2001年夏、とうとうアメリカのミッチェルHPからも、300シリーズ(300、308、310)が消えてしまいました。ヨーロッパのHPからはすでになくなっていましたから、300シリーズは50年以上に渡ったその歴史を閉じたことになります。
スピニングの代名詞
冒頭のページでも触れましたが、今でも「スピニングリール」という言葉の代わりに「ミッチェル」といい、サイズを表すときも「308」「300」「306」という地方があるそうです。ミッチェル300はまさしくスピニングリールの代名詞でした。
長年に渡って親しまれたフランス製品といえば、シトロエン2CVというクルマがあります。ミッチェル300はある意味、2CV以上に偉大なフランス工業製品でした。「醜いアヒルの子」と呼ばれた2CVに対し、どこにも癖のないシンプルでクリーンなデザインは、世界中の釣り人に受け入れられ、もっとも知られた「フランス大使」となりました。
シンボル?足かせ?
300シリーズ(300、308、306、400、408、406などのインスプールモデル)の中心になるサイズが300/400でした。これは最初に登場した「300」の流れを汲むとともに欧米でもっとも使われるサイズだったのです。けれども、最初に開発されたこのモデルは、ひどく時代遅れなギアを持っていました。開発当時、大ギア比のベベルギアが量産できず、スパーギアで増速したからです。
しかし、「シンボル300」の改良にミッチェルは踏み切れませんでした。そのためノイジーなギアリングと、なれを要する逆回転ローターを持つこのモデルは、シンボルであるとともに、シリーズの足かせでもありました。もしこのサイズが308/408のような機構に改良されていたら、300シリーズはもう少し長く生きられたかもしれません。
それでもミッチェル
それでもミッチェルはミッチェルなんです。時代遅れの300/400も、ベベルギアでなくなった80年代の308/408も、ちょっと頼りない90年代の台湾製も、みんなミッチェルです。これからも世界中でこの愛すべきリールたちは、魚を釣っていくことでしょう。そして、ミッチェル社には、いつの日か「ミッチェル300パート2」の誕生を望んで、ミッチェルのページを終わります。