまいちでした。
 なお、このリールのボディーは「脚無し本体」、フタ(サイドカバー)は「脚付きフタ」といいます。これに限らず、シマノの部品名は、ユニーク。
MgS
 98モデルをベースに、新設計スプールとマグネシウムローターで上半身を軽量化したモデル。ツインパワーとバイオマスターに設定されました。 2500/3000(2500の深溝)で70gの大幅軽量化。
 でも、回し始めは軽くていいのですが、反面ベースになった98モデルのスプール往復の速さが目立つのは残念。
 なおこのリールのスプールリングはチタンコーティングではなく、ゴールドアルマイト加工のアルミです。カタログなどには正直に書いてありますし、ほかにもこういうことをやっているリールはありますが、わざわざ金色にするのはどんなものでしょうか?
ステラ2500SS
 「持つ人を選ぶ」2000年限定モデルです。
 ハンドル6回転で1往復のスーパースローオシュレーションで、滑らかな巻き上げフィールと静かなライン放出。
 ただし、ミノーのトゥイッチングなどをしたら、パーマ連発でラインが全部なくなります。でも限定モデルなのですから、それでもいいのです。限定だからこそこういった“とんがった”ものも許されるし、それを作ったのは大英断だったと思います。もちろん普通にリーリングする釣りなら何ら問題はありません。ローターだけが回っているような巻き上げ感を味わえます。
 他には、ねじ込みハンドルに注目。ベール返しの味もよくなっていました。

「マイナーなリールに光を当てる」というHPの趣旨に反するページになってしまいました。深くお詫びします。仕方ないか、シマノがメジャーになっちゃったんだから。(2002/10/5)

SHIMANO