鍼灸で眼の治療ができます
日本では、鍼灸治療というと、肩こり、腰痛、慰安などに「気休め」として適用されることが 多いのが実情です。
しかし、鍼灸治療は、一般の皆さまが考えている以上に応用が可能で、 「こんなことができるのか」とか「こんな病気が治るのか」とびっくりされることでしょう。
それは、ただ痛い場所に鍼灸をするのではなく、理論に基づいて 診断(弁証 西洋医学の病名を付けることではない)をし、その結果得られた 情報を基に、身体に起こっている不具合や矛盾を解消する方向に、理論に従って 生理的な復元力を高めるよう、 ツボを選び、最適な手技で鍼灸を施術する(論治) という一連の知識と技術によって達成されます。
こうした高度な治療は、「弁証論治」といい、それを支える理論的根拠は、 「中医学」と呼ばれる学問体系です。
例えば、当院の名称の由来となっている「鍼灸大成」などは、1600年ころ中国で出版された 「中医鍼灸ハンドブック」的な書物で、これを読むだけでも、かなり高度な診断・治療ができる ようになります。
このように、同じ対象に、同じ手法で治療すれば、誰がやっても同様な効果が出る、という点で、 中医学は再現性があり、つまり「科学」の一分野であると言えます。
つまり、中医理論に基づく鍼灸治療というのは、「学問体系」をなしているのです。
以上をきちんと踏まえて身体に応用すれば、ストレスや新たな感染症の危機に直面している 厳しい現状に希望を与えてくれるに違いありません。
そして、そのひとつの応用例として、「当然のように」 眼や視覚・視力に関する治療ができるわけです。
左「鍼灸大成」現代中国語版(中医古籍出版社 1998年北京 当院蔵書)
右 中国中医研究院眼科研究所(北京市)1999年
眼や眼の周囲(顔)に鍼灸をしなくても眼の治療ができます
眼で物が良く見えるためには、何が必要でしょうか?
眼と内臓の関係に着目し、全身を整え、物が良く見えるために必要なエネルギーが、 眼に適切に供給されるようツボと鍼灸施術手技を選びます。
これらを達成するのに必要なツボは、通常手足、背中・腰のツボで充分です。
したがって、眼や眼の周囲の顔に鍼灸をすることは、普通は、ありません。
美容上の心配も不要です。
眼の治療には、専門的な知識と技術が特に必要です
一般に眼や視覚領域の治療というと、眼だけに注意が行きがちですが、 眼から視神経を経由して、大脳視覚野に情報が伝達されて初めて、 「見える」という作業が完結することも忘れてはなりません。
角膜、水晶体、網膜などの光学系だけではなく、視神経などの情報伝達系、大脳視覚野などの 画像情報処理系にも注意を注がなければなりません。
中医学の知識があるだけでも、ある程度眼や視覚に関する治療はできますが、当院では、 西洋医学的な知識、画像工学的知識、ライフサイエンス・人間工学的な知識をも備えていて、 航空・鉄道など視覚が安全に関わる職業の実情も熟知しています。
さらに、一般には「眼への血流を活発にすれば、眼は良くなる」と誤解されている傾向が あるように見受けられます。
確かに、他に問題が無ければ、眼の血流は活発な方がいいのですが、例えば、眼圧が高過ぎたり、 高血圧などの例では、眼圧を適正にしたり、脳卒中のリスクを下げつつ治療するよう、 細心の注意が必要です。
当院では、このような合併症がある場合でも、安心して治療を受けて頂ける知識と技術を 備えております。
「中医眼科全書」「中医眼科学」(人民衛生出版社 北京 当院蔵書)