ThinkPad X60s(1702-23I) 最終更新2008/5/7


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<STORY>

 ThinkPad Xシリーズという機種は、不思議なことにIBM(lenovo)のラインナップでは、常にもっとも最後にモデルチェンジされるというポジションにあります。

 思い起こせば初代X20が世に出たのは、2000年秋で、「ミレニアム・シリーズ」A20とT20が発表されてから半年遅れでした(そのかわり、デザインテイストはA/Tシリーズとは明らかに異なり、むしろi1200シリーズの流れを汲むものでしたが)。その半年後の2001年春には、型番「30」世代の筆頭として、s30が発表されたため、X20は、型番上は一気に旧世代ということになってしまいました。ところが、その後もX20シリーズは、連綿とマイナーチェンジを続け、2002年の春モデルまで持ちこたえました。

 2002年秋に、ようやくX30にフルモデルチェンジしましたが、プラットホームやCPUの世代的には非常に中途半端なものになってしまったのは既に触れたとおりです。このX30は、左上の斜めの切り欠きとか、ディスプレイの銀色のヒンジとかの、「30」シリーズのデザイン上の特徴を引き継いでいましたが、2003年春に真打ちとも言うべきX31が発表された時点では、同時に型番「40」世代のT40が発表されてしまったため、デザイン的には早くも旧世代になってしまいました。ここからXシリーズの混迷が始まります。

 もともと、Xシリーズは、X20の時点では、低電圧版CPUを搭載し、Tシリーズとは一線が引かれていましたが、X24に至って、なぜか通常電圧版CPUを強引に搭載してしまったあたりから路線がずれていきました。X24で、通常電圧版PentiumV−1.13Mhzを搭載してしまったものですから、必然的にX30では通常電圧版PentiumV-1.2Mhzを搭載することになり、X31でも通常電圧版PentiumMを搭載していました。このため、筐体も冷却機構等により重めとなってしまい、1kg前後が主流となったB5ファイルサイズサブノートクラスのトレンドからははずれてしまいました。

 IBMもその辺は気にしていたのか、あるいは消滅してしまった535→240→s30のラインのユーザーを取り込みたかったのか、わずか半年後の2003年秋に、低電圧版、軽量版のX40を発売しますが、電池駆動時間が一気に退化し、また1.8インチHDDという遅い、大容量がないストレージを選んでしまったことに批判が強く、結局フェードアウトするはずだったX30シリーズを、2005年暮れまでマイナーチェンジして延命させる羽目になりました。こうしてX30世代は、予定外に3年以上も現役として販売される事態となりました。

 で、ようやく2006年春に発売されたのがX60です。50番台が飛んでしまったのは、無軌道に型番を増やしてしまったRシリーズに合わせるためでしょう。60番台は、2005年秋に出たワイド液晶Zシリーズが最初ですが、CORE DUOを搭載した新世代モデルという意味では、今度はTシリーズと同時にデビューしており、ようやく「最後にモデルチェンジ」という順番から脱却しました。

 lenovoの説明では、X60はX30シリーズ後継機種、X60sはX40シリーズ後継機種ということですが、実際にはX60sの方がXシリーズの原点に近いのではないかと思っています。X20はそもそも当初は低電圧版CPUを搭載していたのですし、無理に重い冷却機構を採用してまで通常電圧版を搭載することが、B5ファイルサイズノートに必要かどうかは疑問です。

 それと、X60シリーズで最大の問題は、パームレスト右側の発熱問題ではないかと思っています。今までThinkPadは熱処理には定評があり、仮にもキーボードやパームレストといった直接手に触れる部分が熱くなるという現象は皆無でしたので、このような話題が出ること自体残念ですが、とにかく秋葉原のヨドバシカメラ等で実機に触るたびに、右側の発熱は気になりました。CPU周りの熱対策は気合いが入っていますが、無線LANのアダプタ周りの熱対策が不十分だったようです。この無線LANアダプタが、なぜかX60とX60sで異なっており(X60に搭載された方が高性能なのでしょうか?X60sの方はintel製で、おかげでX60sのみ「CentrinoDuo」ロゴのシールが貼ってあります)、情報は錯綜しているも、実機に触れた限りではX60sの方がましに思えました。

 そこでX60sの方を選択することにしましたが、メモリやHDDは後から何とかなるにせよ、CPUだけは容易に換装はできません。そこで、カスタマイズモデルでしか選べない1.66GHz版を選択することにしました。必然的にLenovoDirect(というかCLUB IBM改めThinkVintageCLUB)で買うことになりました。実は本体をここで買うのは初めてです(最近はいつも現金問屋系でしたので)。

 X60系のデザインは、Z60から始まる60番台のデザインテイストに沿ったものですが、よくなった点からいうと、サイズがさらに小さくなり(X40と同じですが)奥行きに至っては、かつてのA4版ThinkPadと同じ水準に戻りました。だいたい560と535の中間くらいのイメージです。それと、大容量バッテリーが違和感なく装着できて、約10時間の駆動時間を実現していることは感動的です。

 一方で、これまでと変わった部分は、どちらかというとどれも?です。キーボードのタッチは、たわみこそないものの、ストロークが足りず、柔らかすぎて底突き感があり、打っているとすぐに指が痛くなります。トラックポイントのボタン周りの新しいデザインは、表面的に新しがっているだけで、使い勝手としては小さくなり、後退です。電源ボタン、音量ボタン等は、20〜40番台の間に試行錯誤の末、ようやくマットな黒の丸ボタンのデザインで落ち着いたかなと思いましたが、またしても銀鼠色の塗装などつけてしまい、かえって安っぽくなってしまいました(ThinkPadのマット・ブラックにメタリック系のアクセントは絶対に合わないと思うのですが………)。

