プラナマティックの謎

 シトロエンのシンボルがハイドロニュ−マチックなら、ミッチェル308/408のシンボルはプラナマティック。あの奇妙なメカはなぜ飛ぶか? 私なりの解釈です。

 1 密巻きとあや巻き
 ごぞんじシマノのスピニングリール、ステラ2500SSとバイオマスター3000MgSです。両者は摺動スピードが違います。ラインが密巻きになる2500SSのほうが飛距離が出ます。
 摺動の早い3000MgSは一見ラインがあや巻きになっていて、食い込みがなく飛びそうですが、実際はラインのばたつきが大きく飛距離は劣ります。これがまず大前提。
 2 プラナマティックと通常の摺動
 プラナマティックつきの308と、通常の摺動のカーディナル33です。粗密はあるものの、308のほうがラインに角度がついていません。33はあや巻きになっています。
 プラナマティックは一見複雑な動きですが、ラインローラーとスプールの間には距離があるため、そのままラインがスプールに巻かれていくわけではありません。そのため、トータルで見ると、スプールをごくゆっくり摺動したのと同じような巻き方になるのです。つまり308は1の2500SSに、33は3000MgSに相当するわけです。
408Planamatic

 3 なんでわざわざ 
 でも、それなら普通にスプール摺動を減速すればよさそうなものです。でもそれをしないのがフランス人のいいところ。だったらシトロエンのハイドロだって、金属サスペンションが進化したいま、あえて使うことはないわけですからね。もっともミッチェルの場合、ベベルギアでスプールを減速するにはこうするしかなかったのかもしれませんが……それでも、普通やらんぞこんなこと。

追記: ただしプラナマティックは、ときどき混じるクイックな動きが部分的なあや巻きを作り、食い込みを防ぐ効果もあります。

MITCHELL spinning reels