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1月16日 弁護士過疎の解消法

 昨日、地方の弁護士の話が出ましたので、さらに一言。

 弁護士会では「ゼロ・イチ支部」という言葉があります。

 これは、地方裁判所の支部管轄区域内(一つの県に3つから5つくらいは支部があります)に、一人も弁護士がいないか、あるいは一人しかいないという支部を指しています。

 紛争には通常、相手方がいますから、紛争の両当事者が同じ地域に住んでいる場合、その地域に弁護士が一人しかいなければ、どちらか片方がその弁護士に頼んでしまえばもう片方は弁護士を捜して他の地域へ放浪の旅(?)に出なければなりません。つまり、一つの地域には本来最低二人の弁護士が必要だ、ということになります。

 ゼロ・イチ支部とは、こうした最低限の弁護士すらいない「弁護士過疎地域」を指している言葉です。

 こうした弁護士の過疎問題については、弁護士数を大幅に増やせば自動的に解決されるという意見もありますが、私はきわめて懐疑的です。

 これは、医者との対比で考えればすぐにわかるはずです。その昔、無医村などの医師不足の解消のために、医学部が次々と作られ、大量の医師が養成されました。その結果、医者はあふれるようになり、患者とコミュニケートすらできない、最低限の力量すら備えていないのではないかという医師も大量に出現してしまうようになりました。結局、最近になって医学部の定員は減らされつつあります。

 では、無医村はなくなったか?なくなりませんね。

 単純に考えれば、一定の人口があれば一定数の病気は必ず発生するはずですから、医者に対する需要はあるはずです。市場原理からすれば、無医村はなくなるはずでした。しかし、そうはなりませんでした。

 弁護士はもっと複雑です。弁護士の扱う事件は、人口に比例と言うよりは、経済活動に比例します。弁護士が医者以上に偏在してしまっているのはここに原因があります。市場原理に任せている限り、弁護士の偏在、弁護士過疎はほとんど改善されないでしょうね。

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