256の恐怖−本文


このドタバタの発端、それは94年にアスキ−から出たFD付BOOK、 「256色お絵描きツ−ル」 の
購入から始まります。 4980円…… 安い! しかも家の98にブチ込んであるグラフィックアクセ
ラレーター、 GA−1024Aに対応してくれてます。 当時、 蛸之枕が使ってたのは98用グラフィッ
クソフトを代表する名ソフトの一つであったマルチペイント。 実に使い易く表現力も豊かなソフトで
したが、 PC98のハードウエア上の制約、  同時発色最大16色にしばられ大したものは描けませ
んでした…。  (もっとも、 使いこなせていたとはとても言えません…。 むしろゲームからの取り込
みCGをMAG化するほうで活躍してた様な……(^^;)ショウモナイ…)
 
おまけに購入したは良いものの、それから程なくアパートで火災発生! (マジです。年末の仕事納
めが終わって戻ってみたらアパートが立ち入り禁止になってた!) 幸い蛸之枕の部屋は火元から
一番離れてたので煙が吹き込んだのみで済んだのですが、  アパート自体は修復不能と判定され
取り壊し…、  引越しのドタバタその他で我がパソコンライフは数年間の休眠を余儀なくされたりし
て……。  要するに、 仕事が忙しくて運び込んだダンボールの山に埋もれっぱなしになってた訳
(^^;)  リストラで暇になったのを機会にやっと復活させる始末……。 
 
かくてようやく稼動させた「256色お絵かきツール」でしたが、 これが使いにくい! とにかくウイン
ドウ類がやたらでかくて作画の邪魔! とりあえず256色のCGが98のDOS環境でも描けますっ
てだけの代物…。 特にタイルパターンでグラデーションを作ろうとするとパターンがスムーズに繋
がらず境目がグチャグチャになるってのが致命的でした…。  只、  BMPのほか、 16色MAGデ
ータなんかも読み込め、 一応合成機能なんかもあった、これが更なるどたばたの元になります。 
そう、 マルチペイントで 16色づつ描いた奴をこっちに持ってきて合成すりゃ良いんじゃないかって
思いついちゃったわけです。

かくて16色ソフトで256色CGを描こうという無謀なチャレンジがスタート!
これはその暴挙の記録であります………
その無茶な作品のタイトルは………
ジャンクコーナーに展示してある「黒羽理智-その4(旧バージョン)」!


256Horro/Ric4-01.GIF

まずは下絵の線画ををマルチペイントで描くことから始めました。 線画の色分けは別個に
彩色していくためのパーツ分けの為です。 完成画像は上下480ラインですが
MPS (マルチペイントのこと。 以後MPSと略す) でスクロール機能を使わずに
一画面で扱える上400ライン分をを先に描いておきます。


256Horro/Ric4-02.GIF この段階で一度基本的な配色の確認の為に
大雑把に色を流し込んで見たりもします。
描き込んだ後で配色の計算ミスに気が付いた、
なんてドジほど空しい物も無いし………。
(今思えばこの時点で一度256色側に持って
っても良かったんだよなあ) (^^;)


 
256Horro/Ric4-03.GIF
 
まあ問題無さそうなので、画面を80ドットだけスクロールさせ残りの部分の下絵を描きます。
勘のいい方はこの絵を見た時点で気付いてるでしょうが、背景部分は夜空とビル街、
理智の体はジャケットとスカートの継ぎ目で分割して描き、256側 (256色お絵描きツール
=TMPのこと、うっとうしいので以後256と略す) で読み込むときに読み込み位置を
上下させて480ラインにしてしまおうって作戦でした。スカートのとこだけやたら
にぎやかなのはチェック柄の色指定で4色喰われてるからです。
 

 
256Horro/Ric4-04A.GIF256Horro/Ric4-04B.GIF
 
調子こいてさらにハイライトと影指定まで書き加える蛸之枕…。 分かりにくいと思うけど
右の絵ではスカートの左端に影、右端にハイライトが指定されてるのです。
これでいよいよMPSでのお絵描きスタート!
 


 256Horro/Ric4-05.GIF256Horro/Ric4-06.GIF

まずは背景上部のお月さんと星空から…。 合成時のマスキングとかで最低2色は残さなきゃ
いけないんですが、お月様の部分だけで14色使いたい放題! 三日月の部分と残月の
塗りわけも余裕だし、1ドットのお星様にパレットで3〜4色割り振って微光星の描き
分けをしても色が足りなくなるなんて事はありません! もうやりたい放題です。



 256Horro/Ric4-07.GIF

さっそく出来上がった2つの素材を256で合成してみると…… ご覧の通りいい感じです。
そう、この時はおのれがどんな面倒くさい事に手を出してしまったのか気が付いてなかった。
まだ…………(^^;)


 
256Horro/Ric4-08.GIF256Horro/Ric4-09.GIF
256Horro/Ric4-10.GIF んだば、次は女の子の顔を塗ってくべえ… 
と張り切ったまでは良かったんだけど、これが
思ってた以上に色を喰う!
この部分だけで3画面必要になっちゃって、早々と脳みそが踊りだしてます。
あまりにチマチマとパーツ分けしたせいでどれ
に何を塗りこんだのか訳が判らない……



256Horro/Ric4-11.GIF

結局、16色データ3枚を合成してもこれだけしか塗れてない…
この時点ですでにうざったくなり始めてるんだけど、本当の地獄はこの後!
そう! スカートのチェック柄という厄介な代物が待ちうけていたのです!


