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1月8日 仮釈放の制限

 本日の朝日新聞夕刊によると、検察庁が無期懲役刑が確定した事件のうち、悪質なものを指定して、ほかの無期懲役刑服役囚より長期化間仮釈放を認めない運用を始めているそうです。運用次第では、事実上の終身刑とすることもありうるそうです。

 凶悪事件に対する世間の声に答えたもの、と言うこともできましょうが、率直に言ってかなり問題があると思います。

 問題の根底には、我が国には一切仮釈放を認めない「終身刑」が存在せず、死刑と無期懲役しかないこと、及び無期懲役といえども従来20年程度で仮釈放が認められてしまっていたことがあります。

 そのため、死刑にならない限り、20年もすれば犯人が社会に戻ってこれるということで反発する意見も以前からありました。このため、死刑との均衡を保つため、終身刑を導入すべきとの意見も一定数存在しました。

 今回の運用は、法務省・検察庁なりに運用面でこうした意見に応えようとするものではあるでしょう。しかし、法律上は一つの「無期懲役」として定められたものを、裁判官でもない検察官が運用により二つの刑に増やしてしまうことは、どう考えても罪刑法定主義に反するように思えます。

 仮にこの方向を考えるのなら、正面から刑法等を改正し、無期懲役に二つの種類をもうけるか、あるいは仮釈放に裁判所のコントロールを及ぼすべきでしょう。

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