 また、従来ThinkPadはバッテリーを本体前部に設置するスタイルにこだわってきたように思えます。これは、パームレストの温度に響かないという点に加え、重心が前後に均等にかかるというメリットがあったのですが、40番台からバッテリーが本体後部にあるレイアウトに変えてしまいました。このX60sも、バッテリーが本体後部にあることで大型のバッテリーを設計しやすいメリットはありますが、重心が後ろにかかってしまうため、これまでのように本体前部を抱えて持つということができなくなりました。また、小型のバッテリーを装着した場合は、液晶ディスプレイの角度を変える際に、気をつけないと本体自体が宙に浮いてしまうことになります。

 それと、これも私にとっては大変残念な点は、ドッキングステーション装着端子部分がXシリーズ独自仕様になってしまい、Tシリーズ等のドックとの使い回しができないということです。X30シリーズまでは、ThinkPadドックをXシリーズ、Tシリーズで使い回しが利いたために大変重宝していたのですが。シリーズで周辺機器を統一するという2000年頃のポリシーは崩れてしまったようです。


<SPEC>

初期導入OS  WindowsXP ProfessionaEdition SP2→  現在導入OS  WindowsXP ProfessionaEdition SP3


CPU  Intel Core Duo L2400(1.66GHz)
 Yonahのコードネームで開発されたIntelのモバイル用初のデュアルコアの低電圧版。

LCD  12.1’TFT(SXGA+)
グラフィックチップ  チップセット内蔵 (インテル(R) グラフィックス・メディア・アクセラレータ 950)
            (ビデオメモリ最大128MB・メインメモリと共用 最大表示色1677万色)
 ThinkPad初のポリシリコン液晶。明るいことは明るいですが、ちょっとちかちかする印象。あと全体に青っぽいのが不満。

メモリ  PC2-5300 DDR2 SDRAM 標準1GB(公称最大2GB)  →  現在メモリ搭載量  1GB
 オンボードなし+増設スロット×2ですが、増設スロットの一つはキーボード下でアクセスしにくい構造になってしまいました。

HDD  100GB(HGST HTS541010G9SA00)  → 120GB(HGST HTS541212H9SA00)
   → 160GB(HGST HTS541616J9SA00) → 現在250GB(HGST HTS542525K9SA00)
 2006年9月、HGSTから流通が始まった120GBものに換装。2007年6月、160GBに換装。2007年12月、250GBに換装。

バッテリ  大容量Li-Ion(公称8時間)+スリムラインLi-Ion(別途購入、公称3時間)
 実際の駆動時間は、スリムラインで3時間ぎりぎりといったところですが、大容量はほぼ10時間使えます。

サイズ  268×237(210)×20.6〜35(26.9)(mm) ()内はスリムラインバッテリ装着時
 X31に比べ、幅で5mm、奥行きで13mm(大容量でない場合)小さくなりました。後方に行くほど厚みが多くなり、重心が後ろに偏ってしまったのが残念。

重量  1.51(1.21)kg ()内はスリムラインバッテリ装着時
 X31に比べれば、大幅に軽くなりましたが、軽さとバッテリ駆動時間のバランスで言うと、Let'sNoteにはまだ全然及ばないのが悲しいです。

価格  ThinkVintageCLUB会員価格285,285円=購入価格
 カスタマイズモデルで、ウルトラベース、光学ドライブ付きなのでかなりの値段になりました。

インターフェイス  VGA、PCカードスロット(typeU×1)、SDカードスロット、USB×3、IEEE1394、モデム、LAN、ドッキングステーション用コネクタ、無線LAN機能(802.01a/b/g)
 *ウルトラベース経由でシリアル、パラレル、ウルトラベイ2000スリムスロット、USB×4等

<HISTORY>

2006/5/24
 購入。

2006/9/10
 HDDをHGSTの120GB(HTS541212H9SA00)に換装。T43あたりだと、換装したHDDの種類によってはBIOSエラーが出るそうですが、60番台ではそういうことはないようです。AcronisTrueImageですんなりデータ移行できました。

2006/9/25
 ようやくX30より環境移行が完了して使用開始。

2006/10/24
 大容量バッテリーは、発火問題で大騒ぎのSONY製でした(^^;それだけならしばらく放置のつもりだったのですが、なぜか昨日から突然不審な挙動が。タスクバーのところに、バッテリーのメンテナンスを促すアイコンが消しても消しても出る。おまけにThinkVintageメッセージセンターに「バッテリーエラー」のメッセージが立て続けに何通も。何かと思っていたら、電源管理ソフトが時々バッテリーを見失うようで、バッテリーで使っているのに、「バッテリーなし」とか表示されている(笑)。あわててバッテリーのリコールを申し込みましたが「お届けまで3〜4週間」だそうで。
 しかし、満充電し直してみたら、なぜか不審な状態が収まってしまいました。?

2006/12
 ようやくリコールした換えのバッテリーが届きました。

2007/6/29
 HDDをHGSTの160GB(HTS541616J9SA00)に換装。

2007/12/31
 事務所でPDFファイルを多く扱うようになったせいか、以前よりもHDDの容量食いの増加ペースが速くなったような気が。HGSTの250GB(HTS542525K9SA00)に換装しました。

2008/5/7
 XP SP3を適用しました。



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