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9月27日 運転しない裁判官

 本日、私が弁護人を務めた刑事事件の判決がありました。

 交通事故の事件ですので、罪名は業務上過失傷害です。

 過失の有無自体を争ったわけではないのですが、私自身も現場を見に行ったところ、結構交通量も多い県道で、見通しも悪く、被害者が出てきた横道は、ドライバーからでは相当確認が難しい道でした。

 そこで、現場の写真を撮ったり交通量を調査した報告書を作成して弁護側の証拠として提出したのですが、判決ではその部分には全く触れてはもらえませんでした(結論的には執行猶予になっていますので、不服はありませんが)。

 触れなかっただけで、内心では加味してもらえたのかも知れませんが、一般に裁判官は自分では車の運転をしない方が多く、ドライバーにとっては当たり前、と言う感覚(例えば、道路によっては制限速度を守っている車などいないようなペースで車が流れているとか)がわかってもらえずに苦労します。

 なぜ、車の運転をしないのか?というと、単に「事故を起こしては危ないから」と言う理由が多いようです。

 でも、出張の時には運転手に運転させて自分は後席に乗っているんですよね。結局、自分が事故を起こすのだけは避けたい、ということらしいです。

 これはちょっと違和感があります。事故を起こしたくて車に乗っている人などいません。必要があって乗っている人がほとんどです。みな、事故のリスクを負いながら、運転しています。車の便利さは享受するくせに、自分はリスクを引き受けない裁判官に、交通事故関係の裁判を行われるのは相当疑問があると思います。

 これも一種の「裁判官の市民感覚の欠如」ではないでしょうか?

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