その名は"God"




ここに、ある画像がある。



これは「神のポテト」と呼ばれるものだ。この写真では分かりにくいが、やや小さめのバケツほどの大きさのカップに、馬鈴薯を棒状にして油で揚げたものが充填されている。これを抱えている私が抱いていた使命は、「この種を喰らい尽くせ」だった。



…単に巨大なフライドポテトに挑戦した、というだけのことをこの調子で書いていくととんでもなく冗長になるので、なるべくシンプルに説明していくことにしよう(私がこういったことを書いた場合、五分前にはその「冗長な」文章がここに表示されていたことが多い。要するに気にくわなくなって書き直しているのだ)。


場所は広島の有名店『ゴッドバーガー』。コーラのLLサイズを頼めば1リットル、フライドチキンの最大サイズを頼めば35個入り、看板メニューの「ロイヤルゴッド」を頼めば山のフドウ登場と、まさに神を名乗ることを許されたハンバーガー店である。
(ちなみに、どれもこれも美味い上に値段も抑えられているので、標準サイズを注文すれば普通に幸せになれるはず)


ここで私が挑戦することになったのがフライドポテトのスーパーカップ(一応、7~8人前と書かれていたが、別の店基準だと10人前あるかもしれない)。注文したら出てきたのが写真の通り、バケツポテトだったわけである。
(その隣りに写っているのがLLサイズの烏龍茶。私はこのLLサイズの飲み物を飲みきることが出来なかったが、同行者の一人は「ロイヤルゴッド」のジャンボを喰いきった後で、LLサイズのアイスティーにアイスクリームを浮かべて飲みきっていた…何故かストローを4本使って。拍手)


結果として、他の人にあげた2.3本以外は一人で喰いきった。だが、貪りの最中、冒頭に書いたような
「撤回しよう、前言撤回しよう。油、油、塩…私は平穏を愛しています」
というような嘆きを禁じ得なかったし、
「このカップが詐欺レベルで上げ底になっているように!」
という儚くて油っぽい願いと共にカップの底をチェックすることを余儀なくされたのは確かだ(チェックの結果、全然カップは上げ底になっていなかった。実に良心的な店だ)。


けれども正直に言えば、さして大喰いでもない私が完食出来たので、ある程度の油耐性さえあれば普通に喰いきれる量だと言えるだろう。ポテトを食べた後に、「もちチーズバーガー」も食べたし(これも美味かった)。問題はポテトをつまむ、口に運ぶ、枯れ果てつつある唾液を気合いで分泌する、何故かBGMで流れている『四季』に耳を傾ける、咀嚼する、飲み込む、腹の中でポテトが胃壁を愛しげにつんつんするのを堪え忍ぶ、という単純作業の繰り返しをどこまで続けることが出来るかだけだと思う。


余談だが、ポテトを喰べた後に「もちチーズバーガー」を別に注文しに行ったら、店員さんが「前の注文と合わせればセットになって安くなりますよ」と、値段を割り引いてくれた。さすが神の国。いいところだ…食い物は美味いし、親しみやすい雰囲気だし…一心不乱にポテトを喰っていても温かく見守ってくれたし(前に100マックした時は周囲から奇異の目で見られた)。


なお、これ以外に広島にて行ったことは、同行者の方と泊めて下さった方と共に、平和記念公園でハトを追いかけたことと、呉港の岸壁に浮いているゴミ(弁当パック)が如何にして沖合に流れていくかを観察したことぐらいである。


やはりそれが楽しかったのだ(これは虚勢でもなんでもない)。



(2006/03)



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