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12月6日 雑感(当番弁護士制度の赤字、後輩育成の貧困(2))

(その1)
 朝日新聞の夕刊に載っていた記事です。

 当番弁護士制度が知れ渡るにつれて、赤字が大きくなり、財政が破綻寸前だそうです。

 「だそうです」と、書きましたが、弁護士会ではもうしばらく前からこれは当たり前の事実でありました。

 当番弁護士制度は、逮捕・勾留されている被疑者が希望すれば、1回は必ず無料で弁護士が接見に駆けつけ、必要なアドバイスを与える制度です。駆けつけた弁護士を私選弁護人に選任することもできます(これは有料)。

 この当番弁護士で駆けつけた弁護士には日当(1万円)が、協力してもらった通訳人には通訳料と交通費が支払われますが、これは別に国から援助が出ているわけではなく、元を正せば我々のポケットから出ている日弁連会費なので、要は日当をもらっても、タコが自分の足を食っているようなもんです。だから、財政が破綻するといっても、元々財政的には全然見合っていないものなのです。

 まあ、だからといって今更やめるわけにも行かないので、制度にご理解を………と言ったところが記事の趣旨でしょうか?

(その2)
 本日の東弁司法修習委員会で聞いた話ですが、裁判官や弁護士の卵である司法修習生の修習中の研修旅行が今度から日帰りになったそうで(今までは1泊)。司法研修所によると「税金を使って1泊旅行をするのは社会的に許される時代ではない」とのこと。

 それだけなら別に何ということもありませんが、同時に「司法修習生相手の懇親会の2次会費用はこれまで修習生の負担なしでやってきたが、応分の負担をさせる方が望ましい」という意見までなぜか研修所から来てました。

 研修旅行の方は、まあ税金を使っているのですからわかります。しかし、懇親会の2次会って要は今まで先輩法律家(裁判所の懇親会なら裁判官、弁護士の飲み会なら先輩弁護士)がおごっていたものです。

 これを修習生に応分の負担をさせるべき、なんてのは後輩育成力の貧困性を自認したようなもので、納得行きません。そもそも我々自身が、半人前の時代には先輩からおごってもらうかわりに(と言っては何ですが)先輩の長演説を聴き、酒を飲んで語り合い、そのような場でなければ聞けないようなノウハウや人間関係の機敏を教わって成長してきたのに、自分が一人前になったら後輩に同じ負担をするのは嫌だ、と言うものでしかないでしょう。

 このような先輩から後輩へ受け継がれる技術が、今の日本はどんどん廃れていますが、法曹界も同じようになってしまうとすれば、非常に情けないことです。例え自分の懐にすきま風が吹いたとしても、後輩に伝えるべきものは伝える、と言う姿勢がなぜないのでしょうかね。

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