おおっ!

 70年代80年代のシマノは、新興メーカーらしく既成の概念にとらわれない斬新な釣り具を生み出しました。そのたびに私は思わず「おおっ」とうなったものです。

BMシリーズ
 シマノ初のベイトリールがこのBM。個性的デザインもさることながら、初の分離式レベルワインドやパーミングボディで、今日のベイトリールの祖となりました。
 考えてみれば、“フリースプール”というなら、クラッチを切ったときレベルワインドとスプールがつながってる方がおかしいわけで、このあたり釣り具屋さんでない技術者で釣り具事業部を始めたことが大きかったのではないでしょうか。

バンタム100
 で、BMの後追いでダイワのファントムSM2とかオリムピックのBX21が出てくるわけですが、それらが出たときにはすでに小型軽量機のバンタム100にバトンタッチ。うむ。

エアロキャスト7000EX
 投げ専リールのエアロキャストです。ほとんどスカートと太さの変わらない投げ専リールのスプール胴部を、そのままスカートにしてしまおうという設計。これも、従来の投げ専リールをあたりまえと見ない、新鮮な発想でした。
 スプール下への糸落ちは腕でカバーのベテラン向け設計もマニアック。

だ円断面ロッド
 同じエアロキャストの名を冠した投げ竿です。写真は90年代の最終モデルですが、上のリールとおなじくスタートは80年代前半です。
 断面がだ円で空気抵抗が少なく、スイングスピードがアップし、方向性もよい……かな?
 私のようなへなへなキャストしかできない人には効果のほどはわかりませんが(笑)、本当に製品化してしまうのが好きです。
 関係ないけど、シマノには本当に風洞実験室があったんですよ。自転車の「エアロ」(これも自転車マニアの間では伝説的奇作)開発のために作られたものでした。
バンタムマグナムライト
 チタン合金やジュラルミンを使って軽量化したベイトリール。なんといってもデザインが斬新でした。

ファイティングロッド
 おなじくマグナムライトの名を冠したファイティングロッド。ブランクをそのままグリップに。感度もさることながら、しっかりしたバットで方向性のいいロッドでした。
 しかし、アメリカでのデザインパテントが通って類似商品が消え、そのため市場が「あのタイプはもう流行が終わったんだな」と思い、自らも消えてしまいました。
 もしアクエリアスがなかったら? みたいなものでしょう。

カルカッタ
 丸はアブが小さく堅実に守っている市場でした。そこを崩したのがこれ。
 でもね、こういうえげつないことするから、「日本は世界を征服しようとしている」なんてクレッソン女史(なつかし)に言われるんです。得意分野で棲み分ければいいじゃないですか。
 でも、このリールを初めて見たとき、私「おおっ」とうなってしまいました。くやしい!

 ただ、こんなことを言うとなんですが、私が最後に「おおっ」とうなったのがカルカッタでした。(2003/2/28)
SHIMANO