308/408系以外のモデル。「ミッチェルそのものがもはやマイナーじゃないの?」なんて言わずにどうぞ。これらのモデルも日本製品とは違った発想で作られています。
ミッチェル304
ミッチェルの前身Charpano & Pons社が最初に作ったスピニングリールが、1930年代のCAPリールでした。
このリールは後に304と名付けられました。写真がその304です。スプール径は300とほぼ同じです。
アングリングの記事のために、静岡の方にお借りしました。(2003/5/19)
ミッチェル300C
登場以来50年不変のミッチェルのシンボル300は2001年まで生産されました。あのシトロエン2CVより長寿です。でもユニークな8枚ギアはノイジーで重い。シンボルであると同時に足かせかも。
300Cは70年代のモデル。すでにベアリングの数がリールのグレードをあらわす流れが始まっていて、ローターとマスターギアの軸にローラーベアリングが入っています。「C」はアンバサダーにならったのでは?
ところで300/400はラック&ピニオンを応用した完全平行巻です。まちがいなく世界初です。
ミッチェル302
ソルトウォーター用大型ミッチェル。ドラグ調整が変わらないユニークなスプール脱着機構つき。プラナマティック機構つきですが、アメリカでは普通の摺動機構に改造する人が多いそうです。そのほうが高荷重時にも糸の食い込みがないからだそうです。
日本ではあまり使われなかったと思います。日本メーカーは大型スピニングが得意でしたから。数年前、大阪フィッシングショーでなぜか売っていました。
ミッチェル540
ガルシアロッドとのセット「2イン1」の500シリーズです。金属部分に触れず、コルクグリップのみ握れるようにした特殊なグリップです。
写真はオートベールつき440の500版、540です。408のこれに相当するモデルが508。釣りキチ三平が使っていたリールです。
写真はこのページを見たフランスの方にいただきました。
ミッチェル508
408の「2イン1」、508です。釣りキチ三平が使ってるやつです。
ロッドはガルシア2584(L)、2585(UL)です。
画像は仙台の方にいただきました。(2003/4/16)
ミッチェル440A
70年代終わりに発売された440の後期モデル。ベールを指で押さえると、自動的に開く「オートマット」機構付き。でも、それほど役に立つとは思えませんが……。ハンドルノブは本来グレーのT字型です。
ミッチェル4420
80年代初め急追する日本製品に対抗して作られた4400シリーズ。しかし不発。原因はクセのあるデザインか?
アウトスプールながら、構造的にはインスプールとおなじベールシステムで、耐久性とベール返しの味を追及。このあたりは老舗の見識。しかしやはり手で返せないのは、マイナスだったかも。写真のリールも店頭でベールを曲げられていました。
ところで、スプールがのっぺらぼうなのはたぶん不良品だから。当時アジアは欧州メーカー(日本メーカーにとっても!)の「ごみ捨て場」でした。欧米で出せない仕様違いを「捨てた」のです。セルフセンタリングつきカーディナル50シリーズとかほかにもこういう例はあります。それを「レア物」といってありがたがる人もいるようですけど……。
理解されなかったモダンアート。
ミッチェル400
300のハイスピードモデル400(410)の80年代中期型。上の440Aのマスターギアがアルミだったのに対し、このモデルは真鍮になっています。たぶん耐久性は上がっているのでしょうが、350gはちょっと重い。このサイズと308/408の間にひとサイズほしいところ。
足が大きく今のリールシートに付かないので、短く切っています。
87年バスプロショップから購入。「Made in France」の最後期にあたります。
ミッチェル3510RDフルコントロール
80年代初め、いったん破綻したミッチェルが新生MITCHELLとして打ち出したトリガードラグ。磯上物用レバーブレーキではなく、レバーを引いたときドラグテンションが付加される仕組み。欧州ではまだこの機構を使っているようです。長野の松尾工業から部品を輸入し、フランスで組み立てていました。
ミッチェル プリビレッジ20&プレステージ20
90年代のロングスプールモデル。プレステージ20は日本ではPRS20、米国ではスパイダーキャスト30という名前で売られました。軽いベール返し、ワンタッチスプールなど「らしさ」はあるものの、やはり日本製品にはかないません。わざわざおなじ土俵に乗らなくても……。
ところで驚いたのは、小箱の中でプレステージ20を包んでいたポリエチレン袋です。「ウミガメやイルカが食べて死ぬので、この袋は絶対海に捨てないでください」と英文でプリントしてありました。PL法対策の注意書きばかり考えている日本メーカーは、ミッチェルのつめの垢をせんじて飲みなさい。
表示はありませんが、台湾か中国製のようです。
ミッチェル230
97年登場の軽量モデル。大口径スプールに低速ギアの組み合わせで、ほぼ同時期のダイワABSのようなアイデアです。
指にやさしいステムとハンドルノブ。巧みなカラーリングで安っぽさを薄めた樹脂スプール。あえてローラークラッチを使わず、旧大森のようなストッパーで軽量化、230g。このあたりいかにもミッチェル。うまくいっていれば、新たなるスピニングの2CVになれたかも。
でも製造品質がめちゃくちゃで、翌年にはバスプロショップのカタログから消えました。意あって力足らず。最近のミッチェルを象徴しています。中国製。
いまさら誰も見ない追記:自分の買った1個体だけで「製造品質がめちゃくちゃ」なんて小学生みたいなことを言ってますが、そう思っちゃうくらいひどかったのですね。まずいきなりベールワイヤが外れました。糸巻き形状はワッシャーを1mm抜いてやっとフラット。ストッパーをカンカン逆転したらローターがごろりと取れました。特に最後のローター外れはローターの小判穴とピニオン(亜鉛ダイキャスト)二面幅の寸法不良ですから、同じ金型から作ったものはすべて同じ状況になるはず・・・。(2006/2/17)
ミッチェル クォーツ330
98年登場。アンバサダーなら3600C、クルマならニュービートルの「ネオクラシックモデル」。狙いはいいけどデザインが……。なんでこうなっちゃうんでしょう?
300シリーズのベール変形による作動不良と、スプール下への糸落ち対策で採用された、「無変形カーボンベール」と「ラインコントロールシステム」。でもそのためにデザインぶち壊し。もっとシンプルに現代のメカを300のデザインで包めばそれでよかったと思うのですが。
考えすぎのニュービートル。