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9月15日 いま、ThinkPadに求めること(ThinkPadClub勝手に連動企画)

今日は趣味趣味文です。

 IBMが秋モデルからコンシューマー販売を縮小し、Aptivaブランドを廃止するなどの報道が流れており、ユーザーの掲示板ThinkPadClubでも、表題の特集が組まれているので、私も勝手に便乗させていただきます。

 私が初めてThinkPad560を買った1997年1月当時、ThinkPadは間違いなく、日本国内でもノートパソコンのトップブランドでした。

 確かに当時においても、比較的価格が高かったこともあり、販売台数ではNECの98NOTEや富士通のBIBLOに後れを取っていたかも知れませんが、ThinkPadは知る人ぞ知るあこがれのブランドであり、ステイタス性という点では群を抜いていました。車で言えばメルセデスやBMWのようなブランド価値を手にしていたのです。

 なぜ、当時ThinkPadはステイタス性を持っていたのか。

 第1に、700シリーズという他を寄せ付けない高級機が存在したこと。当時の販売価格で80万円から100万円という途方もない価格でしたが、それだけの価格に見合う高級なパーツと先進性がありました。

 第2に、フラッグシップたる700シリーズと統一感を持った優れたデザインで製品ラインアップが揃っていたこと。飽きの来ない弁当箱デザインとトラックポイントの赤というシンプルでありながら完成されたデザインは、他のメーカーでは決して得られないものでした。

 第3に、モバイル性という点でも当時の国産メーカーを寄せ付けない完成度を持ったモデルを擁していたこと。伝説の「バタフライ・キーボード」を持つ701シリーズは、B5サイズにフルサイズ・キーボードを納めた意欲作でしたし、薄型ノート560シリーズは、DECのHighNoteUltraの後追いとはいえ、完成度においてより高く、A4薄型ノートとして一世を風靡しました。そして、乾電池駆動の220の流れを汲む535シリーズは、キーボード、スペックと重さ、駆動時間のパッケージングでほかの国産ノートにライバルはいませんでした。………VAIO505が現れるまでは。

 第4に、巧みなCM。「大人の翼」というキャッチフレーズは、ThinkPadのイメージをより高めるのにぴったりでした。

 その後、日本のコンシューマー市場はほぼsonyに制圧されてしまい、IBMは企業向けでは引き続き強さを誇るものの、コンシューマー向けは壊滅的状況です。現状を見てみると、前述のステイタス性の根拠たる4要件がいずれも消えてしまったことが窺えます。

 第1に、フラッグシップ機の消失。700シリーズの消失後も高級機のイメージを保っていたのは600シリーズでしたが、コンシューマー向けモデルは高すぎてシェアを失いました。その600シリーズの後継としてデビューしたTシリーズは、スペックこそ高いものの、600シリーズの持っていた作りの良さ、絶妙なキータッチといった美点を失ってしまいました。これではこのコンシューマー向けモデルも(iシリーズ1800)値段で勝負するくらいしかなくなり、マイナーな存在から抜けられません。ハイエンド製品というイメージは完全にsonyのXR、GRに持って行かれました。

 第2に、デザインも迷いの時期が続いています。最大の迷いは、昨年1年間iシリーズを中途半端な銀パソにしてしまい、帰って独自のポジションを失ったこと。sonyに惑わされて己を見失ったとしか言いようがありません。
 また、最近のC面カット(底面が斜めにカットされている)デザインはやりすぎ。少なくとも日本人には受けるとは思えません。

 第3に、モバイル性で98年ころに完全に出遅れ、イメージが低下したこと。日本独自モデル535シリーズを見捨ててファンの失望を買い、一方で240はディスプレイのXGA化の波に1年は乗り遅れて、おいしいところを持って行かれました。昨年後半あたりから、X20シリーズやs30シリーズなど、ツボをついた製品がようやく登場してきましたが、もはやsonyから周回遅れという感じです。

 第4に、「大人の翼」以後のe-business toolsというキャッチフレーズは、コンシューマーには全く訴求しません。

 ですから、これからのThinkPadがコンシューマー向けに少しでもとどまりたいなら、かつてのアピールポイントを取り戻すべきです。

 すなわち、第1にフラッグシップ・モデルの復活。Tシリーズのコンセプトで、もっと作りがよく所有する喜びを持ったモデルを考えるべきでしょう。

 第2に、デザインのブラッシュアップ。耐衝撃性という言い分も結構ですが、デザインと両立した機能を考えるべきです。

 第3に、モバイル・ラインアップの充実。第4に、イメージ戦略。製品については相当盛り返してきていますが、イメージが追いついていません。SONYに対抗するには、イメージ戦略の再考が必要です。

一つ前へ  一つ後へ

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