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6月19日 リンクの自由

 購読しているアスキーのメールマガジンに、珍しく日弁連が話題に上っていました。

日弁連がリンクの方針を転換
日本弁護士連合会は、同会のウェブサイトにリンクを張る際に実名や電話番号などを要求していた許可条件を修正し、リンクを原則自由とする方針を明らかにした。インターネット掲示板などでの反発に応えた。

 たしかに、日弁連のHPにはその旨の記載がありますね。

 web上のコンテンツについて、第三者からのリンクを禁止する権限があるのか、というのは、結構重要な問題ですが、直接の裁判例はまだないようです。関連するものとしては、わいせつ画像へのリンクがわいせつ物陳列・頒布罪の幇助に当たるとした裁判例がありますが、これは刑法上禁止される表現についての問題であって、通常のリンクの自由の有無には直接関係がないでしょう。

 前述のアスキーのサイトの後藤斉助教授の指摘のように、一般的な表現にも他者の表現への言及、批評が許されている以上、単なるリンク自体は著作権によってコントロールされるものではなく、自由であるべきと考えます(このHPもそのような前提に立ってリンクを貼っています)。

 実際、マスコミ系のサイトでも、リンクについて原則禁止・許可制としているものはみうけられますが、これは法的に強制できるものではないでしょう。

 例えば、駐車場でよく見かける「無断駐車は罰金1万円申し受けます」という看板。

 実際には、これに反して無断駐車したからと言って、駐車場の管理者が「罰金」として1万円を徴収する権利が自動的に発生するわけではありません。損害賠償請求の予告、と取れなくもないですが、損害賠償とは、それだけの実損が発生したことが前提ですから、1万円と予告しただけで損害賠償を請求しうるわけではなく、裁判上は結局損害の立証が必要になります。

 すると、このような表示は、結局のところ、管理者による第三者へのマナーの呼びかけと、せいぜい威嚇的な効果しかないことになります。

 web上での「リンクお断り」の表示も同じで、結局は作成者・管理者の意向を示しているだけで、これに従うかは第三者の考えに任されているということではないでしょうか。

 前述の後藤助教授は、表現の自由を重視する考えから、リンクについてコントロールしようとする管理者の態度自体けしからん!とお考えのようですが、まあ私はそこまで目くじらを立てなくともいいのかな、と思っています。

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