直線上に配置
4月26日 個人情報保護法案

 個人情報保護法案の審議が国会で始まったことに対し、マスコミが大々的な批判キャンペーンを展開しています。

 結論としては、私も今回の法案には大反対です。

 が、キャンペーン中のマスコミに対しては「何だかなあ………」という感じが拭えないのです。

 私としては、今回の個人情報保護法案の底流には「被害者の権利」意識の高揚があると思います。

 少年法の改正しかり、刑事手続きにおける被害者の意見陳述権の採用しかり、これらの一連の流れが今回の法案に行き着いています。

 少年法における「非行少年の保護・育成」や刑事手続きにおける「被告人の権利の保護」は、長らく絶対的な理念とされてきました。それが結果として、被害者の軽視や疎外につながっているとして、改正が行われたわけですが。

 しかしながら、そのような改正は、私から見ると少々方向を間違えているのではないかと思います。非行少年の厳罰化が被害者の救済に直結するわけでもないし、無罪と推定される判決前の被告人に対し、どうして被害者が意見を言えるのか、理念的には相当矛盾があります。

 被害者の被害回復は、犯罪被害者への被害回復の制度をまずもっと整備すべきであって、加害者への応報感情を満足させることのみで手直しを計るかのような法改正は、個人の復讐を否定し刑罰権を国家に独占させた近代国家の理念に明らかに逆行するものです(被害者の権利を軽視すべきだと言っているのではないですよ、念のため)。

 ところがマスコミは、むしろ法改正を後押しするかのように、論陣を張る節が多かったようです。

 翻って、今回の個人情報保護法案。近代国家にとって、不可侵と考えられてきた「報道の自由」に対しての明確な制限であるために、マスコミは半狂乱になっているようです。

 でも、同じくらい非行少年保護の理念も、刑事被告人の権利も大切だったはずなのです。そのときには「被害者の権利保護」の観点から簡単に制限を認めておいて、いざ「被害者の権利保護」の矛先が自分たちマスコミの享受している自由の方に向いたら大慌て、というのでは、一貫性がないのではないでしょうか>マスコミ殿

一つ前へ  一つ後へ

日誌の目次に戻る

トップ アイコントップページへもどる
直線上に配置