エアロES5000

 ダイワのゾンビがバイキングST-44なら、シマノのゾンビはこいつです。

チタノスエアロES5000
 シマノ投げ専リールの最廉価版兼最古参、エアロES5000です。私がS社に入ったころ、すでにあったリールですが、16年後の今でも現役のロングセラーです。
 堕落したルアーマンの私は、最近時々キス釣りに走るのですが、そのために選んだのがこのリールでした。
 あらためて使ってみると、これで十分です。たまたま生き残っていたわけじゃありません。
今よりいいぞ(その1)
 普通のラインローラーです。軽いです。いまどきのリールのばかでかいベアリング入りローラーは、ローターバランスを崩し、そのバランスをとるために、重量増加を招きます。使いっぱなしにするとベアリングがさびる恐れもあります。
 糸の曲率がどうのという宣伝を見たこともありますが、このくらいの径で糸が傷むなら、竿のトップガイドはどうなるのですか?
 このほうがいいんじゃないかなあと思うのですが、日本は全体主義国家なので、みーんなあっちに行ってしまいました。
今よりいいぞ(その2)
 普通のストッパーです。いまどきのローラークラッチみたいに自重も重くならないし、ボディ内部に収まっているので防塵性もいい。サイドカバーをあけてギアのメンテをする際、同時にチェックできます。
 ストッパーの遊びは30度くらいですが、かえって糸拾いが楽です。もちろんこの遊びで魚を逃すとかいったことはありません(あるわけない)。
 これまた、つくづく日本は全体主義国家です(関係ないけど政治もね)。
手抜きなし(その1)
 ラインローラーブッシュです。ローラーを確実に回転させ、ローラー支持部の磨耗も防ぎます。ベアリングと違って外からオイルを注せば手入れもOK。必要十分な仕様です。
手抜きなし(その2)
 写真では見にくいですが、ピニオンギアの後ろに樹脂ブッシュが入っています。この他マスターギア両軸やクロスギア軸の前後もブッシュで受けています。主要な軸受けで、まず磨耗が考えられないわけです。
 当時のルアー用小型モデルではこんなこと(上のラインローラーブッシュも)絶対しなかったのに、投げだけは特別やな。投げの好きなおっさん多かったもんなあ。

 ところで、こういった樹脂ブッシュの耐久性に不安を持っている人もいるようです。これはポリアセタール系の樹脂で、耐磨耗性に大変優れています。このへんの誤解があると「昔のアブやミッチェルは金属ブッシュだったのに」と、今のリールに不信感を持ってしまったり、「ベアリングじゃなきゃ嫌だ」と軸受けという軸受けにベアリングを入れまくったステラやトーナメントでないと満足できなくなってしまったりします。
 そんなこと、全然ないのですよ。
軽量コンパクト
 自重450gはテクニウムMgを除く同社投げ専リール最軽量。サイズが一回り小さいからですが、普通の使用ならこれで十分でしょう。投げ釣りで使う2〜3号の道糸なんて、本来2000番か3000番で使う太さなんですから。
 ところで、この写真からも“スカートレス”のコンパクトさがわかります。かつ斬新で今見ても未来的です。
 昔、小型モデル(ツインパワーやバイオマスター)でも、トップモデルでスカートレスをやろうという案もあったのですが、出ませんでしたね。01、02モデルではひそかに期待してたんですけど・・・。

 もちろんこのリールが残っているのは、バイキングと同じく国内専用モデルで新型を起こしにくいことが挙げられます。
 でも、こうしてみてくると、必要十分な機能を持つ本当に実用的なものは、長く生き続けるのかなと思います。

 大口径ラインローラーや瞬間ストッパーなど、私は現在のリールの仕様に疑問をもっています。これらが本当に必要な機構(少なくともそれ以外のものがなくなってしまうくらいの)なのか、このリールがその答のように思えます。 (2003/9/26)
SHIMANO