中古リールはココに注意

 70'sミッチェル308/408は、中古品を買うケースが多いと思います。私の経験では、前オーナーがこのリールの構造を知らずに分解し、ピニオンベアリングが緩んでしまったものがかなりあります。このまま使うと(このまま売る店も店ですが)ギアがとぶ恐れがあります。以下にその分解調整法を記します。

 1 サイドカバーを外す
Remove the side cover 
「そんなことあたりまえ」と言われそうですが、そもそもここで小さなドライバーを使って、ねじの頭を傷つけられたリールもかなりあります。必ずコインを使いましょう。

 2 スプール軸を外す
Remove the main shaft 摺動子(オシレーティングスライダー)のリテイナーを外し、スプール軸を外します。ここまでは現在のリールと似ています。

 3 ピニオンギアごとローターを外すRemove the rotor
 ここからが現在のリールと違うところ。くびのところの小さなネジを外すと、ピニオンギアごとローターが取れます。

 4 ローターナットを外すRemove the rotor nut
ローターナットを外します。どういう工具を使ったのか、ローターやローターナットを傷つけられたリールが多く見られます。ちゃんとした工具を使いましょう。ただし写真のようなT字レンチは、組み付け時の締めすぎに注意。

 5 ピニオンギアを外す
Remove the pinion ass'y 3とともに、これを知らない人が多いようです。現在のリールと違って、308/408はローター自体がネジになっています。だからまわさないと取れません。これを知らない人が「あれー、取れないなあ。わかんないからこのまま戻しちゃえ」とやると、大変なことになるのです。

 6 大変なことAdjust screw
 
5で書いた「大変なこと」というのがこれ。5で緩めたナットをそのまま締めると、この玉押しネジとローターの間にすきまができます。そしてこの玉押しネジが緩むと、ベアリングに遊びができてしまいます。308/408のギアがとぶということをいう人がいますが、ほとんどの場合これが原因。しっかり調整してあれば、かなりの強度を持っています。

 7 ばらしたところParts
 分解するとこうなります。ローター前後の半月穴ワッシャーは、厚いのが下、薄いのが上です。自信のない人はここまでばらさなくても、6の玉押しネジを締めなおしてから復元してもかまいません。

 8 ベアリングを組みなおすReassemble
 よくふいてから、新しいグリスをつけ、ボールを並べていきます。ボールは1列あたり17個。磨耗の度合いが違うので、前後のボールを混ぜてはいけません。ベアリングのまんなかの部分(玉と玉ではさまれている本体部分)は止めネジ用の溝がギア側に近くなる向きにします。反対だとギアが深く噛みすぎて回りません。グリスはシマノのグリスがおすすめです。

 9 玉押しを締めて組み立てるReassemble
 遊びがなくなるまで玉押しを締めて(ぎゅっと締めてはいけません)、分解と逆の手順で組み立てます。半月穴ワッシャーの位置に注意。もちろんこの後、マスターギアを外してグリスアップしてもいいでしょう。なおハンドルはスクリュー式なので、ストッパーを掛けて逆転すれば外れます。

10 回転を見て完成
Finish 出来上がりです。ローターの対角方向がたが少なくなっているはずです。ただ70年代のものはベアリングユニットを横から止める押しネジの構造上、多少のがたは残ります。

 11 その他のモデル
 80年代後半(写真のデザインになったころから)のモデルは、ピニオンベアリングとローターが特殊な工具で締めてあって、外れません。無理に分解しないほうがいいでしょう。これが90年代になると、だめ押しにローターが接着剤で固めてあります。ミッチェルもユーザーの分解にそうとう頭を痛めたのでしょう。

MITCHELL spinning reels