 
256Horro/Ric4-12.GIF256Horro/Ric4-13A.GIF
256Horro/Ric4-13B.GIF 256Horro/Ric4-13U.GIF

これが問題の制服の塗り込み… まあジャケットのほうは何てこと無かったんだけど…
スカートの方で2画面使ってます! 地色のグリーン、太いストライプに振ったダークイエロー、
そしてチェリーレッドとブルーグレイの1ドットストライプ2色… このどれもがハイライトから影まで
6〜7色使ってグラデーションつけてる訳で、地色と太線の1枚目はまだしも、細い線のみの
2枚目の方は今塗っている部分がグラデーションのどの色になるのか、描いてる本人にも
判らなくなっちゃう事態が頻繁に起きました(^^;) 右下の拡大図がその問題の部分…
ちなみに、肌色と黒は1枚目で塗りこんだ部分のマスキング、白はスカートの輪郭線で明るい水色は
スカートのひだの、影になってる部分です。 そこだけ赤もグレイも暗い色使ってるの、判る?
 
256Horro/Ric4-14.GIF256Horro/Ric4-14U.GIF

最後に胸のエンブレムを塗り込んで、MPSでの制服部分の描き込みは終了。
この小さな部分だけで14色使えるってのはやっぱり有り難いです。



256Horro/Ric4-15.GIF

制服部分の4枚を合成したのがこれ! でも部分的過ぎて絵として上手くいってるのかどうか、
良く判りませんね… たぶん描くのが一番辛い時期だったのでは?


 
256Horro/Ric4-16A.GIF256Horro/Ric4-16B.GIF
256Horro/Ric4-16U.GIF  細々とした塗り込みが続きます。 こんどは手に持ってる刀。 
 これも刀身、柄、金具の部分、とやたら色数を喰い途中で
 パレットを使い果たして鍔の所だけ別塗り(^^;)
 後から別塗りした所だけ色調が浮いてなきゃ良いんですが… 
 (これが一番怖い)

 


256Horro/Ric4-17A.GIF256Horro/Ric4-17B.GIF
256Horro/Ric4-18.GIF

そして再び大物、背景の下半分に広がるビル街の夜景… 一見面倒臭そうに見えるけど実は
最初の線画さえしっかりした物を作っておけば、後はビルの壁面にグラデーションをかけて
窓にポンポン明かりの色を流し込んじゃえばそれだけで出来上がっちゃうって楽な部分でした。
また調子こいて窓明かりの色調にバリエーション付けてます。 (実際、合成マスクの2色と
ビルのシルエットのグラデーションに4色振った後は、残り全部窓に使ってます。)
後はビルの屋上灯を別パーツで描き、(細かい部分なので拡大図付き) 一番手前にある
ミニビルのペントハウスを塗り上げて背景部分はすべて揃いました。


 
CG-Data/TJun006b.GIF

そしてそして! 今までコツコツ塗り込んできたすべてを全部合体させたのがコレ!
やっぱり256色使えるってのは良いもんです………
後は翼を合成して細かい直しを加えれば完成!



256Horro/Ric4-20.GIF

で、これが合成前の翼。 物質じゃないので半透明って設定なので、完成画像ではピクセルの
半分を間引きしちゃうため、シャープな翼が見られるのは合成前のこの段階だけです。



256Horro/Ric4-21.GIF256Horro/Ric4-22.GIF

今回の合成には透化処理用にマスキング用のマスクが必要になります。左がその試作品、
右はそのマスクで処理した翼… でもタイルパターンでグラデーションをかけたので
境目で急に色が変っちゃってます。 これじゃ使えません……



256Horro/Ric4-23.GIF256Horro/Ric4-24.GIF

もう一度、ランダムノイズグラデーションでマスクを作り直します。 
今度は自然に翼が消えていってますよね?



CG-Data/TJun006.GIF

翼の合成でオールフィニッシュ…… と思った君はまだ甘い!
部分部分をバラバラに描いてたもんだから、あちこち細かい部分で色調が狂ってたし、
翼と背景の合成部分じゃ妙なモアレが出るし… 直さなきゃいけない部分が山のように在りました。
それもMPSよりはるかに操作性で劣る256で… 気力の続く限りの直しを入れたのがこれ! 
さすがに一度で懲りた蛸之枕。 以後、256の出番はほとんど無く、ウインドウズマシンの
導入までMPSばかりが愛用されたのでした…………(^^;)



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